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第二次文化財取得保護計画対象(1)
旧モーガン邸の取得 【神奈川県藤沢市】
 
創建当時のモーガン邸(提供:高橋利郎氏)
 
創建当時の中門(撮影:半畑 行氏)
 
モーガンと石井たまの婦人(提供:高橋利郎氏)
 
 旧モーガン邸は、旧丸ビル建設のためにフラー社の技師として来日し、その後横浜を中心に多くの優れた建物を設計した建築家J.H.モーガンの自邸です。2000坪に及ぶ広大な敷地に、昭和6年頃の建築といわれるスパニッシュスタイルの主屋と西洋式庭園が、所有者を替えながらも奇跡的に残っていました。専門家による調査では、文化財としての価値が非常に高いことがあきらかになり、当財団の保護対象に認定しました。現在は藤沢市と「旧モーガン邸を守る会」と協議しながら、当財団が取得し、修理後、一般公開をめざしていきます。
 
●ボランティアの皆さまの声
 4年前の春、旧モーガン邸のフェンスに36軒の住宅ができるという看板を見て、壊されたら2度と戻らないこの自然、何とかしなくてはという思いで緑保全を藤沢市に陳情したのが保存運動の発端でした。その時期を同じくして建築士の方たちが、昭和初期の貴重な建物として旧モーガン邸を調査していることを知り、両者が一緒になり、「旧モーガン邸を守る会」が発足しました。
 それ以降、藤沢市に保存陳情を続ける傍ら、学習講演会や草刈り、ミニコンサート、署名活動など、少しでも多くの人に知ってもらうためにたゆまず活動してきました。
 今までの様々な活動に参加してくださったおひとりおひとりの旧モーガン邸を守りたい気持ち、かけがえのない自然を残したい願いが重なり、保存をめざしてJNTが取得のための募金活動が開始されることをひとしおの感慨を持って迎えております。ある願いが個人の利益のためでなく、未来に生きる人たちの財産になるものなら、きっとたくさんの人の共鳴を呼び、実現への道が開かれることを実感しています。
(旧モーガン邸を守る会代表 徳重 淳子)







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