（B）海運事情と保有船主の実態

　マレーシアの内航海運は、ペナン島、ランカウイ島、ティオマン島等の複数のリゾート地を有し、半島部とこれら観光地を結ぶ航路が多く存在する。又、東マレーシアとを結ぶ航路も複数存在し、内航海運の貨物取扱量は、輸出入量の約10分の1と考えられる。従来、国内水域でも外国所有あるいは支配下の船腹が圧倒的なシェアを占めていたが、政府の内航海運政策が求める自国船主義に沿って、内航海運船隊も拡大してきている。特に一般貨物、食用油貨物、石油ガス製品の輸送がマレーシア籍船へ移行している。しかし、オフショア部門では、石油・ガス産業の急速な拡大に伴い、国内の既存船腹では対応しきれなくなっているので、外国籍船舶の就航が増えている。一方、外航海運では、国家のサービス部門国際収支の赤字削減政策を受け、海運企業の船腹拡大努力を促進している。

　第25回APSEM会議へ提出された資料によれば、1999年の船隊構成は、次表の通りである。ロイド統計資料と異なり、この資料では100G/T以上の鋼船を対象としている。

　

　

　マレーシアには約150社の海運会社があるが（Lloyd's Maritme Directory 2002）、うちマレーシア船主協会に加盟している会員は次の通りである。

　

　

　マレーシア船主協会の1999年と2000年の資料を比べると、MISCは所有船舶数を78隻から124隻へ、2,054,543G/Tから3,329,182G/Tへと急増させている。主要海運6社の業績は次表の通りである。

　

　

　また、マレーシアには、マレーシア船主協会に所属していないものの客船11隻を所有し、旅客船業界としては世界第5位の規模を持つスータークルーズ社がある。同社は1993年に設立され、ゲンティンのグループ企業であるリゾートワールド社が26.8%を出資している。この他、同様にマレーシア船主協会に所属していないがMISCに次ぐ国内第2位の海運会社として、Malaysian Bulk Carriers社（MBC）がある。同社によれば、過去3年間で中型タンカー事業に投資してきた事で、タンカー部門が増益に貢献したという。MBCは23隻の船舶を保有し、2001年には5万トン級の船舶2隻が新たに船隊に加わる予定である。又、ぺトロナス（石油公社）の船舶運航部門であるPetronas Tankers Sdn Bhdは13万立方メートル型LNG運搬船5隻（2002年末）を保有しているが、運航はMISCに委託する形をとっている。

（注）国営石油公社ぺトロナスはMISCに62%の出資を行っている。

（出典）JETROシンガポール事務所船舶部