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15. 自立生活とは何か
 自立生活運動は1970年代に、アメリカで医療的なリハビリテーションが障害者を一生患者扱いし、自己決定権や自己選択権を与えてこなかったことに反対して、障害の自己肯定と自己尊厳の回復を、自らが福祉サービスの受け手から提供者になることによって達成しようとし、大きな成果をあげてきた。この理念は、「障害は克服しなければならぬもの」との価値観をこれまで植えつけられてきた障害者にとって、180度転換した思考方法を与え福音となった。つまり、障害は個性であり何ら更生する必要のないもの、変わるべきものは、車椅子者を配慮しない駅の階段や障害者を受け入れない学校や企業であり、人の心である。障害は社会が作り出したものであるとの発想の転換をしたのである。
 地域で障害者が暮らしていくために必要となる「力」には障害者に特有なものが多い。それも知識としてではなく、体験や実行する中で獲得していく質のものが多い。介助を受ける立場から介助者を管理する力、調整能力、交渉能力が求められる。これはいわば従業員を5〜20名抱えた事業主の心境であろう。これを教えてくれる機関はILセンターの他にあるとは思えない。専門職の教育課程にはこのような科目は今のところない。
 ILセンターでは、これにあたるサービスが自立生活(以下IL)プログラムである。単なる生活力のスキルであれば、一般的な専門家がリハビリテーションセンターで教えても同じではないかと考えられるが、ところが経験や体験、実行から学ぶことは社会の中で突発的な事象が起こったり、偶然街で出会った人との関係性の中から生まれてくる。リハビリテーションセンターのような閉鎖的空間の中でその体験をすることは不可能であろう。ILセンターのILプログラムは、親元や施設にいて失敗を経験できなかった人に失敗をさせるためのプログラムだとも言える。危険回避とか責任の所在という陳腐な管理思想を解き放ち、自己責任と自己管理という、人間本来の権利を障害者に取り戻していくのが自立生活運動でもある。
 
 米国ILセンターの資格要件、ILセンターが連邦政府の補助金を受けるための資格要件は、リハビリテーション改正法(1978年)によると、次のように規定された。
1 運営委員の51%は障害者であること
2 重要な決定を下す幹部の一人は障害者であること
3 職員の一人は障害者であること
4 総合的なサービスを提供すること
5 そのサービス内容については、全米障害者評議会が1985年に規定した−情報提供と照会(介助者や住宅など)−ピア・カウンセリング(仲間の障害者によるカウンセリング)−自立生活技能訓練−権利養護活動これらのサービスは主要なものと考えられ、その他のサービスも奨励されている。また、サービス対象を一つの障害に限定せず2つ以上の障害とするなどILセンターの基準は年々厳しくなっていった。
 JILの規約は以下の通りであるが、米国の自立生活センター協議会(NICL)に見習うことが多い。
(1)意志決定機関の構成員の過半数は障害者であること。
(2)意思決定機関の責任者又は実施責任機関の責任者が障害者であること。
(3)障害種類を問わず、サービスを提供していること。
(4)情報提供、権利擁護活動を基本サービスとして実施している以上、さらに次のサービスを行っていること。
(a)自立生活プログラム
(b)ピア・カウンセリング
(c)介助サービス
(d)住宅サービス
 そして2つ以上のサービスを行っているセンターを正会員、1つ以上のサービスを行っているセンターを準会員、いずれかのサービスを準備しILセンターの設立を目指しているセンターを未来会員とした。
 
歴史人口学(historical demography)
 統計的なデータが整備される以前の時代を対象とした人口学研究の分野のことで、教会の洗礼や婚礼、死亡の記録、穀物の出来高、収税の記録などのデータ解析が主要となる。西欧ではフランスの人口学者アンリがキリスト教会教区簿冊の分析に家族復元法という分析法を応用して、人口動態登録のない時代の出生率、死亡率推計を行った。日本では宗門改帳、懐妊帳を用いて徳川時代の人口動態の推定を行っている。宗門改帳は世界でもまれな、近代社会以前の部分的センサスとも見なされるが、乳児死亡推定に難点がある。しかし最近発達した人口分析の方法の利用によって、この問題も克服されつつあり、これまで停滞していたと考えられていた徳川期の人口に新しい光があてられ始めた。
 
