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マーシャル諸島共和国(Republic of the Marshal Islands)
(1)一般事情
1. 面積:181km2(霞ケ浦とほぼ同じ大きさ)
2. 人口:52,500人(2001年、世銀アトラス)
3. 首都:マジュロ
4. 人族:カナカ族
5. 言語:マーシャル語、英語
6. 宗教:キリスト教(プロテスタントが大部分)
7. 略史:
 1528年 スペイン人(アルバロ・デ・サーベドラ)により発見。スペイン、領土権を宣言するも実質的統治せず。
 1885年 ドイツの保護領となる。
 1914年 第一次大戦勃発。日本は独よりマーシャルを含むミクロネシアの島々を無血占領。
 1920年 国際連盟より日本のミクロネシア委任統治が認められる。
 1945年 太平洋戦争終結。米軍の占領始まる。
 1947年 国連の太平洋信託統治領として米国の統治始まる。
 1965年 ミクロネシア議会発足。
 1969年 太平洋諸島信託・統治地域に関する日米協定(ミクロネシア協定)締結。
 1978年 マーシャルはミクロネシア連邦より脱退。
 1979年 憲法制定。自治政府発足。カブア大統領就任。
 1986年10月 米国との間で自由連合に移行。
 1991年9月 国連加盟。
8. 政治体制・内政
1)政体:大統領制(大統領は議員により互選で選出)
2)元首:ケーサイ・ノート(Kessai Note)大統領(1期4年、2000年1月就任)
3)議会:一院制議員数33名任期4年(大統領、閣僚は議会に議席を持つ)
4)政府:大統領ケーサイ・ノート(Kessai Note)
5)内政:マーシャル自治政府発足(1979年)以来5期にわたり大統領を務めてきたアマタ・カブア大統領が、1996年12月死去。いとこであるイマタ・カブアが1997年1月新大統領に選出された。1999年11月に総選挙が行われ、政府与党が少数派になったことを受け、2000年1月、統一民主党のノート国会議長が大統領に就任した。(初の平民出身大統領)政府の課題はいかに経済開発を進め、経済的自立を達成するかにある。2003年4月、米国と改訂コンパクト協定に調印。
9. 外交
 米国との自由連合国家関係にあり、その関係の下で国防、安全保証の権限を米国に委ねている
10. 経済
1)主要産業:農業(コプラ、ココヤシ油)
2)GDP: 96.1百万ドル(2001年、世銀アトラス)
3)一人当たりGDP: 1,830ドル(2001年、世銀アトラス)
4)経済成長率:N/A
5)物価上昇率:5.6%(1985年〜1994年平均、世銀アトラス)
6)総貿易額:
(1)輸出:9.1百万ドル(00年)
(2)輸入:54.7百万ドル(00年)
7)貿易品目:
(1)輸出:水産物、コプラ製品
(2)輸入:食料品、機械・車輌、製造品
8)通貨:米ドル
9)経済状況
 貨幣経済と伝統的自給経済が混在。国内の生産性は高くなく、生活必需品の多くを輸入に依存しており、貿易収支は恒常的に赤字。政府歳入の約6割は自由連合盟約に基づく米からの財政援助であるが、今後援助の削減も予想されるため、民間セクター育成等、経済構造改革に努めている。
11. 我が国との経済関係
 我が国の対マーシャル貿易(1998年、通関統計)
1)貿易額:
(1)輸出:452百万円
(2)輸入:392百万円
2)主要品目:
(1)輸出:機械類(43%)、自動車(10%)、鉄鋼製品(9%)
(2)輸入:魚介類(94%)
12. 我が国の政府開発援助
1)概説
(1)マーシャルは、1947年以来、ミクロネシア、パラオ、北マリアナとともに、米国を施政権者とする国連の太平洋諸島信託統治地域の一部を構成していたが、1986年に米国との自由連合国家に移行した。米国との自由連合の下で、防衛、安全保障については米国が権限と責任を有するが、外交は独自に行っており、諸外国との外交関係拡大に努力している。1991年には国連に加盟した。
(2)大首長という伝統的権威をも有するアマタ・カブア大統領の下で17年間内政は安定していたが、1996年12月同大統領が逝去し、1997年1月その従兄弟に当たるイマタ・カブア氏が、接戦の末に後継大統領に選出された。2000年1月ノートが、第3代大統領になった。新大統領も、民間セクターの開発促進やインフラ整備、外国資本導入等の路線を踏襲している。なお、国内のクワジェリン環礁には、米軍基地が存在している。
