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 UAEは七つの首長国から構成されるが、ドバイ首長国、アブダビ首長国、シャルジャ首長国の3首長国がUAEの非石油部門貿易の95%を占める。中でもドバイが全貿易額の約8割を占める。UAEで公表されている最新の貿易統計は2000年の上記3首長国の非石油部門のみであるが、これら集計額でUAEの貿易状況を俯瞰する。
 2000年の輸出総額は65億6,091万Dhで前年実績を10.6%上回った。その原動力となったのが、アルミ一次製品を中心とする卑金属・同製品(構成比57.1%)で、前年比30.5%増の高い伸びを示した。また機械・音響機器が前年の2倍に大きく伸びたことが注目される。一方、卑金属・同製品に次ぐ主力輸出品目の繊維・織物は大幅に減少した。
 
表1-(4)UAE主要3首長国の商品別輸入(非石油部門)
(単位:1,000ディルハム、%)
  1999年 2000年
  金額 金額 構成比 伸び率
野菜、果実、穀物など 5,207,199 5,242,582 5.3 0.7
調整食料品、飲料、たばこ 2,569,225 2,607,149 2.7 1.5
化学、同関連製品 5,768,561 6,196,744 6.3 7.4
繊維、織物 9,956,190 10,549,699 10.8 6.0
真珠、貴石 4,517,398 6,288,391 6.4 39.2
卑金属、同製品 7,943,324 7,815,286, 8.0 △1.6
機械、音響機器 24,929,699 25,139,655 25.6 0.8
輸送用機器 11,799,579 13,809,045 14.1 17.0
その他 18,979,509 20,470,917 20.9 7.9
合計 91,670,684 98,119,468 100.0 7.0
注)石油部門は含まない。アジュマン首長国、ラスアルハイマ首長国、ウンムアルカイワイン首長国、フジャイラ首長国の4首長国の貿易統計は含まない。
出典)JETRO貿易投資白書2002年(ドバイ関税局、アブダビ関税局、シャルジャ関税局)
 
 相手国別では、米国向け輸出がアルミ一次製品を中心に急増し、これまで第1位であった日本を抜いてトップに立った。また2003年1月から対外共通関税の導入を予定している湾岸協力会議(GCC)諸国への輸出額も順調に伸びている。2001年11月にはGCC諸国として初めてイラクとの自由貿易協定に調印し、両国間貿易の関税を撤廃したことから今後、民生品の輸入が解禁されたイラクへの輸出も増加すると見込まれる。2000年の再輸出総額は前年比11.6%増の221億9,521万Dhで、前年の低迷から回復した。機械・音響機器や繊維・織物など従来の主力再輸出品目が伸びを牽引した。相手国別では、最大の再輸出先であるイラン向けが大きく伸びる一方、前年第2位であった米国向けの再輸出が繊維・織物などの減少により不振で、同国の順位は第5位まで落ちた。2000年の輸入総額は、前年比7.0%増の981億1,947万Dhであった。ITやインフラ整備への政府支出や好調な個人消費に支えられ、国内需要が増加したことから、ほとんどの品目で前年比増を示した。主力輸入品目である機械・音響機器は微増であったが、輸送用機器と繊維・織物がそれぞれ大きく増加した。相手国別にみると、中国が低価格を武器に電気機器類や繊維・織物などを中心に輸入が3割増加し、順位を前年の6位から2位へと押し上げた。一方、輸入の増加基調が続く中で対米輸入は毎年減少している。
 日本の貿易統計(通関ベース)によると、2001年の対UAE貿易は、輸出が前年比1.4%増の25億7,426万ドル、輸入が同13.1%減の129億2,826万ドルであった。日本側の大幅な貿易赤字が続いているが、輸入が大幅減となったことで、貿易収支はかなり改善された。2001年の対UAE輸出は、最大品目の輸送用機器がUAE国内の旺盛な需要を背景に輸出を伸ばしている。構成比で2番目に多い一般機器は全体として落ち込みをみせたが、建設用・鉱山用機械などの建設関連機器については著しい増加を示した。発電・淡水化プラントの建設やドバイ、アブダビ空港の拡張工事など、公共事業が活発化していることが増加の背景にあるとみられる。石油・ガス開発が進む中で、鋼鋲・鋼管などの鉄鋼製品の需要も高まっており、大幅な輸出増を記録している。
 
表1-(5)日本の対UAE主要商品別輸出
(単位:1,000ドル、%)
  2000年 2001年
  金額 金額 構成比 伸び率
食料品 8,002 10,082 0.4 26.0
繊維および同製品 127,682 130,478 5.1 2.2
化学製品 30,183 27,159 1.1 △10.0
非金属鉱物製品 15,668 19,673 0.8 25.6
金属および同製品 96,035 130,034 5.1 35.4
一般機械 482,565 442,769 17.2 △8.2
電気機器 456,478 412,304 16.0 △9.7
輸送用機器 1,006,106 1,052,151 40.9 4.6
精密機器 32,364 41,029 1.6 26.8
その他 284,774 308,576 12.0 8.4
合計 2,539,857 2,574,255 100.0 1.4
出典)財務省「貿易統計(通関ベース)」よりジェトロ作成
 
 
 UAEからの輸入は、鉱物性燃料が構成比98.4%と圧倒的だが、2001年は油価の下落を受け原油の輸入額は前年実績を大きく割り込んだ。また長引く日本の景気低迷で、ほかの品目の輸入も軒並み減少した。例外的に増加した品目は、液化天然ガスと液化プロパンである。日本国内でクリーンエネルギーとしてガス需要が拡大していることが背景にあろう。
 
表1-(6)日本の対UAE主要商品別輸入
(単位:1,000ドル、%)
  2000年 2001年
  金額 金額 構成比 伸び率
食料品 1,226 2,234 0.0 82.2
原料品 15,911 10,948 0.1 △31.2
鉱物性燃料 14,675,350 12,723,876 98.4 △13.3
化学製品 243 109 0.0 △55.1
繊維製品 2,465 2,161 0.0 △12.3
非金属鉱物製品 608 3,423 0.0 463.0
金属および同製品 175,297 165,547 1.3 △5.6
機械機器 1,901 1,577 0.0 △17.0
その他 9,852 18,384 0.1 86.6
合計 14,882,853 12,928,259 100.0 △13.1
出典)財務省「貿易統計(通関ベース)」よりジェトロ作成
 
 アラブ首長国連邦船主の保有(支配)船腹量(1,000G/T以上の鋼船)は、ロイドの統計World Fleet Statisticsによると2001年末現在185隻2,505,906G/Tである。
 これを船種別に見ると次の通りである。







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