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財団法人日本ナショナルトラストからのメッセージ
日本はどこに行く・・・杉浦喬也
 平成の始め、日本はバブルにふくらみ、世界一の経済大国を謳歌した。「天国に最も近い国」と評価されるように、GDP、国際収支、安全雇用、物価安定等々何れをとっても世界一高い水準を維持した。しかしバブルの崩壊とともに経済成長は崩れ、リストラの厳しい中で社員は自信を失い日本全体が沈滞したムードで覆われてもう何年も経過している。そして近親間の殺人事件など目を覆うような事件が連日報道されるのを見ると、一体日本人はどうなって了ったのだろうと、心底将来が心配になってくる。
 そこで良き時代を作った日本人の良い特性というものをもう一度振り返ってみると、第一、勤勉性日本人は働くことを最高の生きがいとする風土を培った、欧米人にとって労働は苦痛と見るが日本人は生きがいと感じる。
 これが企業への絶対の忠誠心や強い成長願望を生み出す。第二、知的水準 大学進学卒は世界一、厳しい受験戦争、そして良い学歴は良い企業への就職へと結び、にも拘らず学歴による所得格差は小さく皆平等感を抱く、第三、同質性「限りなく均質化する志向性」を育て、共同体意識と企業忠誠心を生み出す、他面、日和見付和雷同性を強め「赤信号皆で渡れば怖くない」式の社会倫理性を示すことになる。以上のような日本人の気質は良い方向に働けば素晴らしい発展をもたらし、方向を誤れば戦争やバブルなどを導くこととなる。
 将来の日本をどう考えたら良いのだろう。先ず国が国民に対し日本の目標を明瞭に示すこと、教育では、個人は社会と共に存在することを自覚させる。企業も社会の公器として企業倫理性を高める。余暇を活用し日本の文化を再確認する。マスコミ特にテレビでは、娯楽性、視聴率ばかりでなく、その教育的効果について配慮する。地球環境に留意し、一層の国際性、世界共生の価値観を高める。
・・・〈(財)日本ナショナルトラスト会長〉
 
(南天書局提供)
 
■「写真に残されたヤミ族の生活」の中でドゥ・ボークレールの写真を数点掲載しましたが、その人物像を簡単に紹介します。イネズ・ドゥ・ボークレール女史(Inez de Beauclair,1987-1981)旧姓フオン・コルフ伯爵婦人(Agnes, Grafin von Korff)。ハプスブルク家につながる名門に生まれた。フライブルグ大学で形質人類学と解剖学を専攻。C.ドゥ・ポークレール博士と結婚後、中国に渡り、上海を拠点として教育に従事するとともに、少数民族の調査に専念したが、貴重な調査記録、原稿、採集品の大半は戦争と革命の最中に失われた。戦後アメリカに滞在中、国会図書館で鹿野・瀬川『ヤミ民族誌』を偶目し感激。台湾につてを求めて故宮博物院、ついで中央研究院民族学研究所に唯一の外国人研究員として所属し、ヤミ族やヤップ島などの島の住民の研究に没頭した。定年退職後はシラヤ族の研究をしたが、没後、その研究資料は未発見のままである。
(土田滋)
鳥居龍蔵に始まるヤミ族の研究は多くの人々をひきつけてきた。また多くの資料財産を後世に残してきた。この人たちの志を今日まで引き継いでこられた方がたには、本当に敬服する。今回、台湾YAMI文化研究フォーラムのメンバーにご執筆をいただいたが、過去の研究資料のうち写真については、デジタルの保存を進めている。その一つの理由には、ヤミ族の誰にも、手軽に先祖の姿を見てもらいたいという気持があるからである。過去、不本意にも一方的に研究対象としてみられてきた少数民族であるが、研究者たちの蓄積された情報の公開とコミュニケイションによって、「島の生き方」について地元住民との共同研究が今始まろうとしている。
(眞島)
自然と文化73号 特集=ポンソ・ノ・タオ[台湾蘭嶼の民族と文化] 編集+発行=(財)日本ナショナルトラスト 定価=1100円(本体1048円)
2003年10月31日発行 東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル923
〒100-0005 電話03-3214-2631 ファックス03-3214-2633
Eメール=majima@national-trust.or.jp 印刷=日本写真印刷株式会社
 
