「toto助成金とスポーツエイドの違い」
川西 はい、ありがとうございました。今2名の方にそれぞれの立場での助成の概要と助成の目指す事柄についてお話をしていただきました。それで皆さんのほうでこの助成を今まで活用された所、まずtotoを今もらっておられる所、ちょっと手を挙げてもらえます? 13、4件ですね。それからエイドをもらっておられる所はありますか? けっこうありますね。エイドとtotoと両方もらっておられる方おられます? そこはもらっておられます?
正木 ショートテニス振興会です。
川西 もう、もらっているのですか。
正木 もらっています。
川西 もらっているのですか、そうですか。
正木 違う事業でもらっています。
川西 皆さんが疑問に思われるところとかを問答集も作りましてそれぞれでディスカッションをしたいのですけれども、今皆さんのほうで手元にあります質問紙で特にこれだけは聞いておきたいということがございましたら、もうこれから整理をさせていただきたいと思いますので、書いて出していただければと思います。手を挙げていただければ係の者が集めに参ります。
それで助成金の違いと傾向ですけれども、基本的に助成の対象となる所が、totoのほうでは地方公共団体や比較的公益性の高い財団法人あるいはNPO法人というところにかなり絞られているというところが一つあります。笹川スポーツ財団のスポーツエイドでは事業の主体性といいますか、きちっとした計画性があるということと事業に公共性があるというとこら辺で、団体が必ずしも法人格を持っていなければならないということではないとご理解させていただいたのですが、よろしいでしょうか、お二人とも。
石田 はい。
坂井 はい。
川西 そういうことで、それぞれ皆さんが活動されているNPOのほうで企画される内容につきましては、所定の質問申請用紙でアプライしていただければよろしいかなと思います。それと、気になるところは財源の問題でして、笹川スポーツ財団のほうは先程グラフがございましたけれども、当初、4億円というラインから3億円が6年間続きまして昨年度からは2億円という額で来ております。多分中身を検討されてじゅうぶん2億円でさまざまなことができるということで、今2億円というラインの中で助成を決められているということです。気になるのはtotoでございますが、その点について石田さんのほう、どうでしょうか。
石田 totoの助成の今後の見通しですけれども、先程このパンフレットで収益の使途というこの棒グラフみたいな所をご説明致しましたが、14年度の時が全体の売り上げが約643億円ありまして、そのうち15年度の助成を出しましたのが約64億円、15年度というか14年度の売り上げが約361億円ありました。それで、今年度15年度の助成金に回したのが約27億円だったのです。
今、平成15年度は更に売り上げが落ち込んできているというところで、実際には私ども年度、年度で予算を組んでおりますので来年の3月31日までのtotoの売り上げがはっきりしないと、全体の売り上げがいくらあってそのうちの助成金にいくら回せるかというのははっきりしないのです。今のままの状況で推移をすると非常に厳しいかたちになりそうだということです。その助成金の金額がなかなか言いづらいのですけれども相当厳しい、皆さんが思っている以上に相当厳しいとご認識をいただければと思います。
川西 厳しいというのが何か伝わってきますけれども、例えばtotoでは活動支援だとか創設支援という総合型地域スポーツクラブに当初年度3年とか5年とか、SSFのスポーツエイドでは3年をめどにということですけれども、totoで、今年で3年目になる創設支援だとかあるいは活動支援だとかというところの当初5年だとか3年だとかと言われていたのですが、そうした点についてはどうなのでしょうか。
石田 先程ご説明しましたようにスポーツ振興基本計画という国で作成したものがありますけれども、その中にも位置付けられていますように総合型クラブはどんどん増やしていきたい。皆様のスポーツ環境を整備していきたいということですので、私どものほうもそれにできるだけ努力をしていきたいということで、totoのほうは創設については2年間継続で、活動については5年間の継続ができるようになっているのです。
せっかく助成金を出して今育ちつつあるクラブというのもありますので、できるだけそれは大切にしていきたいとは思っておりますけれども、いかんせん財源の問題がございます。15年度の助成の際にも14年度に助成をしたクラブの創設なり活動についてどういうことをやったかというのを一部評価もさせていただいて、助成の内定をさせていただきました。ですので、16年度の所についても更に詳細な評価が、あるいは必要になってくるのではないかと思います。財源の問題ばかりになってしまいますけれども、最初にお金をもらったから自動的に2年ないし5年間もらえるということには、なかなかならないような状況になってきているということです。
