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パキスタン(Islamic Republic of Pakistan)
(1)一般事情
1. 正式国名:パキスタン・イスラム共和国(Islamic Republic of Pakistan)
2. 面積:79.6万km2(日本の約2倍)
3. 人口:1億4,250万人
4. 首都:イスラマバード
5. 言語:ウルドゥー語(国語)
6. 宗教:イスラム教(国教)
7. 政治体制及び内政
政体:連邦共和制
元首:パルヴェーズ・ムシャラフ大統領
議会:二院制(但し、現在解散中)
8. 略史
1947年:英領インドより独立
1948年:第1次印パ戦争
1952年:日・パキスタン国交樹立
1965年:第2次印パ戦争
1971年:第3次印パ戦争
1999年:無血クーデター
9. GNP: 596.2億ドル(2000/01パキスタン経済白書)
10. 一人当たりGNP: 429ドル(2000/01パキスタン経済白書)
11. 通貨:パキスタン・ルピー(1米ドル=Rs.59.80(2002年2月)
12. 対日輸出額:2.5億ドル(2000年度JETRO資料)
  対日輸入額:6.1億ドル(2000年度JETRO資料)
13. 外交
(1)日本との関係貿易・経済技術協力関係を軸として伝統的友好関係を維持。
(2)諸外国との関係非同盟やイスラム諸国との連帯を重視しつつ、インドとの対抗上、中国との関係を重視し、西側諸国との友好関係を強化する路線をとっている。2001年9月の米国テロ事件に対しては、米国を始めとする国際社会に全面協力を表明。
14. 最近のパキスタン情勢と日・パキスタン関係
(1)内政:
 1999年10月の無血クーデー以来、ムシャラフ陸軍参謀長を行政長官とする軍政が続いている(2001年6月には行政長官に加え大統領に就任)。
 ムシャラフ政権は、最高裁判決(2000年5月)に従い、2002年10月までに国政・州議会選挙を実施する意向を表明。2001年8月に発表された民政復帰のためのロードマップに沿った形で、2000年12月末より行われた地方選挙プロセスはほぼ終了し、2002年1月には、選挙管理委員長の選任、新たな選挙実施方法等が発表されている。
(2)経済:
 ムシャラフ政権は、史上最悪の早魃の影響により産業・経済界に多大な損失を受けながらも、疲弊した経済の再生に取組み、IMF主導の緊縮財政を誠実に履行。国際金融機関やドナーの信頼を取り戻すことに成功した。米国同時多発テロ事件は、パキスタン製品の注文取り消しや輸送コストの大幅増加等により、貿易面で深刻な影響を及ぼしたが、国際社会と協調してテロと闘うパキスタンに、多くの国が財政支援等を表明、また、2001年12月には、約13億ドルのIMF融資の承認を受け、パリクラブで約125億ドルを対象債権とする寛大な条件での公的債務の繰延が合意された。
(出典)外務省ホームページ
15. 経済指標
 
  1999年度 2000年度 2001年度
実質GDP成長率(%) 3.9 2.6 3.6
貿易収支(US$) △14億1,200万 △12億4,600万 n.a.
経常収支(US$) △11億4,300万 △5億900万 n.a.
外貨準備高(US$) 13億9,466万 21億1,857万 n.a.
対外債務残高(US$) 253億5,900万 290億3,500万 n.a.
為替レート(US$/ルピー) 51.599 58.222 63.538
出典)JETRO投資貿易白書2002年(財務省、IMF(IFS))
 
 2001年度(2001年7月〜2002年6月)のパキスタン経済は、2001年9月の米国テロ事件の発生により経済の落ち込みが懸念されていたが、反テロ協力を背景とした諸外国からの経済援助の再開、アフガニスタン和平後の地域情勢の安定化に伴う外国直接投資の流入増加などから、ダメージは最小限にとどまった。しかし、2002年5月以降、インドとの軍事的緊張が高まるなど、情勢は再び不安定化した。日本企業の投資が停滞するなか、パキスタン向け自動車部品輸出は拡大している。
 2001年度の実質GDP成長率は3.6%(速報値)と前年度の2.6%を上回った。テロ事件を受け、2001年10月には米国がアフガニスタンのタリバン政権に対する報復攻撃を開始した。
 アフガニスタンに隣接するパキスタンではムシャラフ大統領が反テロを掲げる国際社会に協調し、国内の軍事基地・施設の使用許可を米軍に与えた。地域情勢の緊迫化により、外資系企業の駐在員は国外退避するなど、経済活動に多大な悪影響が出た。さらに、外国の海運会社が保険料の割増(戦災保険料)をパキスタンの輸出振興庁(EPB)に要求した結果、2001年10月から20フィートコンテナ1個当たり保険料が185ドルに引き上げられ、同国発着の貨物輸送に多額の保険額がかかることとなった。
 2001年度(2001年7月〜2002年4月)の貿易額をみると、輸出が前年同期比1.7%減の73億2,386万ドル、輸入が6.9%減の82億4,517万ドルとなった。輸出入ともに減少しているものの、貿易赤字幅は昨年度同期より4億7,669万ドル縮小し、9億2,131万ドルとなった。
 2001年度の輸出(金額ベース)を品目別(2001年7月〜2002年4月)にみると、輸出の約6割を占め、貴重な外貨獲得源となっている繊維製品の落ち込みが目立った。主力品目である綿糸(前年同期比22.8%減)、綿布(14.3%減)がそろって大幅に減少した。加えて、皮革・同製品(45%減)、合成繊維(25.4%減)、原綿(87.8%減)など、その他の繊維製品も軒並み大幅に減少している。米国テロ事件以降のビジネス環境の変化を受けて、特に米国向け繊維製品輸出が一時期激減したことが主因である。加えて、原綿については、不純物の混入など品質の問題、国際市場価格の下落による価格競争力の低下などから減少幅を拡大させた。一方、既製服(36.7%増)、ベッドシーツ(29.7%増)が増加した。
 
表1-(1)パキスタンの主要商品別輸出
(単位:100万ドル、%)
  2000年度 2001年度(7月〜4月)
金額 金額 構成比 伸び率
既製服 826 913 12.4 36.7
ベッドシーツ 735 771 10.5 29.7
ニット製品 899 741 10.1 0.3
綿布 1,018 710 9.7 △14.3
綿糸 1,073 677 9.2 △22.8
皮革・同製品 633 504 6.8 △4.5
コメ 513 364 4.9 △17.9
合成繊維 537 330 4.5 △25.4
スポーツ用品 263 222 3.0 6.7
タオル 241 213 2.9 10.8
原綿 139 16 0.2 △87.8
合計(その他含む) 9,143 7,324 100.0 △1.7
出典)JETRO投資貿易白書2002年(パキスタン連邦統計局)







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