(4)諸外国の動向
パルス圧縮、FM-CW等の新しい方式のレーダーは、諸外国の海軍においてすでに艦艇に搭載使用されている。軍用のため詳細が不明であるが、多くのレーダーがパルス圧縮方式を採用しているものと思われる。
図1-13はフランス海軍のラファイエット(La Fayette)級に搭載されている対空・水上捜索レーダー「シータイガー マーク2(Sea Tiger Mk2)」の例であり、パルス圧縮方式を採用していることがJANE年鑑等で公表されている。同レーダーの主要諸元を表1-3に示す。なお、軍用のため、送信出力、パルス幅、周波数変調幅、パルス圧縮率等の電波諸元は公表されていない。また、送信機が半導体化されているかも不明である。
図1-13 シータイガー 対空・水上捜索レーダー
表1-3 シータイガー 主要諸元
方式 |
パルス圧縮 |
周波数 |
Sバンド |
送信出力 |
不明 |
パルス幅 |
不明 |
圧縮率 |
不明 |
アンテナ利得 |
30dBi |
回転数 |
15/30rpm |
機能 |
MTI他 |
|
図1-14はスウェーデン海軍のヴィズビィー(Visby)級に搭載が予定されている多機能レーダー「シージラフAMB(Sea Giraffe AMB)」の例であり、性能諸元は不明であるがデジタルパルス圧縮を採用していることがカタログで公表されている。送信機はTWT(Traveling wave tube: 進行波管)が使用されており、半導体化はされていない。
図1-14 シージラフ 多機能レーダー
搭載用ではないが、パルス圧縮の性能が公表されており、なおかつ送信機が半導体化されている例として、ASR(Airport Surveillance Radar: 空港監視レーダー)がある。図1-15はASR-11の例であり、表1-4に主要諸元を示す。同図表に示すように、送信機は半導体化されており出力18kWを得ている。また、89μsのチャープパルスを送信し、受信時に1/100のパルス圧縮処理を行っている。
図1-15 ASR-11 空港監視レーダー
表1-4 ASR-11 主要諸元
方式 |
パルス圧縮 |
周波数 |
Sバンド |
送信出力 |
18kW |
パルス幅 |
89μs |
圧縮率 |
100/1 |
アンテナ利得 |
34dBi |
回転数 |
15/12rpm |
機能 |
MT I他 |
|
|