川西 はい、ありがとうございます。来年ももらえるものだということで考えておられるNPOの方もおられるでしょうし、市町村の方もおられるかと思います。文科省の総合型スポーツクラブ育成補助事業につきましても今年度で一応終わりになります。今年度の補助をもってtotoのほうに切り替えると考えておられる所もたくさんあるかと思うのですけれども、ちょっと今お話を聞きますと非常に厳しいという状況で、ますます自立という部分とマネジメントという部分で、特にお金の問題につきましてはかなり大きな問題になってくるのではないかということで、笹川スポーツ財団のスポーツエイドも含めていろいろ実際の助成という部分で考えていただければ、どうかなと思います。
時間が、先程のセッションが延びましたので、下のほうで延びて、まだ最後のほうのセッションまでございますけれども、ここのセッションを55分で終われということでなものですから、これから皆さんにご意見をお伺いしたいと思います。今皆さんのほうからご質問あったやつを少しピックアップさせていただいて・・・。
坂井 すいません。その前に一ついいですか。
川西 はい、どうぞ。
坂井 先程、川西先生から笹川スポーツ財団のスポーツエイドは3年間というお話があったのですが、これは通常は単年度、1年単位です。プログラムの先程申し上げたジュニア層を対象としたものについては特別に3年間ということですので、念のために申し添えます。
「toto助成金の総合型地域スポーツクラブヘの支援方法」
川西 はい、ありがとうございます。すぐに読みながらできるだけの時間がございませんけれども、まず一つは「文部科学省が総合型地域スポーツクラブとか広域スポーツセンターへの育成事業をやっていたわけですけれども、それとtotoもやっております。これについて日体協が間に入って補助をするということでどのようにかかわってくるのでしょうか」というご質問です。
これは審査の段階で日本体育協会が創設する総合型地域スポーツクラブにつきましては、日本体育協会のほうで審査対象を決めてその補助額を審査委員会のほうで認めているというようなかたちだったと思います。それでよろしかったですかね。
石田 この助成の区分の中に総合型地域スポーツクラブ活動支援事業があります。支援という言葉が入っているのですけれども、これは要するに地方公共団体とかスポーツ団体が間に入ってクラブを育てていくというようなものの事業です。ですので、今のものはクラブの活動をするにあたって日本体育協会を経由してお金が出ていくというものだと思います。
川西 はい、ありがとうございます。またtotoに質問が集中しておりますけれども、「外国のtotoは民間運営が多いと聞いています。なぜ日本は文部省の指導監督下にあるのか、官僚のスポーツ支配にはなりはしないのか、助成される側に不満が多い」とありますけれども、それを石田さんにお答えいただくのは非常にあれですけれども、ちょっとお考えを・・・。
石田 これは非常に。いわゆる私どものセンターも民間と言えば民間ですけれども、最初にご説明しましたtotoは「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」と言う法律に基づいて運営をしているわけですけれども、その法律の中でtotoの実施は、今の独立行政法人日本スポーツ振興センターがやりなさいという規定がございますのでセンターが請け負ってやっているというものです。
「大学のクラブヘのスポーツエイドの交付」
川西 これは国会も通ったという法案でございますので、民間のほうがいいのではないかという発想は、やはりその中での採算ベースを常に考えていきながら運営をしていくという点でそういうご示唆なり意図があってご発言されているのだろうと思います。
それともう1点、今度はスポーツエイドですが、「スポーツエイドは大学のクラブでも援助いただけるのですか。今後私どものクラブでは地域の少年たちを対象にスポーツクリニックをしていこうと思っているのですが」というご質問です。いかがでしょうか。
坂井 今のようなお話ならば可能性はあると思います。例えば大学の運動部のクラブに対する援助は、学校体育については対象外になっているからできないのですけれども、今地域に密着したかたちで、大学とか企業とかが連携してやっていくというようなことで、また別の一つのクラブ組織といいますか、別の団体を作ってそこから申請をいただくのであればじゅうぶん可能だと思います。
「totoの財源」
