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表1-(1)イランの主要商品別輸出
(単位:100万ドル、%)
  1999年 2000年
金額 金額 構成比 伸び率
石油および天然ガス 17,089.0 24.226.0 85.12 41.8
植物性生産品 598.6 591.5 2.08 △1.2
調整食料品 199.0 183.3 0.64 △7.9
鉱物性生産品 671.7 558.3 1.96 △16.9
化学工業生産品 212.2 353.4 1.24 66.5
プラスチックおよびゴム等製品 111.6 151.7 0.53 35.9
皮革および毛皮等製品 56.8 82.0 0.29 44.4
紡績用繊維等製品 856.8 912.5 3.21 6.5
卑金属等製品 347.4 448.8 1.58 29.2
輸出総額(その他含む) 21,030.0 28,461.0 100.00 35.3
出典)JETRO投資貿易白書2002年(イラン税関、イラン中央銀行の統計)
 
表1-(2)イランの主要商品別輸入
(単位:100万ドル、%)
  1999年 2000年
金額 金額 構成比 伸び率
植物性生産品 1.500.7 1.620.4 10.74 8.0
動植物性油脂 522.4 420.1 2.78 △19.6
鉱物性生産品 339.9 483.9 3.21 42.3
化学工業生産品 1.608.8 1.680.3 11.14 4.4
プラスチックおよびゴム等製品 542.1 696.0 4.61 28.4
パルプおよび繊維素繊維等製品 331.3 500.8 3.32 51.2
紡績用繊維等製品 484.1 496.5 3.29 2.6
卑金属等製品 1,450.1 2,179.7 14.45 50.3
一般機械・電気機械 3.904.7 3,971.1 26.32 1.7
輸送機器 878.8 1.164.1 7.72 32.5
輸入総額(その他含む) 13,433.0 15.086.0 100.00 12.3
出典)JETRO投資貿易白書2002年(イラン税関、イラン中央銀行の統計)
 