1. A.M.N(アート、マネジメント、ネットワーク)
 社会問題をともに芸術活動という異分野で活動する人が力を発揮できるような場所をいう。
 
2. I.A.D.L
 手段的日常生活動作。個人が家庭内等で生活するに機械等を補助手段として用いて生活すること。
 
3. I.Q(intelligence quotient)
 知能指数
 
4. I.C.H
 中間的ケア施設
 
5. I.C.U(intensive care unit)
 集中治療室
 
6. アイデンティティ(identity)
 同一性、存在の自己証明、精神分析学上、青年期の自己成長に重要な意味をもつ自己同一性から主体性、自分の正体などの意味にも用いられる。
 
7. I.P.P方式
 個人のプログラムプラン
 
8. アカウンタビリティー(accuntability)
 一般的には「責任のあること」と訳されるが、社会福祉サービスでは、説明責任という用法で使われる。最近はこれに努力を払うことが重要とされてきた。
 
9. アクション・リサーチ(action research)
 社会福祉調査のひとつ。サービス利用者の具体的な社会生活の条件を変えて、改良することを目的とした実践活動とその効果の分析からなる。
 
10. アクセシビリティー
 障害などにかかわらず円滑に利用できること。
 
11. アクセス・フリー(access free)
 公共の建築物等で、身体障害者の利用に配慮した設計のことをいう。
 
12. アクティビティ・サービス(activity service)
 利用者の日常生活における心身の活性化のため、様々な活動(アクティビティ)を提供するサービス。アメリカでは、様々なアクティビティ・サービスの名のもとに専門的なワーカーによる活動提供が広く行われている。
 
13. アクティブ80ヘルスプラン
 第二次国民健康ブーム対策
 
14. アグレッシブ・ケースワーク
 問題をもち、社会福祉施設・機関の援助が必要であるにもかかわらず、援助を求めない対象者に対して、援助側が積極的に働きかけ、家庭訪問などによって問題解決に取り組む個別援助活動。
 
15. アシスタント(assistant)
 助手、補佐する人、補佐役
 
16. アセスメント(assessment)
 事前評価、初期評価。福祉分野では援助活動に先だって行われる連の手続き。
 
17. アドバイザー(adviser)
 相談相手、助言者、忠告者、顧問
 
18. アドボカシー(advocacy)
 権利擁護
 
19. アドミニストレーション(administration)
 社会福祉運営管理
 
20. アメニティ(amenity)
 快適な環境。生活の快適さ。「静かさ」「美しさ」「プライバシー」が条件といえる。
 
21. アルコール依存症
 長期にわたる大量の飲酒により、心身の健康を害し、円滑な社会生活が著しく困難な状態をいう。アルコール中毒。
 
22. アルツハイマー病
 初老期痴呆疾患のひとつ。1906年A・アルツハイマーによって報告された、痴呆を主症状とする原因不明の脳の器質的疾患。
 
23. アンビバレンス(ambivalence)
 両面価値の感情。愛情と憎悪、独立と依存、尊敬と軽蔑等の全く相反する感情を同時にもつことをいう。
 
24. 安楽死
 死期の迫った患者を肉体的・精神的苦痛から解放するために人為的に死をもたらすこと。しかし様々な問題が内在されている。
 
25. 医学的リハビリテーション
 リハビリテーションの中の医学的側面。
 
26. 生きがい保障
 すべての人が生き生きと暮らし、生きがいをもって生きられるように援助すること。従来の社会福祉が「生活保障」を重点に考えてきたのに対し、これからは「生きがいの保障」が課題となってきた。
 