(3)経済面では、伝統的自給経済と貨幣経済が混在しており、農業(コプラ)と漁業を除き見るべき産業は存在していないため、自由連合盟約下での米国からの資金援助及び基地関連収入に依存している。同援助が継続する自由連合盟約期間(1986年から15年間)の間に経済的自立を達成することを最大の目標に置いているが、国家予算の半分以上を依然米国の援助に頼っているのが現状である。
(4)我が国との関係では、古くは1914年以来1945年まで我が国が南洋群島の一部として統治していた経緯があり、この歴史的関係に加え、漁業関係でのつながりも深く、国造り、経済開発における我が国経済協力への期待は大きい。1988年、我が国と同国との外交関係を開設された。また、1996年6月及び1998年8月には、長谷川前駐豪大使を代表とする政策対話ミッションを同国に派遣し二国関係の強化に努めた。
2)我が国の政府開発援助の実績とあり方
 我が国は、マーシャルと従来より友好的な関係にあること、我が国水産業界と密接な関係にあること、米国との自由連合盟約関係終了を2001年に控え、経済的自立の達成に向けて我が国援助への期待感が高いこと等を踏まえ、水産、運輸、教育分野での無償資金協力を実施し、また、幅広い分野での研修員受入れを中心として、青年海外協力隊の派遣等の技術協力を行っている、1997年度から実施した無慣資金協力「マジュロ環礁道路整備計画」においては、首都マジュロの主要道路のアスファルト舗装の部分改修及び排水溝や歩道の建設を行った。1989年に青年海外協力隊派遣取り極めが締結され、1991年度より派遣を開始した。1997年12月に同国を襲った台風の被害に関連して災害緊急無償を実施した。マーシャルはADBの助言に基づき構造調整を行っていることから、我が国としてもADB等国際機関や主要援助園と調整を図りつつ支援を行うことが効果的である。1998年11月には、ADB主催の支援国会合を東京で開催している。1995年1月には、政策協議調査団を派遣し、個別プロジェクトに関する協議を行うとともに、援助重点分野、今後の援助の方向性等について意見交換を行った。
 
ミクロネシア連邦(Federated States of Micronesia)
(1)一般事情
1. 面積:701km2(国内最大のポンペイ島(334km2)は奄美大島の約1/2)
2. 人口:120,200人(2001年、世銀アトラス)
3. 首都:パリキール(1989年11月、コロニアより遷都〉
4. 人種:ミクロネシア系
5. 言語:英語及び原地の8言語
6. 宗教:キリスト教(プロテスタント及びカトリック)
7. 国祭日:11月3日独立記念日
8. 略史:
 1500年代 スペイン人がミクロネシアの島々に来航
 1886年代 スペインはマリアナ諸島、カロリン諸島の領有権宣言
 1899年 スペインはミクロネシアの島々を独に売却
 1914年 第1次大戦始まる。日本はミクロネシアを占領
 1920年 国際連盟より日本のミクロネシア委任統治が認められる
 1945年 太平洋戦争終結。米軍の占領始まる
 1947年 国連の太平洋信託統治領として米国の統治始まる
 1965年 ミクロネシア議会発足
 1978年 ヤップ、トラック、ポナペ、コスラエの4州で連邦を構成
 1979年 憲法制定。自治政府発足。初代大統領に日系のトシオ・ナカヤマ氏が就任
 1986年11月 米国との間で自由連合関係に移行
 1988年12月 日本はミクロネシア連邦と外交関係開設
 1991年9月17日 国連加盟
9. 政治体制・内政
1)政体:大統領制(各州1名ずつ選出の4年任期。議員4名の中から全議員により選出)
2)元首:レオ・A・ファルカム大統領(Leo A. Falcam)(1999年5月11日選出)
(1期4年)2003年5月新大統領選出予定(1期4年)
3)議会:一院制(4年任期議員4名、2年任期議員10名 チューク(旧称トラック)州5名、ポンペイ(旧称ポナペ)州3名、ヤップ州・コスラエ州1名)
4)行政府:閣僚は大統領が任命、議会が承認
大統領:レオ・A・ファルカム(Leo A Falcam)(ポンペイ州出身)
5)内政:
(1)言語、習慣、文化等が異なる4州が連邦を構成していることもあり、政府の雇用者、議会の委員長の配分等は総て州の人口比に応じて行われており、また、大統領も紳士協定により、各州の輪番制となっている(4年任期議員の中から互選)。政府の課題は種々の面で各州間の利害関係を調整しつつ、如何に経済開発を進め、自立可能な経済を構築するかにある。