 主要各国の国別貿易統計から2001年(暦年)の対イラン貿易をみると、中国とトルコヘのイランからの輸出が増加したことを除き、ほとんどの相手国で輸出が減少した。最大の輸出相手国である日本への輸出も、大半を占める原油の輸出価格が下落したことから減少に転じた。一方、中国向け輸出は前年比36.7%増と顕著に増加し、日本に次ぐ上位輸出相手国に躍進した。この背景には、成長著しい中国経済のエネルギー需要増を受けた原油輸出の増加が起因している。2002年4月には江沢民国家主席がイランを訪問し、両国関係は政治・外交のみならず、経済においても今後さらに深化すると予想される。
 イランは非石油輸出の有望市場として、同国と国境を接している周辺諸国、CIS諸国、湾岸諸国に注目している。特にイラクとは、イラン・イラク戦争を経て外交的には対立関係にあるといわれているが、2000年度は農産品などの食料品輸出を中心に経済面では関係を深めており、非石油製品の第9位の輸出相手国となった。また、対イラン制裁を適用している米国との関係も拡大傾向にある。イラン側非石油輸出通関統計によると、2000年度の対米輸出は前年度の約20倍と急増し、イランにとって第11位の輸出相手国となった。同様に、米国側通関統計によると、2000年の米国のイランからの輸入は伝統産品を中心に前年の約70倍と飛躍的に増加した。
 輸入では、韓国が前年の最大品目であった船舶の激減により、前年度比36.4%減と大きく減少したが、そのほかの主要相手国では増加した。特に英国から未加工の金の輸入が急増し、同国は前年度比135.0%増と大幅に増加した。98年〜2000年の3年間の実績で輸入シェアが拡大した国は、アラブ首長国連邦(UAE)、ロシア、カザフスタンなどである。UAEは、イラン市場向け製品の中継集積地として重要な役割を果たしており、ドイツに次ぐ第2位の輸入相手国となっている。
 イランにはこれまで複数の為替レートが存在していたが、中央銀行は2002年3月、1ドル当たり1,750リアルに固定されていた基礎物資レートを廃止し、市場に連動した変動為替レートに一本化した。中央銀行はまた国内銀行に対し、同年3月21日から1ドル当たり7,923リアルの変動為替レートを適用するよう指示した。今後はテヘラン証券取引所の外貨取引に連動した変動為替レートが適用されることになる。2002年6月時点では今回の為替制度改革による市場の混乱は起きていないが、これまで基礎物資レートが適用されていた一部の輸入商品で変動為替レートの適用により、輸入物価が上昇し、インフレ圧力が高まることも予想される。
 イランは2年前から輸出入の規制緩和と関税率の低減を段階的に進めてきた。もともと同国では、厳しい輸出入管理が行われており、すべての品目で商業省に加え、関連所管省庁の輸出入許可も必要であった。鉱工業省は3年前から他省庁に先駆け、約3,000品目あった同省の許可品目を毎年段階的に廃止し、2001年の法改正で一部を除きほとんど撤廃した。商業省も輸出入法の改正により、一部を除き、許可品目を大幅に削減し、関税率も最高税率をこれまでの30%から1%へと引き下げた。同国には、関税のほかに商業利益税が存在し、事実上、二重の輸入税が課せられているが、一連の法改正により、商業利益税の課税率も低減された。改定前は0%から最高500%であった商業利益税は、0%から最高125%と税率は低減されている半面、変動為替レート適用により税額では以前よりも税負担の増した品目も発生している。
 輸出入制度改革は、過渡的段階であり、現段階ではライセンス制度下での各省庁の許可制度の規制緩和に力点が置かれている。同時に、将来のWTO加盟を視野に入れ、国際的にも高率といわれてきた関税率の国際標準化を図っている。一方、許可制度の撤廃や関税率の低減など規制緩和が進むなか、政府は競争力の弱い国内産業部門を保護するために、商業利益税を弾力的に運用している。
 日本の貿易統計(通関ベース)によると、2001年の対イラン輸出は前年比38.8%増の7億9,700万ドルであった。一方、輸入は同6.2%減の50億4,740万ドルにとどまり、対イラン貿易赤字は前年より縮小して42億5,040万ドルとなった。輸出が増加したのは、イランの内需が99年以降、好調に推移していること、2001年も外貨繰りに余裕があったことなどが背景にあるとみられる。品目別にみると、輸出全体で30.5%を占める輸送機器が前年比139.6%増と大幅に増加して輸出全体の伸びを牽引した。輸入では構成比94.7%を占める原油が数量(キロリットル)ベースでは前年比で48%増加したものの、2001年後半からの油価の下落により、金額ベースでは7.8%減となった。日本のイランへの原油輸入依存度は12.3%で、サウジアラビア(25.8%)、UAE(25.0%)に次ぎ第3位である。2001年に新たにイランから輸入された工業製品は抗生物質、メタノール、鉱物性タール、コンタクトレンズなどである。また上述のイラン・ネスレ社への外国投資が奏功し、同社の粉ミルクの輸出が開始されたことから、日本もイランからの粉ミルクの輸入が前年比2,536%(96万ドル)と急増したことが特徴としてあげられる。
 
表1-(3)日本の対イラン主要商品別輸出
(単位:100万ドル、%)
  2000年度 2001年度
金額 金額 構成比 伸び率
食料品 2.5 0.5 0.1 △77.9
原料品 18.7 19.1 2.4 2.0
鉱物性燃料 0.1 0.2 0.0 158.7
工業製品 551.2 775.0 97.2 40.6
化学品 35.5 53.8 6.8 51.8
機械機器 328.1 511.4 64.2 55.9
繊維製品 5.1 5.0 0.6 △2.5
金属品 134.5 153.3 19.2 13.9
非金属鉱物製品 3.9 4.2 0.5 8.5
その他の原料別製品 22.0 26.4 3.3 19.9
雑製品 22.1 20.9 2.6 △5.5
合計(その他含む) 574.3 797 100.0 38.8
出典)JETRO投資貿易白書2002年(財務省「貿易統計」)
 
表1-(4)日本の対イラン主要商品別輸入
(単位:100万ドル、%)
  2000年度 2001年度
金額 金額 構成比 伸び率
食料品 34.9 20.8 0.4 △40.6
原料品 9.4 3.5 0.1 △63.1
鉱物性燃料 5,283.9 4,983.5 98.7 △5.7
工業製品 49.0 38.5 0.8 △21.5
化学品 1.2 9.2 0.2 690.6
機械機器 2.7 1.5 0.0 △44.4
繊維製品 36.3 25.6 0.5 △29.4
金属品 6.7 1.0 0.0 △85.9
非金属鉱物製品 0.2 0.3 0.0 47.3
その他の原料別製品 0.0 0.0 0.0 41.9
雑製品 1.9 0.8 0.0 △54.9
合計(その他含む) 5,379.8 5,047.4 100.0 △6.2
出典)JETRO投資貿易白書2002年(財務省「貿易統計」)







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