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 1996年以降の登録船腹量の推移を見ると、ロイド統計資料World Fleet Statisticsによると、次の通りである。
 
表2-(3)保有船腹量の推移
(1,000G/T以上の鋼船)
隻数 G/T 平均船齢
1996 2,348 2,972,579 22
1997 2,383 3,195,007 23
1998 2,359 3,252,093 23
1999 2,369 3,241,462 24
2000 2,480 3,384,240 24
2001 2,528 3,613,139 24
出典)ロイド統計 World Fleet Statistics 2001
 
 ロイド統計によれば2001年末現在のインドネシア国の船主は添付Appendix Iに記載されている381社である。
 
 インドネシア国の海運の現状については、JETROシンガポール船舶部の報告を引用する。
(インドネシアの海運業)
 インドネシアの海上輸送量については、国家統計局がデータを公表しているものがあるが、最新のものは1998年あるいは1999年版である。それによると、1999年の積荷量は2億5,290万トン、荷揚量は1億6,580万トンであった。表1-10にインドネシアの海上輸送量を示す。
 
表2-(4)インドネシアの海上輸送量
(単位:1,000トン)
  積荷 荷揚
国内貨物 国際貨物 合計 国内貨物 国際貨物 合計
1995
1996
1997
1998
1999
178,554
160,953
147,769
113,487
113,633
131,692
132,693
131,289
133,700
139,340
310,246
293,646
279,058
247,187
252,973
136,068
141,150
148,055
119,795
122,368
72,803
74,178
67,196
47,138
43,477
208,871
215,328
215,251
166,933
165,845
出典)国家統計局
 
 輸送量に占めるインドネシア籍船と外国籍船の割合の最新公式データはないが、インドネシア船主協会(INSA-Indonesian National Ship-Owners Association)のコメントによると、インドネシア籍船が外国貨物輸送に占める割合は1980年代には、20%ほどであったが、1998年時点では、3%にまで減少しているという。また、国内輸送についても、1992年のインドネシア海運法第12号によると、国内諸島間の輸送は「沿岸貿易圏(Cabotage)」原則に則るものとなっているが、インドネシア海運会社の船舶保有量が充分でないため、多くの外国籍船が国内貨物を輸送しており、インドネシア籍船が占める割合は1998年時点で54%であるという。10数年の間に、インドネシア籍船が大幅に減少した理由は様々であるが、主な要因をあげると、次の点があげられる。
(1)政府の老朽船スクラップ政策:
 インドネシア政府は1984年に、30年以上の老朽船は1984年5月1日にスクラップ処分、25年以上のものは1985年1月にスクラップ処分にすることと決めた。政府はチャラカジャヤ国内船近代化計画で、老朽船の交換を試みたが、資金調達難もあり、需要のすべてを満たすことはできなかった。国際輸送労働者連盟(International Transport Workers Federation)のインドネシア担当報道官Hanafi Rustandi氏によると、この政策によりインドネシアの海運業界は大きな打撃を受け、多くのインドネシアの船会社が倒産に陥った。政策施行前には、273あったインドネシア籍船は、103まで激減した。
(2)規制緩和による外資参入:
 1987-88年の規制緩和により、国際貨物が外国企業に開放されたが、当時、インドネシアの海運企業は、貨物のコンテナ化に取り組みはじめたばかりだった。加えて老朽船のスクラップと代替船の調達にも取り組まなければならなかった。そこへ、外国企業の参入により競争が激化し、運賃が低下。すでにコンテナの設備を有していた外資海運会社がシェアを伸ばしていった。
(3)船舶ファイナンス:
 インドネシアの銀行は、船舶ファイナンスに対する知識が乏しく、また不動産などの利回りのいい案件に融資を優先させた。また、外資の銀行は、船舶建造の納期が遅れるケースが多かったため、徐々に船舶購入への融資をしなくなった。また、インドネシア国内の金利は高く、資金調達は容易ではなかった。
(4)付加価値税(VAT):
 船舶(新船、中古船を問わず)や部品の購入、修繕などに10%の付加価値税が課せられた。(注:VATは、1999年に廃止された。)
(5)船舶クルーの所得税:
 インドネシアの船舶クルーの所得税は一律25%に設定されている。近隣のシンガポールやマレーシアは、船舶クルーには所得税が加算されておらず、インドネシアの船主は経験のあるクルーを引き止めるために、通常所得税は会社負担にしている。
 また、INSAは旧スハルト政権下で、政府管轄の貨物(米、小麦など国営企業が輸入を独占していたものなど)は、入札を行っても、必ず決まった業者に発注されており、普通の(スハルト政権とコネクションのない)海運業者には出る幕がなかったことも、海運業界が発展しなかった1つの要因である、という。
 国営造船所のPT Dok & Perkapalan Kodja BahariのIranda Laksamawan部長によると、インドネシアの海運業が10年後に輸出入量の10%を取り扱うようになるためには、商船を現在より168万DWT増やして、428万DWTにしなければならないと試算している。これによると、2万4,000DWTの船24隻、3万6,000DWTの船30隻が必要で、6億5,600万ドルの投資を要するという。
 
 インドネシアは1万7,000千以上の島から構成されており、国内輸送、国際輸送ともに海運が重要な役割を占める。しかし、前述のような海運業者が抱える問題のほか、港湾インフラにも問題を抱えている。INSAの事務局長、Barens Th Saragih氏によると、「インドネシアには、国際交易に開放された港が130あるが、そのうちバルク船が利用できるのは3港しかない。」という。そのため、小型船でシンガポールやマレーシアの港に持ち込み、積み替えている。こうしたことが、インドネシアの海運コストを競争力のないものにしているという。また、不充分なインフラに加え、インドネシアでは港湾局が直接、港湾労働の管理をしており、陸揚げ・船積みに要する時間が長い。そのため、船舶はバースの空きを何日も待たなければいけないこともあり、海運業の効率を悪化させている。
 さらに、アジア諸国では港湾の民営化がすすみ、競争は激しくなっている。こうした中、インドネシア政府も港湾の一部民営化に踏み切り、1999年に国有港湾公社PT Pelabuhan Indonesia(PELINDO)IIが管理するジャカルタのTanjong Priok港にあるジャカルタ国際コンテナターミナル(JICT)の株式51%を香港のHutchison Groupの子会社Grosbeakに、PELINDOIIIが管理するスラバヤのTanjong Perak港スラバヤ国際コンテナターミナルの株式49%をオーストラリアのP&O社に、コンセッションベースで売却した。JITCの発表によると、民営化直後の5ヶ月で、生産性が28.5%上昇し、1999年の売上は2億米ドルを記録した。また、スラバラの港を管理するPERINDOIIによると、民営化により、1999年の税引き前利益は、1998年の4,000万米ドルから1億3,500万米ドルヘと上昇した。政府は、その他の主要港(メダン、ウジュンパンダン)の民営化も計画中である。ジャカルタ国際コンテナターミナルを運営するHutchison International Port Holdings社は、今後数年間で2億5,000万米ドルを投資し、ジャカルタのKoja Termina3を開発する予定である。この第3ターミナルが完成するとジャカルタ国際コンテナターミナルの貨物取り扱い能力は年間180万TEUとなる。







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