1）国庫補助金の構成

　国庫補助金は4つの部分から構成されている。すなわち所得平衡化補助金、費用平衡化補助金、一般補助金、移行措置の4つである。

　国庫補助金のうち、一般補助金を除く補助金の原資は全て地方政府が拠出をする。すなわち、裕福な地方自治体が拠出し、貧しい地方自治体が受け取るという形で、差し引きゼロになってしまう仕組みを採っている。そのため、常に拠出をしている自治体（Stockholm等）は不満が大きい。最初は補助金の分配を、日本でいう知事会や市町村会が行っていたが、そうするとStockholmはそれらから脱退することを表明し、知事会や市町村会で補助金のコントロールができなくなったため、現在では建前として国に負担金を納め、そしてそれを地方が分けてもらうという形を採っている。（実質的には各自治体が税金の中から負担金を出し、それを必要な市町村がもらうという仕組みになっている。）

　

2）2003年度の国庫補助金

　2003年度には、一般補助金を上回る拠出金を負担しなければならなくなったのは2つのLandstingと23のKommunであり、残りが受け取る方にまわった。総額は431Krでそのうち80億KrがLandstingに、351億KrがKommunに配分された。

　

　

　

　

　

3）一般補助金の補助額

　

　

　2002年と比べて2003年に一般補助金が減ったのは、2003年から一般補助金の原資がすべて国の収入からまかなわれるようになったからである。

　

4）所得平衡化補助金

　所得平衡化補助金は、自治体間の所得格差を縮小し平均的な所得を保証するためのもので、平均値を超える自治体は負担金を拠出し、平均値を下回る自治体は補助金を受け取るという仕組みになっている。各自治体の所得を計算する際には、各自治体が税率を操作して補助金額に影響が出ないように均一の税率（県ごと）を使うことになっている。また補助金による限界的なマイナス効果を避けるために、2001年から調整措置が導入されている。すなわち、2年間の所得、つまり担税力の変化（所得の平衡化が行われた後のネットの変化）を、その95%は全国平均によって、残り5%だけを自分の自治体の変化によって計算することとなった。したがって、このような調整は自治体の税率の95%が均一の税率より低い自治体で実施されている。（例えばHaninge Kommunの2002年の税率は19.58%である。その税率の95%（18.60%）はStockholm県の均一の税率18.93%よりも低いので調整が行われた）2003年には、81のKommunと6つのLandstingがそのような調整を受けた。

　

　2003年度には237のKommunが補助金を受け53のKommunが負担金を拠出した。その特徴的なKommunは次のとおりである。

　

　

　

　Landstingについては、2003年にはStockholmだけが拠出をし、残り全てが受け取る方に回った。特徴的なLandstingについては、次のとおりである。

　

　

　

5）費用平衡化補助金

　費用平衡化補助金は自治体の必要性や費用の格差を小さくさせるための補助金である。しかし補助金の額は、サービスの水準、質、効率性、料金の設定等によって生じる格差を反映するわけではなく、Kommunについては16のモデルにしたがって、Landstingについては3つのモデルにしたがって計算が行われる。各モデルでは全ての自治体の標準的な費用データが集められ、その平均値が求められる。その平均値より高い費用のかかる自治体は補助金を受け取り、低い自治体は負担金を拠出する。補助金総額と負担金総額は原則として一致する。

　

　2003年には、133のKommunが負担金を拠出し、156のKommunが補助金を受け取った。総額は52Krであった。特徴的なKommunは次のとおりである。

　

　

　

　Landstingについては、2003年には9のLandstingが負担金を拠出し、残り12のLandstingが補助金を受け取った。総額は15億Krであった。

　特徴的なLandstingについては、次のとおりである。