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[2 フランス]
(1)地方財政委員会(Comité des finances locales)について(資料2)
○地方財政委員会は、経常費総合交付金(DGF)を創設した1979年に、地方自治一般法典に基づき設立された。
 
○地方財政委員会は、地方財政に関し、政府に対する助言、政府との協議を行うものであり、所掌事務は次のとおりである。
(1)DGFをはじめとする交付金の分配について決定すること
・交付金の分配基準は法律に規定されており、地方財政委員会はこの分配基準を変えることはできないが、交付金の間でどれを優先するかを決め、交付金額を割り当てることができる。
 
(参考)コミューンに交付されるDGFの総額決定方法
 
・DGF等の総額は、前年度の総額に「消費者物価上昇率(たばこを除く)+実質GDP成長率の1/3」を乗じて計算することとされている。地方財政委員会においては、総額を増加すべきであるとの議論は行われない。これは、フルカド委員長が、地方財政委員会の任務は、法律を決めることではなく、法律を適用することであると考えていることによるものとのことである。
(2)地方財政に関する法律案、政令案についての諮問を受けること
・地方財政に関する政令案については、地方財政委員会に諮問することが義務づけられている。
・地方財政に関する法律案については、地方財政委員会に諮問することは義務づけられてはいないが、慣例として諮問している。予算法については、地方財政に関する部分を閣僚会議にかける前に地方財政委員会に諮問している。
(3)地方団体の財政状況に関する報告書を作成すること等
 
○地方財政委員会において交付金の分配について決定する際には、必ず全員一致で決定している。これは、フルカド委員長が幅広い意見を総括することができることによる。さらに、議員は地方の役職と国の役職を兼職しており、また、地方財政委員会の委員は、地方財政の専門家ということで選ばれた者であり、右派・左派の違いを超えたバランスをとることができることにもよる。
 なお、票決を行う唯一の場合は、法律案や政令案に対する意見の相違が大きいときであり、議決に反対票が明記される。
 
○地方財政委員会の委員は、国会議員4人(上院2人、下院2人)、州議会議長2人、県議会議長4人、広域行政組織の長7人、メール15人、各省庁代表11人の計43人である。
 
○地方財政委員会は、年に6〜8回開催される。総会は、年に3回開催される。
 
○地方財政委員会の事務局は、内務省地方団体総局に設置されている。地方財政委員会については、GDFの一部により事務局予算(10人分)が措置されているが、独自の職員はおらず、内務省が雇用した職員が地方財政委員会の事務に従事している。
 
(2)職業税について
○シラク大統領は、今年の新年の挨拶で、「企業の投資の能力を十分に発揮させるため、職業税を新たな措置、すなわち産業に対して過重な不利益を与えることなく、経済活動の多様性をより勘案した措置によって代替することが必要不可欠となっており、それに取り組まなければならない」と述べる一方で、「政府は当然のことながら地方団体の財政のために当該措置を中立化することに十分に留意する」と述べた。
 
○他方、昨年改正された憲法第72条の2第3項においては、「いかなる地方団体においても、税収及び固有財源が、当該地方団体の全収入のうちで決定的な割合を占めなければならない」と規定されている。「決定的な割合」については、現在国会において審議されている地方団体の財政自主権に関する組織法律案において、地方租税等を固有財源と定義した上で、歳入全体に占める固有財源の割合が2003年の数値を下回ってはならないこととされている。この固有財源には交付金や補助金が含まれないため、職業税を廃止するとともに交付金により補償するという従来と同様の手法をとることはできず、別の地方税を創設する等の措置が必要になるのではないかと考えられており、現在具体的な対応が検討されているところである。
 
[3 ドイツ]
(1)財政計画会議(Finanzplanungsrat)について(資料3)
○財政計画会議は、1968年に、連邦、州、市町村の間における予算や財政計画の調整を行う機関として、予算原則法に基づき設立された。
 
○財政計画会議は、設立当初には、景気統制の観点から、連邦、州、自治体の負債枠を抑制するために調整することが目的とされていた。1980年代に入ると、財政計画会議の課題は、安定した経済情勢のもとでの統制に移った。近年では、安定成長協定(Stability and Growth Pact)を踏まえ、連邦、州、市町村がどのように財政赤字の抑制を実現することができるか協議されている。
 
○財政計画会議においては、連邦、州、市町村の予算や財政計画について協議され、協議結果は連邦、州、市町村に対して推奨される。財政計画会議の勧告は、法的拘束力を持たない。(これまでも、連邦及び諸州の憲法においてそれぞれの財政的独立が保障されているため、限界があると指摘されてきた。)ただ、今回の調査においては、財政計画会議の勧告は、政治的拘束力を持っており、遵守される傾向にあるとのことであった。
 なお、財政計画会議においては、予算や財政計画における歳入、歳出、負債といった数字について協議されており、営業税改革等の制度論については議論されない。
 
