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 輸入を国別にみると、日本(266億ドル)、米国(224億ドル)、中国(133億ドル)の順となっている。このほか、原油を多く輸入している中東諸国からは合計234億ドルとなった。2001年の対日貿易赤字額は前年の114億ドルから縮小したものの、101億ドルと依然として大規模であった。
 輸入上位3カ国の順位については、2000年から変動はないが、前年同期比をみると、日本と米国がそれぞれ16.3%、23.5%の減少になった一方、中国は3.9%と増加した。対中輸入が増加した要因としては、IT関連製品の輸入増があげられる。同製品の輸入全体の増加に対する寄与率は60%であった。2001年は世界的にIT産業が不況であったにもかかわらず、中国からのIT関連製品が増加した背景には、半導体価格の下落などを受け、生産コスト縮小の必要性が高まったため、廉価な中国製品に対する需要が増加したことがあげられる。
 
表1-(4)韓国の主要商品別輸入
(単位:100万ドル、%)
  2000年 2001年
金額 金額 構成比 伸び率
農林水産物 10,783 10,783 7.8 2.3
鉱産物 43,225 38,803 27.5 △10.2
原油 25,216 21,368 15.1 △15.3
化学工業製品 16,742 15,759 11.2 △5.9
石油化学製品 5,154 4,514 3.2 △12.4
精密化学製品 6,467 6,644 4.7 2.7
プラスチック・ゴム・革製品 2,926 2,931 2.1 0.2
繊維類 4,786 4,857 3.4 1.5
繊維製品 1,583 1,944 1.4 22.8
生活用品 1,619 1,687 1.2 4.2
鉄鋼・金属製品 12,246 10,447 7.4 △14.7
鉄鋼製品 7,004 5,914 4.2 △15.6
機械類・運般用機械 20,344 16,500 11.7 △18.9
基礎産業機械 3,573 2,976 2.1 △16.7
産業機械 4,108 3,213 2.3 △21.8
精密機械 4,266 2,715 1.9 △36.4
非鉄金属製品 5,037 4,323 3.1 △14.2
半導体製造用装備 3,748 2,144 1.5 △42.8
輸送機械 4,077 4,364 3.1 7.0
機械要素1工具、金型 2,173 1,954 1.4 △10.1
電子および電気製品 46,428 37,512 26.6 △19.2
産業用電子製品 15,624 12,519 8.9 △19.9
コンピュータ 7,884 5,957 4.2 △24.4
計測制御分析器 2,164 1,973 1.4 △8.8
電子部品 25,168 19,597 13.9 △22.1
半導体 19,923 15,547 11.0 △22.0
雑製品 1,380 1,572 1.1 13.9
合計(その他含む) 160,481 141,098 100.0 △12.1
出典)JETRO貿易投資白書2002年 韓国貿易協会DB(KOTIS)
 
 輸入の品目別構成をみると、鉱産物が2000年の432億ドルから388億ドル(前年比10.2%減)に大幅に減少した。これは原油価格の下落による影響が大きい。また、電子および電気製品も輸出需要の低迷を受け、464億ドルから375億ドル(19.2%減)に大幅に減少した。このほか、設備投資の弱含みから機械類も203億ドルから165億ドル(18.9%減)、化学工業製品も167億ドルから158億ドル(5.9%減)に減少した。一方、消費マインドは比較的高かったことから、繊維類(49億ドル)および輸送機械(44億ドル)は若干増加した。
 輸出入とも2001年2月以降、14ヵ月連続で前年同期比マイナスが続いていたが、米国を中心としたIT産業における需要回復に伴い、半導体のスポット価格が上昇したことなどを受け、2002年4月にプラスに転じた。
 2002年1〜5月の貿易動向をみると輸出、輸入の前年同期比率は、1〜3月までの減少傾向が響き、それぞれ3.8%、3.2%の減少となった。輸出では、主要相手国である米国、中国向けは前年同期比でそれぞれ0.8%、11.6%と増加したものの、日本向けが24.2%減と大幅に落ち込んだ。
 一方、輸入では、主要相手国である日本と米国からの輸入がそれぞれ前年同期比で3.5%減、9.1%減と落ち込んだ。ただ、中国からの輸入は25.3%増と大幅に拡大し、輸入全体に占める同国のシェアは8.5%から11.0%となった。対中輸入が拡大した要因としては、コンピュータ部品およびその周辺機器輸入が拡大していることが卒げられる。
 韓国はかつて、高関税のみならず、事実上日本製品を締め出した「輸入多角化制度」を採用するなど、保護主義色の強い政策を採用していた。しかし90年代に入ってからは貿易自由化の政策に転じ、OECDやWTOへの加盟、アジア経済危機などを通じて、自由化を進めていった。輸入多角化制度は99年7月に全廃された。
 韓国は引き続き貿易自由化路線をとっているものの、関税率は先進国の中では比較的高い水準にある(自動車8%、一般機械類8%、衣類13%)。また、農業分野については依然として保護主義的な傾向が強く、関税率をみても牛肉30%、乳製品20〜40%、野菜類30〜50%などとなっている。
 現在の金大中政権では、自由貿易協定(FTA)構想が活発に検討され始めた。98年10月のチリとの交渉では、ぶどうなどの果実類を中心とする農産物問題の扱いをめぐって対立し、交渉は幾度か中断した。しかし、2002年7月に韓国側から農産物における譲歩案が出されたことで、交渉の再開が検討されている。また、99年9月、金大中大統領がニュージーランド訪問時に、両国間のFTAについて共同研究を行うことで合意し、現在、韓国のKIEP(対外経済政策研究院)とニュージーランド経済研究所において研究が実施されている。その他、構想段階では米国やASEANとの間のFTAも議論されている。日本とのFTAについては、98年11月より、韓国側はKIEP、日本側は日本貿易振興会アジア経済研究所において共同研究が始まって以後、2000年9月には日韓FTAビジネスフォーラムの設立が合意され、民間べースでの議論が行われている。また、2002年3月の首脳会談では産官学による共同研究会の設置で合意し、同年7月にソウルにて第1回研究会が開催され、FTA締結の実現に向けた作業が具体化している。
 日韓FTAの締結については、両国ともその意義は認めているものの課題は多い。韓国側は関税撤廃については、対日貿易赤字の拡大や、家電や自動車など競合する生産品が多いことから、日本製の輸入拡大による国内産業への打撃に懸念を示す一方、日本側は国内の農林水産業への影響について慎重に議論を進めている。関税撤廃のほか、数量規制や検疫などの輸入にかかる制約についても克服すべき課題は多い。
 韓国と日本の貿易収支は、韓国の恒常的な対日赤字が続いている。
 2001年の対日輸出総額は、2000年の204億6,600万ドルから19.3%減の165億600万ドルとなった。最大の輸出品目は電子および電気製品であり、56億ドルに上った。内訳をみると半導体を含む電子部品が23億ドル、産業用電子製品20億1,000万ドル、家電関係が10億2,000万ドルとなっている。このほか、石油製品31億1,000万ドル、鉄鋼製品11億9,000万ドル、繊維製品9億1,000万ドルのほか、水産物が9億3,000万ドルに上っている。
 対日輸入総額は、前年の318億2,800万ドルから16.3%減の266億3,300万ドルとなった。最大の輸入品目は電子および電気製品であり、96億6,000万ドルを占めている。このほか機械類58億8,000万ドル、化学工業製品46億6,000万ドル、鉄鋼製品27億2,000万ドルなどとなっており、輸出品目との共通項目が目立つことから、水平分業が進んでいるとみられる。







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