なお、2002年上半期の日中貿易総額は、前年同期（436億4,999万ドル）比3.4%増の451億1,642万ドルと伸び率は鈍化したものの、上半期では4期連続で過去最高額を更新した。半期べースでは、2000年下半期（469億9,304万ドル）、2001年下半期（455億4,547万ドル）に次ぐ規模となっている。

　

　

　

　

　2001年の香港の経済成長率は0.6%と前年から大幅に鈍化した。貿易総額は、米国経済の後退に伴う世界的な景気低迷で、前年比5.6%減の3兆491億8,100万香港ドルと、2ケタ増だった2000年から減少に転じた。商品貿易の減少に伴いサービス貿易も鈍化した。2000年の直接投資は、中国のWTO加盟に伴う対中ビジネス機会拡大の期待から対内・対外とも増大し、また外国企業が香港に設置する地域統括本部および地域事務所数が増加した。

　

　

　2001年の香港の輸出は、前年比5.8%減の1兆4,809億8,700万HKドルと、大幅に増加した2000年から一転して減少した。内訳では、地場輸出は前年比15.2%減、輸出の9割を占める再輸出は4.6%減となった。この要因としては、2001年第1〜3四半期は米ドル高や輸出価格の下落などで貿易環境が悪化したこと、シェア第2位の輸出先である米国の経済が第2四半期より減速し始めたことがある。特に9月11日の米国同時多発テロ事件後の米国経済の後退とそれに伴う世界的な景気低迷の影響が大きい。しかし、そのような貿易環境にもかかわらず、香港の輸出パフォーマンスはそれほど悪くなかったといえる。

　国・地域別では、最大の輸出先である中国と第3位の日本が微増であったのを除いて軒並み減少し、米国（前年比9.8%減）、英国（12.2%減）、ドイツ（13.9%減）、台湾（11.1%減）、シンガポール（19.5%減）、韓国（9.4%減）、などとなった。米国では年初来ITバブルがはじけ、経済を牽引してきた消費が後退し始めたことに加えて、米国同時多発テロ事件後の景気後退に伴う需要減少が香港の輸出企業に打撃を与えた。米国経済の後退は、欧州・日本にも影響し、欧州向け輸出が打撃を受けたほか、近年回復傾向にあった日本向け輸出も2001年は大幅な鈍化となった。台湾、シンガポール、韓国などのNIES諸国・地域の輸出は日米欧に依存していることから、これらの国・地域向けの輸出も打撃を受けた。対中輸出は世界的な景気後退の影響を受け、特に加工用の部品・材料について香港から中国への再輸出が若干減少したが、輸出品目が多様なことに加え、WTO加盟に対する期待などに支えられて、他のアジア諸国・地域に比べて影響は相対的に小さかった。