自然と文化 バックナンバー
1−渚と日本人83年夏・・・品切
2−東京論83年秋・・・品切
3−蔵の丈化84年新春・・・品切
4−風84年春・・・品切
5−橋84年夏・・・品切
6−妖怪84年秋・・・品切
7−白と黒85年新春・・・品切
8−月と潮85年春・・・品切
9−かぶる85年夏・・・600円
10−巨人と小人85年秋・・・600円
11−眼の力86年新春・・・品切
12−カミの観念86年春・・・品切
13−地方の都市空間86年夏・・・品切
14−音霊86年秋・・・品切
15−アジアの仮面芸能87年新春・・・品切
16−異人と妖怪87年春・・・品切
17−都市の路地空間87年夏・・・600円
18−中世の回路87年秋・・・品切
19−変身変化88年新春・・・550円
20−環シナ海文化と九州88年春・・・品切
21−古代祭杞の時空88年夏・・・550円
22−小さな神々88年秋・・・550円
23−辺境を歩いた人々88年秋・・・550円
24−雲南・貴州と古代日本のルーツ89年春・・・550円
25−動物の霊力89年夏・・・570円
26−草荘神89年秋・・・570円
27−名所【ハレ空間】90年新春・・・570円
28−歌枕【空想の天地】90年春・・・570円
29−アジアの歌垣90年夏・・・570円
30−中世居館90年秋・・・570円
31−カミ殺し91年新春・・・600円
32−イモ文化再考91年春・・・550円
33−柱のダイナミズム91年夏・・・600円
34−東シナ海を巡る日韓比較民俗91年秋・・・570円
35−幻覚都市92年新春・・・570円
36−東アジア風水思想92年春・・・品切
37−儀礼と生命原理【中国西南少数民族の祭祀】92年夏・・・570円
38−出羽三山と山岳信仰92年秋・・・品切
39−アジア海道【漂海民をめぐって】93年新春・・・570円
40−南島文学の発生と伝承【文学とシャーマニズム】93年春・・・570円
41−小集落の地名【地名発生と共同幻想】93年夏・・・570円
42−東アジアの綱引93年秋・・・570円
43−台湾の祭祀儀礼とふり94年新春・・・570円
44−動物・精霊・自然94年春・・・570円
45−日本海をとりまく歌と踊り94年夏・・・570円
46−笹森儀助の探験と発見94年秋・・・570円
47−芸道の花【世阿弥と現代能】95年新春・・・570円
48−鎮魂の思想史【南島文学の発生から】95年春・・・570円
49−神人のにぎわい【ムーダンとアジアのシャーマン】95年・・・570円
50−東アジアの虎文化95年・・・570円
51−四万十川の原風景96年・・・570円
52−東アジアの追儺【鬼やらい】96年・・・570円
53−日本人と米97年・・・570円
54−隠れキリシタンと鯨97年・・・品切
55−東アジアの人形戯97年・・・600円
56−古代人の心象風景【白河静の世界】98年・・・600円
57−円空のふるさと98年・・・600円
58−風土を読む。吉田東伍98年・・・600円
59−見世物99年・・・600円
60−山人の秘儀99年・・・600円
61−アジアの柱建て祭り99年・・・900円
62−瀬戸内を生きた人びと00年・・・900円
63−御幣00年・・・900円
64−紅山文化と縄文文化00年・・・1000円
65−日本人の魂のゆくえ01年・・・900円
66−村山智順が見た朝鮮民俗01年・・・1000円
67−ニホンミツバチの文化誌01年・・・1000円
68−ぼくの日記帳は、カメラだった02年・・・1000円
69−(1)アジア都市文化学の試み(2)大阪からのまなざし02年・・・900円
70−アメ・ッチの揺らぎ02年・・・1000円
71−東アジアの樹皮文化02年・・・900円
72−蝋燭03年・・・1000円
 
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