27. 育児・介護休業法
 育児・介護に関する休業を認める法律。
 
28. 依存的ニーズ
 在宅福祉サービスによるよりは、むしろ全面的な援助をサービス供給主体に依存する状態をいう。具体的には(生活)施設福祉サービスで対応するようなニーズがこれに当たる。サービス利用者の個別ニーズに対応する自立的ニーズ(在宅福祉サービスで対応するニーズ)に対比して用いられる。
 
29. 委託事業
 国及び地方公共団体の事業の中で、社会福祉法人、民間事業者等に行わせることが効果的な場合の事業の委託をいう。契約に基づき事業の内容を定め、委託の対価として委託事業費の支払いが行われる。居宅介護事業(ホームヘルプサービス)などが代表的。
 
30. 一時保育
 専業主婦の育児疲れ解消、急病等の対応のために、一時的に行われる保育。
 
31. インスタント・シニア(instant senior)(高齢者疑似体験)
 1988年にカナダ・オンタリオ州政府高齢市民局により開発されたもの。日本では1992年に「日本ウエルエージング協会」がカナダ・オンタリオ州政府より実施を認められて国内の講習会等でとり行っているもの。
 
32. インスティテューショナリズム
 病院という特殊な環境での長期生活により病による障害に加えて、施設症なる二次的障害をもつに至る者も多い。
 
33. インテグレーション(integration)
 社会福祉の対象者の処遇に当たり、対象者が他の人と差別なく地域社会と密着した中で生活できるように援助すること。又地域の中でハンディキャップを持った人が日常生活に支障をきたさないように地域住民、関連団体が中心となって問題解決に当たることという二つの意味を持つ。
 
34. 院内感染(hospital inlection)
 命にかかわる黄色ブドウ球菌の中でも抗生物質に対し強い耐性を示す「MRSA」メチシリン耐性黄色ブドウ球菌という厄介な菌の感染が増える。
 
35. インフォーマル・ケア(informal care)
 近隣や地域社会、ボランティア等が行う非公式な援助のこと。公的機関のフォーマル・ケアと対比する。
 
36. WAIS-R成人知能検査
 D・ウェクスラーによって考案された成人向け知能検査法。
 
37. ウエル・エイジング・コミュニティ法(民間老後施設促進法)
 厚生労働省が1989年(平成元年)に高齢者向けの総合的街づくり計画として打ち出した。厚生労働省は有料老人ホーム健康増進施設、総合福祉センター、在宅介護支援センターを一括に、建設する事業者に資金援助をする制度を導入した。
 
38. ウェルビーイング(well-being)
 ウェルビーイングは1964年に世界保健機関の草案によって初めて登場した概念。「健康とは身体的・精神的及び社会的に良好な状態(well-being)であって単に病気でないとか、虚弱でないということではない」。
 
39. H.I.V
 薬害エイズ被害者(H.I.V.感染者、患者)。12月1日は世界統一のエイズデイである。
 
40. H.F.A
 高機能自閉症
 
41. H.C.U(Hospice care unit)
 終末医療患者。死が確実視される終末医療患者に対し、治療のためでなく残された月日をより人間らしく生きて死にたいという願い、患者を精神的に援助するケアをいう。
 
42. ALS
 筋萎縮性側索硬化症
 
43. A.T.L
 血液ガンの一種で成人T細胞白血病のこと。
 
44. A.D.L(activities of daily living)
 日常生活動作訓練、日常生活動作
 
45. A.D.H.D(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)
 注意欠陥多動性障害又は多動症候群(注意欠陥多動性障害)。原因は不明。注意集中困難及び、多動障害(子供を中心に)。
 注意力欠如とは、注意を集中していられる時間が短い、注意の方向がすぐ変わる、不注意な行動が多い、などといったことです。そのため、指摘されたことをすぐに忘れて同じ指摘を何度も受けるといったこともあります。衝動性とは学校のルールが守れない、順番が待てずに列の中に割り込んでいったり、他人の行動に割り込んでいったり、質問が終わる前に答えてしまったり、おしゃべりがひどいなどといったことがあります。これらの症状は子どもが面白くないことがあるために反抗したり、自分に感心を持ってもらおうなどという意図からおこしているわけではありません。また、このような症状は知的発達の遅れがある子どもにしばしばみられますが、知的発達の遅れがないこと、ほかに病気がないこともADHDを診断する上での重要なポイントです。症状が7歳前からみられること、6ヵ月以上持続すること、家庭、学校、地域、診療所など2ヵ所以上の環境でみられること、その結果として社会に適応できないということも診断上でのポイントです。診断基準はWHO(世界保健機関)。
 