○財政計画会議における勧告は、満場一致で決定される。意見が異なる場合には、満場一致になるまで調整が続けられる。歳出や歳入の予測は、そのときの経済情勢に基づくものであることから、予測数値について意見が異なることがあり、その結果、歳出を抑制すべきかどうかについても意見が異なることがある。
 なお、財政計画会議の大きな目的を決める場合には、財政の専門家が集まっているので、大体意見が一致するとのことである。
 
○安定成長協定への対応については、2002年3月に、連邦は2003年から2004年にかけて財政赤字を0.5%ずつ減らすよう努め、州は財政赤字の上昇を1%以内に抑制することで同意した。しかしながら、この同意は経済の回復が前提とされており、実際には実現されなかった。
 安定成長協定については、毎年遵守すべきであるという意見がある一方で、景気活性化のためある程度の負債はやむを得ないという意見もある。ただ、2005年には目標を達成しなければならないと考えられているとのことである。
 
○財政計画会議は、連邦財務大臣(議長)及び経済雇用大臣、16州の財務大臣、市町村及び市町村連合代表が集まるとともに、通常は連邦銀行総裁が出席する。
 
○財政計画会議は、年に2回、6月と11月に開催される。
 なお、2002年6月12日に開催された会議に関する報道資料を資料3中に添付している。
 
(2)ドイツ都市会議及びドイツ市町村連盟について
○市町村が連邦や州に直接働きかけるための連合組織としては、ドイツ都市会議(郡独立市及び比較的大きな郡所属市が所属)、ドイツ市町村連盟(郡所属市町村が所属)等がある。なお、今回訪問したドイツ都市学研究所は、ドイツ都市会議に属する研究機関である。
 
○これらの連合組織の主な目的は、市町村の利益を連邦政府、連邦議会、連邦参議院等の連邦諸機関に表明するとともに、加盟市町村間の情報交換を促進し、又は加盟市町村へ有益な情報提供等を行うものである。市町村は、国に対して働きかけようとするときには、これらの連合組織を利用するとのことである。
 
(3)市町村財政制度改革について
○ドイツの市町村財政は、営業税をはじめとして税収が減少する一方で、社会保障費が大幅に増加する等、厳しい状況にある。これに対し、ドイツ都市会議等の要請を受け、2002年に市町村財政改革委員会が設立された。しかしながら、市町村財政改革委員会における検討事項は、市町村の要望とは異なり、営業税改革及び失業手当と生活保護の統合に限定された。
 
○市町村財政改革委員会は、連邦財務大臣、連邦労働・社会大臣(第二次シュレーダー政権発足に伴い連邦産業・労働大臣に)、連邦内務大臣及び連邦産業大臣並びに州、市町村、産業界及び労働組合の中央組織の代表により構成される。議長は、連邦財務大臣と連邦労働・社会大臣が務める。
 
○市町村財政改革委員会においては、営業税改革について、改革のモデルを作成するとともに、その影響を定量化した。検討の結果、次の2つのモデルに集約され、最終的には、市町村モデル(A)が受け入れられた。
A ノルトライン・ヴェストファーレン州モデル(後の市町村モデル)
・営業税の近代化
・課税対象に全ての利子、賃貸料、用益賃貸料及び動産の分割払いリース料を含める
・課税対象に自由業を含める 等
B ドイツ産業連盟・化学工業連盟モデル
・営業税の廃止
・法人税の引上げ、連邦・州の所得税の引下げ、共通税率の市町村付加税を所得税及び法人税に上乗せ 等
(※ 市町村財政改革委員会作業グループ資料(2003年11月24日)より)
 
(参考)現行の営業税について
・納税義務者は、ドイツ国内の当該市町村において営業活動を行う個人又は法人の事業者であるが、農林業、自由業等については非課税とされている。
・課税標準は、「営業所得+加算項目−減算項目−営業損失繰越控除額−基礎控除額」により計算される。加算項目には、企業の設立又は買収、出資等による長期債務に係る利子の2分の1、不動産以外の設備賃借料の2分の1(賃貸者が営業税を支払っている場合でその賃借料が125,000ユーロを超えない場合を除く。))等がある。
 
○しかしながら、連邦政府が作成した法律案においては、課税対象に自由業を含めることは盛り込まれていたが、現在課税対象とされていない他人資本収益の要素を含めることは盛り込まれなかった。さらに、この法律案は、連邦議会においては若干の修正を加えた上で可決されたものの、野党が大半を占める連邦参議院においては可決されなかった。このため、両院協議会の協議に付されたが、結局、営業税については従来の制度が継続されることになり、連邦及び州に納める営業税納付金の率の引下げのみが行われた。







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