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提案要旨
食生活に関する相談のすすめ方
成田 豊子(子供の家愛育保育園園長)
 
 小児期には、小児が自分一人では適切に食べることはできません。食事を与える「おとな」の力が必要です。子どもの食生活は、子ども自身の能力に「おとな」の援助や働きかけによるところが大きく、「子育て」の中で大きな位置を占めています。
 子どもが食事をとることは、体内に栄養を取り込むだけでなく、心身ともに健康増進を図り、順調な発育発達を促します。
 また子どもの食生活は、生活習慣の形成の原点ともいえ、適切に食べることが、望ましい生活習慣を育成していくうえに大きなかかわりがあります。
 子どもに食事を与える「おとな」とは、親や家族であり、保育者や教育者であるから、その責任は重大です。
 近年の食生活は、母親の就労率の増加にともない、食生活を取り巻く環境や、食生活に対する意識が大きく変わってきました。
 
望ましい食生活
食の簡素化
 
近年、次世代の幼児食の問題点
○家庭食
外食
・・・
脂質摂取の増加、肥満、家族愛の欠乏
○生鮮食品
加工食品
・・・
濃い味、塩分過剰、食物繊維摂取量減少
○家族団らん
孤食
・・・
食欲減少、不適切な食習慣、精神的負担
○3回食および間食
欠食
・・・
栄養摂取量減少、不適切な食習慣
○よく噛む食品
軟食化
・・・
摂食機能の低下、顎の発達、歯並び不全
 
 保育所を利用している親世代も、すでにこのような、食生活環境の中で育ってきたので、子育中の親自身の食生活も不適切で不安定です。
【食生活の相談】
 子どもの食生活の相談は、相談者の家庭生活において「食の簡素化」がどの程度すすんでいるか知ることから始めたい。
 少子化と核家族化で、自分の食事も作ったことがなく、授乳や離乳食を与えている様子を見たことがない両親の戸惑い、迷い、悩みを共有して、相談に応じることが大切です。
 最初に親の食生活の実態を理解し、個々の家庭に適したその親ができる小さな事から進め、助言していくほうが受け止めてもらえることが多いのではないでしょうか。







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