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表紙の説明
名詩の周辺
 
宝船(藤野君山)
東京・隅田川七福神
 明けましておめでとうございます。いよいよ平成十五年の幕開きです。今年が良い年でありますように、の願いを込めて、本年最初の表紙は藤野君山作「宝船」を取り上げました。この詩は、さまざまな宝物を積み、七福神を乗せた帆船「宝船」を詠じたおめでたい詩で、結婚の披露宴をはじめ、誕生・長寿・進学・卒業・大願成就などの祝事の席でよく吟じられます。
 七福神は、福徳の神として信仰され、全国各地に多くの七福神がありますが、隅田川七福神は、江戸時代、向島の百花園に集まっていた谷文晁(たにぶんちょう)、大田南畝(なんぼ)(蜀山人)など当時の文人墨客が百花園にあった福禄寿を中心に、付近の社寺から七福神を探し出したのが始まりといわれ、それをめぐって正月の一日を楽しむ会を作りました。現在でも正月には多くの参拝者があり、はとバスのコースにも正月七日間の特別コースとして加えられています。
 (隅田川七福神=東武伊勢崎線・業平橋から北へ徒歩15分の言問橋(ことといばし)東結の三囲(みめぐり)神社(恵比須・大黒)を出発点として、隅田川沿いに北へ弘福寺(布袋)、長命寺(弁財天)、向島百花園(福禄寿)、白鬚神社(寿老人)、多聞寺(毘沙門天)と回るのが、一般的です)〉
 
取材――株式会社 サークオン
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水六訓
一、あらゆる生物に生命力を与えるは水なり。
 
一、常に自己の進路を求めてやまざるは水なり。
 
一、如何なる障害をも克服する勇猛心と、よく方円の器に従う和合性とを兼ね備えるは水なり。
 
一、自から清く他の汚れを洗い清濁併せ容るの糧あるは水なり。
 
一、動力となり光となり、生産と生活に無限の奉仕を行い何等報いを求めざるは水なり。
 
一、大洋を充し、発しては蒸気となり、雲となり、雨となり、雪と変じ、霰と化してもその性を失わざるは水なり。
 
 水を心とすることが平和と健康と長寿の妙薬であります。
笹川良一
 
明日への提言
新しき(あらたしき)年の始の初春の
今日降る雪のいや重け(しけ)吉事(よごと)
河田神泉
 
 
 あけましておめでとうございます。
 本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。
 表題の和歌は、奈良時代後期の歌人で万葉集に四百七十余首を収め、その編者といわれる大伴家持のもので、一月二日のNHK教育テレビの新春吟詠放送で、私が吟じさせていただいたものです。
 例年でしたら笹川鎮江会長が吟じられていたところでございますが、ご体調の都合でご出演がかなわず、僭越ながら私が朗詠することになりました。
 この和歌は万葉集の掉尾を飾る和歌としてたいへん有名です。
 新しい年の始めの今日、めでたく降る雪が次第に降り積もっていくように、いよいよ良い事が重ねてあることを願っています。というような内容ですが、誰もが年の初めに願う心がそのまま言葉になったような和歌です。
 この和歌は、昨年の国民文化祭・とっとり二〇〇二「全国吟詠剣詩舞道祭」(十一月三日・鳥取県民文化会館梨花ホールで開催)の地元企画構成作品「因(いん)・伯(ぱく)の郷(さと)を明日に告げる」の中でも、大伴家持が因幡守としてこの地に任官していたときに詠った鳥取県を代表する作品として朗詠されていました。
 この国民文化祭の時、たまたま飛行機の都合で一日早く鳥取入りされていた鈴木吟亮専務理事ら東京からの一行が、佐藤翔徳鳥取県総連盟理事長の案内で鳥取砂丘などと併せて、この和歌が刻まれた大伴家持歌碑や因幡万葉歴史館を見学されたことを聞きましたが、それは願ってもないたいへんよいことをされたと今でも思っています。
 
明治天皇ご誕生百五十年の年に、記念すべき財団創立三十五周年の大会
 財団最大の事業である全国吟剣詩舞道大会、愛称・武道館大会。今年は三十五年の節目を迎えた、記念すべき大会でした。また、明治天皇生誕百五十年目の記念すべき年でもあり、嬉しいことが重なった大会となりました。
 
2002
国民文化祭協賛事業
高松宮妃癌研究基金奉賛
 
第三十五回全国吟剣詩舞道大会
日時■平成十四年十一月十日(日)
場所■日本武道館
主催■財団法人日本吟剣詩舞振興会
後援■文化庁・財団法人日本武道館・NHK・日本民間放送連盟
 