川西 はい。ということです。スポーツエイドのほうの趣旨にのっとってそれぞれで確実な組織あるいは計画を出していただければ、申請用紙はインターネットからダウンロードできますので、それにのっとって書いていただければ結構かと思います。それと、totoは創設されてから当初、配分のほうの説明会を各地域、ブロックでやっていました。もう一応2年やりましたので今年はもうやらないという方向です。ですから今日このお話を聞かれた方はラッキーかも分かりません。実際にこういう広報がこれから徐々になされていくわけです。
ドイツ等ヨーロッパでのこういうtotoの感覚といいますか、これは、やはりスポーツをする人が寄付をするという感覚で、多少の当たりはずれはあるかもしれませんけれども、そういう感覚でスポーツくじというよりもスポーツ寄付というぐらいの気持ちでどんどんこの輪を広げていかないと、多分なかなか財源は厳しいのではないか。
totoゴールとかいろいろ新しいものも出していただいて、それから販売方法等も出てきております。今年度の審査の基準というのも、去年はどの地域でどれぐらい売り上げられているかというようなことも一つの条件にされていました。実際のNPOの対象にした場合に、必ずしもその地域だけで活動されているNPOの活動ではないわけで、その地域でtotoが販売されていることと、そのNPOがそこに所属していることと必ずしも密接な関係がないかもしれないということです。その点につきましてはNPOで独自にスポーツくじへの貢献という部分をどういうふうに考えていくかとかいうものも出して、その中からいくらかを引き出して皆さんが使っていただくのが一番僕は順当ではないかと思います。
「助成事業の評価」
それと今日、広瀬さんのご意見もございましたけれども実は私どものほうの大学なんかは、国立大学はもう来年の4月から独立行政法人化になります。私はちょうど5年前からこの生涯スポーツ実践センター、これは考えればNPOです。外部との資金を取ってきて、そこで地域貢献をしていくということで、センターの概算を出しまして、当初そういう情勢ではなかったのですけれども、認めていただいてセンターを設置するようになったのです。
これは実際に独立行政法人化になってきますと、収益事業という部分をやはりビジネスのマインドと感覚をいかに持ってその中での利益性を高めていくかという部分をNPOにかかわらずさまざまな所が考えていかないと、税金だとか公共のお金でそれをサポートしていくという時代がなかなか見えてこないというところがございます。その点を含めてぜひ皆さんのNPOの活動を再構築する部分も必要かもしれません。
私は、1,300が1,300残っていただければいいと思うのです。それは実際にわれわれが審査している段階で、例えばスポーツエイドのお金をずっとたどっていったらどういう効果につながっているのかというところをじゅうぶんにこれからも評価していかなければいけない。
totoの場合も創設年度はワールドカップなんかもありまして、ちょっとサッカーのフィーバー状況でしたので、63億円という非常に大きなお金を皆さんのほうにばっと配分した経緯がございますけれども、ワールドカップが終わってからJリーグを見に行く人は少し多くなったんですがtotoを買う人は少なくなったというような状況でして、必ずしもいい結果は出なかったということです。スポーツくじイコールスポーツ寄付というような感覚で、ぜひ皆さんの財源を増やしていただくことにも努力していただければと思っております。
それと特に皆さんのほうでこの財源の部門でこれだけは聞いておきたいということがございましたら手を挙げて、お一人だけお聞きしたいと思いますけどいかがでしょうか。はい。それでは特に演者の方一言ずつ何かございましたら。坂井さんのほうはどうですか。
坂井 いや、もう結構です。
川西 結構ですか。はい。石田さんのほうは。
石田 再三、売り上げが厳しいというふうに申し上げますので(笑い)今日ここにいる方々、ぜひご購入あるいは知人の方々にも勧めていただきたいと思いますのでよろしくお願い致します。
川西 はい。ということでtotoの買ってくださいというセッションではございませんので、皆さんのほうでいろいろと有効利用をしていただければと思います。石田さんのほうは今日、ご用事があって懇親会のほうへ出られないようです。坂井さんのほうはこのあと夜、懇親会におられますのでスポーツエイドの詳しいお話なんかはぜひお聞きしていただければと思います。予定通りの時間になりましたので、これでこのセッションを閉じさせていただきます。どうもご清聴ありがとうございました。(拍手)
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