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特集(2)
全国鳴き砂(鳴り砂)ネットワーク
石川県門前大会
平成15年度総会及びシンポジウム報告
 平成15年度の全国鳴き砂(鳴り砂)ネットワークの総会は石川県門前町の「琴ケ浜」で開催した。「琴ケ浜」は別名「ごめき浜」とも呼ばれ、古い伝説が残る浜として地元の「琴ケ浜泣き砂を守る会」などが中心となって、清掃活動等をおこなっており、門前町も平成13年度に「琴ケ浜泣き砂パーク」として付近一帯の整備を実施するなど、住民と行政が一体となって保全活動に取り組んでいる。また、平成9年のナホトカ号の重油流出事故の際には、浜は大きな被害を被ったが、地元の方々と全国からのボランティアの懸命の復旧作業でみごとに鳴きを回復させた。
 まず、役場に集合した参加者たちは、バスで黒島地区の歴史的町並みの見学をおこなった。黒島はかつて北前船の寄港地で大きな船問屋の建ち並ぶ美しい町並みが、住民の誇り高い意識のもと、現在もなお、残っている。北前船資料館に立ち寄った後、「琴ケ浜」に向かった。途中、雨が降り始めてしまったので、砂が鳴くかどうか、大変心配したが、守る会会長の案内で浜の一番奥の洞窟付近に行くとキュキュという心地よい音を聞くことができた。
 その後、総会会場に場所を移し、平成15年度の総会を開催した。総会には、顧問の三輪茂雄・同志社大学名誉教授をはじめ、代表幹事団体の濱岡六右衛門・網野町長ら加盟団体から約60名が出席した。平成14年度の事業、収支決算・監査の報告や平成15年度の事業計画・収支予算の審議をおこない、平成15年度の事業として、例年おこなっている総会開催地でのサミット及び写真展の開催、ネットワークニュースの発行に加え、(財)日本ナショナルトラストが平成15年度より3ケ年で実施する鳴き砂(鳴り砂)の全国調査へ協力することなどが決まった。なお、次回は福島県いわき市「豊間海岸」での開催を調整している。今回も宣言文を採択し、私たちの大切な文化・歴史遺産である美しい鳴き砂(鳴り砂)を市民・行政・専門家等が力を合わせて保全し、環境保全活動の場として活用することを誓った。総会後、琴ケ浜の泣き砂を守る会会員や地元関係者をまじえて、にぎやかに懇親会が催された。
 翌日は、一般町民にも開放したシンポジウムを開催した。まず、三輪茂雄顧問が最近の鳴き砂(鳴り砂)をめぐる動きについて講演をおこない、沖縄県西表島の月ケ浜という浜が最近、鳴き砂の浜であるとことが判明したが、今、浜はリゾートホテル建設のため付近の開発が進んでおり、浜が消滅の危機にあるとの報告があった。次に、川村國夫・金沢工業大学教授が門前町の鳴き砂(鳴り砂)についての講演をおこない、門前町にある琴ケ浜以外の鳴き砂(鳴り砂)の浜の分布や砂の特徴などを他の浜との比較をして判り易く説明した。その後、「浜の汚染と地域の保全活動」と題し、パネルディスカッションをおこなった。各地域で活動している住民団体の代表が日頃の活動をスライドで紹介し、浜の汚染原因となる問題や課題について話しあった。浜の保全は住民団体だけでも行政だけでもできるものではなく、専門家も巻き込んで、相互が協力し取り組むことが重要であるとのことで意見が一致した。実際に総会も回を重ねるごとに、各浜で住民団体と行政双方の参加が増えてきていることは大変喜ばしいことである。
(事務局)
 
全国鳴き砂マップ
(拡大画面:87KB)
 
琴ヶ浜での記念撮影
 
鳴き砂の音を楽しむ参加者達
 
シンポジウムの模様
 
各地の鳴き砂を集めて「鳴き砂展」を開催







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