46. AC自助グループ
 アルコールや虐待などの問題を抱えた家庭に育ち大人になってから「生きにくさ」を感じている人の集まり(AC=アダルト・チルドレン)。自分の体験や悩みなどを話し合って解決の道を探る。普段の生活ではいえない悩みなどを安心して話せる場として心のよりどころになっている。米国のソーシャルワーカーが生み出した概念で1980年代に広く認知された。日本では1989年にA.Cに関する著作が翻訳され、その後、研究や活動が広がっている。
 
47. エコマップ
 社会福祉援助において、利用者や家族や様々な社会資源との関係を地図のようにシステム的、図式的に描き出すこと。
 
48. S.I.C
 生活支援サービス
 
49. S.A.S
 睡眠時無呼吸症
 
50. SST
 生活技能訓練
 
51. S.W
 日本ソーシャルワーカー協会
 
52. ST
 言語聴覚士
 
53. S.T.D
 性行為感染症。米防疫センター(C.D.C)の研究チームによる皮膚に潰瘍発疹を生じる性行為感染症はエイズ後天性免疫不全症候群。ウイルスを感染させる危険因子。
 
54. エバリュエーション
 事後評価。社会福祉援助の終了、又は一段落の時に、今までの過程について判定すること。アセスメントの対語。
 
55. NSW
 医療ソーシャルワーカー。
 
56. NGO(non governmental organization)
 非政府組織の国際協力活動団体。本来は政府機関でない民間組織を指すもの。
 
57. N.P.O(non profit organization)
 営利を目的としない特定非営利活動促進法非営利組織のボランティア。市民団体に法人格を与え幅広くその活動を支援しようとする市民活動の促進を計ることを目的としてつくられる。平成10年3月19日成立 平成10年12月1日施行。
 
58. エバーフェルト制度
 ドイツの救貧制度の一つ。ハンブルグ・システムを修正して、1852年でエバーフェルト市の条例により実施された。その特徴は、ボランティアの救貧委員が、担当地区(1区3世帯以下)を受け持ち、個別援助(ケースワーク)的手法により、救済・指導に当たった点である。地域社会単位で組織的・継続的に市民活動として救貧を行った先駆的な例(我が国の民生委員の原型)といえる。
 
59. M.A(mental age)
 精神年齢。生活年齢に関係なく、知能面での個人の発達の度合いを年齢で示したもの。
 
60. M.S.W
 医療ソーシャルワーカー
 
61. M.D(the mantally deficient)
 精神薄弱者
 
62. M.P.N
 大腸菌群数
 
63. L.A(life age)
 生活年齢(現在の満年齢をいう)。又は暦年齢ともいう。
 
64. LD
 学習障害。
 
65. 援助者
 ソーシャルワーカー、ケースワーカー、グループワーカー、コミュニティワーカー、介護者、家族、近隣の人々、ボランティア等援助する人の総称。
 
66. エンゼルプラン(angel plan)
 平成6年11月に文部、厚生、労働、建設の4大臣合意により、今後の子育てのための施設の基本的方向について公表したもの。このプランは少子化傾向の持続的な展開が子供の健全発展だけでなく、将来の労働力不足や社会保障費用の負担増につながる等の影響に配慮し、子育て支援の総合的対策を示したもの。施策の基本的方向としては、(1)子育てと仕事の両立支援(2)家庭における子育ての支援(3)子育ての住宅及び生活環境の整備(4)ゆとりある教育と健全育成の推進(5)子育てコストの軽減等を示し、それぞれの重点施策を打ち出し、その計画的推進を図ることとしているもの。







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