図(12)西安鼓楽の演奏風景
図(13)西安鼓楽の太鼓王といわれる安来緒
宗教の祭礼行事においても、太鼓はなくてはならないものである。いわゆる「晨(あした)に鐘、暮(ゆうべ)に太鼓」というのは、すでに述べたように、中国の廟宇建築には鐘楼や鼓楼はなくてはならないものであり(図(10))、寺廟のいかなる法事においても、法器の首であって、かならず太鼓が重要な役割を演じる。とくに規模の大きな祭礼の練り歩き、たとえばチベットに伝わる仏教の「浴仏節」では、ラマ僧たちが手に掲げる数十面の神鼓が、ラッパとともに一斉にとどろき、衆僧を代表して神を称え、仏法を世に広める祭礼にいっそうの輝きを添える光景をよく目にする。この意味からいって、寺廟には太鼓があり、太鼓なくして法会はなり立たないということは、中国の宗教行事の一面の事実である(図(11)a・b)
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