式典に列席した財団役員諸氏
 
来賓を代表して挨拶する山田友治文化庁主任芸術文化調査官
 
企画番組の冒頭、ビデオ出演した笹川鎮江会長
 
 三十五年の時を迎えた本大会の幕開きは、鈴木吟亮専務理事の開会の言葉から始まりました。
 つづいて、各流各派が合吟を競う、平成十四年度全国吟詠合吟コンクールが行なわれ、その先陣を切ったのが「城山」を合吟した大分県吟剣詩舞道総連盟男子でした。六十六団体、総勢三千六百名のスケールの大きなコンクールで、合吟のもつ壮大感を十分に堪能することができました。なかでも「早に白帝城を発す」を吟じた六十五番手の寿岳流信濃吟詠会ガールスカウト学生女子(長野)と「偶成」を合吟した六十六番の天山流里白石少年部(福島)は、少年少女たちが懸命に合吟する姿が愛らしく、微笑ましい吟を聞くことができました。そして、晴れの栄冠を勝ち得たのは、契秀流吟詠会女子(神奈川)のみなさんでした。優勝するのにふさわしい、日々の努力が感じられる素晴らしい合吟でした。コンクールが終了すると、次は全国コンクール優勝者による吟詠、剣舞、詩舞、群舞が披露されました。幼年の部では吟詠を西田和樹くん、剣舞を桜井京子さんによって「爾霊山」が演じられ、同じ吟で詩舞を鈴木恵美子さんによって「佳賓好主」が演じられました。少年の部では後藤未由子さんの吟詠、大野晶子さんの剣舞で「爾霊山」が、同じ吟で、長岡加奈さんの詩舞による「佳賓好主」を見ることができました。青年の部は鍋谷明美さんの吟詠、多田和晃さんの剣舞で「赤壁」、同じ吟で、石渡千紘さんの詩舞による「漢江」が、一般一部では志田香織さんの吟詠、新藤正代さんの剣舞による「和歌・返らじと」と、同じ吟で今脇眞弓さんの詩舞による「青葉の笛」を楽しむことができました。一般二部は中島豊さんの吟詠、稲垣和子さんの剣舞で「和歌・返らじと」が、また同じ吟で、山名千鶴子さんの詩舞によって「青葉の笛」が披露されました。吟詠一般三部は桜井進さんが「山行同志に示す」を朗々と吟じました。いずれも優勝者らしい、立派な吟剣詩舞を披露してくれ、会場に感動を与えてくれました。
 午後の始まりは式典からで、河田神泉会長職務代行・副会長が挨拶され、つづいて来賓挨拶では山田友治文化庁主任芸術文化調査官が河合隼雄文化庁長官の代理として、吟剣詩舞の意義や古典芸能の大切さを語られました。次に平成十四年度吟剣詩舞大賞受賞者が発表され、吟剣詩舞功労賞を受けたのは、榊原静芳、小幡神叡、金井心彰、坂本岳雄、黒木厚城の各氏でした。新少壮吟士の紹介では、大木詠岳、米本耿泉の両氏が緊張した面持ちで賞状額を受けていました。
 
合吟コンクール喜びの声
 
優勝 契秀流吟詠会女子(神奈川)
 
 
佐藤契渚さん(右)
 「予想していませんでしたから、大変感激しています。皆がひとつになって、今日の成果があると思います」
加藤心琵さん(左)
 「同じく、大変喜んでいますし、今日は皆さんの気持ちがひとつになれたと思います。」
 
二位
泰洲流詩吟朗詠会女子(三重)
 
 
藤井鐘洲さん(左)
 「練習に皆さんが揃ってくださり、また、いろいろな方がサポートしていただいた結果だと思っています」
後藤洲雪さん(右)
 「一生懸命練習した甲斐があり、とても嬉しいです。この喜びを会員の方にも早速知らせたいと思います」
 
三位
心彰流愛吟詩道会女子(群馬)
 
 
広町心純さん(左)
 「とても嬉しいです。でも、できれば優勝したかったですね。こんどは、もっとがんばります」
井上心彰さん(右)
 「十二年間通った甲斐がありました。今日は楽しんでできたのがよかったと思います」
 
平成14年度全国吟詠合吟コンクール入賞団体
優勝 契秀流吟詠会 女子(神奈川)
第2位 泰洲流詩吟朗詠会 女子(三重)
第3位 心彰流愛吟詩道会 女子(群馬)
入賞二十二団体(出場順) 神奈川県吟剣詩舞道総連盟 男子(神奈川)
岳精流日本吟院 男子(神奈川)
吟亮流和花菜会 女子(東京)
日本吟声流 女子(熊本)
(社)哲泉流日本吟詠協会中国地区支部連合 女子(岡山)
詩歌吟詠景心流六映会 女子(京都)
(社)日本吟道学院 女子(東京)
朝翠流朝翠会本部 女子(東京)
長崎県吟剣詩舞道総連盟 女子(長崎)
日本吟心流詩吟國舟会 女子(神奈川)
東京都吟剣詩舞道総連盟 女子(東京)
(社)日本吟道学院群馬吟道会 女子(群馬)
山梨県吟剣詩舞道総連盟 女子(山梨)
契秀流吟詠会 男子(神奈川)
豊晃吟道会 女子(福岡)
日本国風流詩吟吟舞会千葉県地区本部 女子(千葉)
千葉県吟剣詩舞道総連盟 女子(千葉)
吟詠静凰流 女子(東京)
神奈川県吟剣詩舞道総連盟 女子(神奈川)
聖風流吟道会 男子(長野)
淡窓伝光霊流大分詩道会 女子(大分)
清吟堂吟友会 女子(愛媛)
 
新少壮吟士に推挙され、賞状額を受けた(左)米本耿泉、大木詠岳両氏







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