(2)1999年5月、大統領選挙でファルカム大統領及びキリオン副大統領が選出された。2003年5月新大統領選出予定(ファルカム大統領は3月の選挙で国会議員に落選している為、再選はない)。
(3)政府の主要政策は、(1)漁業・農業・観光を軸とする経済的自立の達成、(2)伝統文化の保持と近代化の調和ある国家形成、(3)政治的統合の強化である。
10. 外交
1)基本外交方針は、(1)自由連合関係にある米国との緊密な関係、南太平洋諸国(特に近隣諸国(マーシャル、パラオ)との協力関係)、ASEAN諸国との友好的な関係及び日本との友好・経済的関係の促進、(2)国際社会における地位の向上、(3)国際社会のメンバーとしての責任遂行。
2)2002年7月現在、53ヶ国と外交関係を開設している。
3)米・ミクロネシア目由連合盟約により、ミクロネシア連邦の安全保障、国防上の権限は米国が有する。なお、ミクロネシア連邦内に米軍の軍事基地はない。
11. 経済
1)主要産業:農業(ココナツ、タロイモ、バナナ等)、水産業
2)GDP: 237.2百万ドル(2001年、世銀アトラス)
3)一人当たりGDP: 1,973ドル(2001年、世銀アトラス)
4)経済成長率:N/A
5)物価上昇率:-0.5%(1998年、ミクロネシア政府統計)
6)総貿易額:
輸出:803万米ドル(1997年)
輸入:8,248万米ドル(1997年)(ミクロネシア政府統計)
7)貿易品目(97年):
輸出:魚類、バナナ、コプラ、ココナッツ製品
輸入:食料品、機械・車輌、製造品、石油製品
8)貿易相手国(95年):
輸出:日本(78.9%)、米国(18.3%)
輸入:米国(72.1%)、日本(12.0%)、豪州(3.5%)
9)通貨:米ドル
10)経済概況
 貨幣経済と伝統的自給経済が混在。国内の生産性は高くなく、生活必需品の多くを輸入に依存しており、貿易収支は恒常的に赤字。連邦政府歳入の約5割(連邦・州合計歳入の約7割)は自由連合盟約に基づく米からの財政援助であるが、2001年以降、自由連合盟約の改定に伴う援助の段階的削減が予想されるため、アジア開発銀行(ADB)の指導の元、政府部門の縮小、民間セクター育成等経済構造改革に努めている。
12. 我が国との経済関係
我が国の対ミクロネシア貿易(2001年財務省)
1)貿易額:
(1)輸出:8.87百万ドル
(2)輸入:20.99百万ドル
2)主要品目:
(1)輸出:自動車、機械類、食料品
(2)輸入:魚介類
13. 我が国の政府開発援助
概説
1)ミクロネシアは、1947年以来、マーシャル、パラオ、北マリアナとともに、米国を施政権者とする国連の太平洋諸島信託統治地域の一部を構成していたが、1986年に米国との自由連合国家に移行した。
2)ミクロネシアは4州で構成され、言語、習慣等を異にしていることもあり、紳士協定により大統領は再選の場合を除いて、輪番制によることとしているなど、各州の利益のバランスを保つことが必要となっている。自由連合盟約の下で防衛、安全保障についてのみ米国が権限と責任を有している。1991年には国連に加盟した。1996年7月、オルター大統領が脳卒中で倒れ、1997年5月ネナ副大統領が正式に大統領に就任した。その後、1999年3月の連邦議会選挙を受け、ファルカム大統領が選出された。
3)経済面では、ミクロネシアは農業(コプラ)と漁業を除き見るべき産業は存在していないため、自由連合盟約下で米国からの資金援助に依存している。この援助が継続する自由連合盟約機関(1986年から15年間)の間に経済的自立を達成することを最大の目標に置いている。
4)我が国との関係では、古くは1914年以来1945年まで我が国が南洋群島の一部として統治していた経緯があり、この歴史的関係に加え、漁業関係でのつながりも深く、国造り、経済開発における我が国経済協力への期待は大きい。1995年11月にはオルター大統領が訪日し、1997年10月には日本・SPF首脳会議にネナ大統領が、1997年12月の気候変動枠組条約第三回締約国会議(COP3)及び1998年1月の対ミクロネシア支援国会合にファルカム副大統領が各々出席するため訪日している。1998年8月には、長谷川前駐豪大使を団長とする政策対話ミッションをミクロネシアに派遣し、二国間関係の強化に努めた。1999年1月に、ネナ大統領がSPF議長として、2000年4月(太平洋・島サミット出席)及び2001年3月には、ファルカム大統領が訪日している。







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