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提言要旨
『アンケートから見た家庭生活の現状と子どもの生活リズムの大切さを学ぶ』
子どもの生活リズムを整えるための子育て支援と私たちに求められること
伊藤眞理子(川崎市千年保育園看護師)
 
プロフィール
 
川崎市千年保育園・看護師。
昭和27年生まれ。宮崎県出身。財団法人慈恵会慈恵高等看護学院卒業。
東京慈恵会医科大学病院に勤務。
私立保育園経験後、昭和55年川崎市保育園に勤務。
全国保育園保健師看護師連絡会 運営委員
 
 保護者に「子どもの生活リズムを整えることの大切さ」を求めるだけでなく、「どうして生活リズムが大切なのか? 保護者を納得させる科学的な知識を得たい」という意見が出され、各研究部会で取り組んできた。
 生活リズムは朝の光や食事や生活環境などが大切な要素となり、人間の生体時間25時間を地球時間の24時間にリセットすることで整ってくる。また、生活リズムを整えるという事は、乳幼児期に十分愛情をかけるという事につながり、子どもが満たされ安定した生活が過ごせる。マスコミ報道で中高校生や青年の起こした事件があると、もっと乳幼児期に子ども達に愛情を注ぐことが大切な事を知らせていく必要を感じる。
 家庭と保育園の1日24時間の生活リズムを見直すことは、子どもの生活リズムを整え生き生きとした元気な子を育てるだけでなく、保護者の子育ての負担を軽減し子育て支援につながる大切な事と考える。
 
1. 子どもの生活リズムについて学んだ経過
2. 生活リズムの大切さ
(1)朝の光・食事・環境で体内時計をリセット
(2)生活リズムを整えることの効果
3. 生活リズムについてのアンケートによる実態調査
(1)帰宅時間と就寝時間 (2)ねかしつけ時の様子
(3)起床時間と目覚め (4)親が家事をしている時の様子
(5)親子の触れ合い
4. 保育園での実践
(1)保育園のデイリープログラムの見直し
(2)自律起床の大切さ
(3)健康教育
5. 保護者への啓発
6. 家庭と保育園の1日24時間を見直すことで、子どもの生活リズムを整えることは子育て支援につながる。
 
 生活リズムは朝の光や食事や生活環境などが大切な要素となり、人間の生体時間25時間を地球時間の24時間にリセットし整ってくる。保護者の就労形態の多様化や勤務の長時間化などの社会現象から、子どもの生活リズムが乱れ夜型傾向の家庭が多くなっています。「保護者に子どもの生活リズムを整える事の大切さを求める」だけでなく、「どうして生活リズムが大切なのか? 保護者を納得させる科学的な知識を得たい」と、各研究部会で生活リズムについて考えてきました。
 生活リズムのアンケート実態調査から帰宅の途中・食事・入浴・就寝前などさまざまな場面で、短時間でも子どもとの触れ合いを心がけている保護者の様子が伺えました。反面どうしても大人中心の生活になりがちで、保育園で生き生きと遊べない子どもがいる状況も読み取れます。
 この様な子どもたちの姿を変えていく為には家庭だけに求めず、保育園のデイリープログラムを検討し「子どもにとってよりよい日課」を考え、保育園での遊び・食事・睡眠・おやつの時間などについて見直し、子どもの生活リズムを考えました。保護者に生活リズムの大切さを指導・啓発していますが、乳幼児の子どもは望ましい就寝時間のめやすがわからないとか、保育園で昼寝するからなかなか夜寝ないなどの保護者の声が聞かれます。核家族化が進み保護者は子育て文化を自然に受け継ぐ機会に恵まれにくく、子どもと過ごす時間も少ないため、子育てのノウハウをなかなか自分のものにできにくく育児の負担感があります。睡眠について保育園で工夫できる点を探し、睡眠のサイクル90分や自律起床についての学習をしました。午前の活動から食事・午睡・目覚め・午後の活動とともに、職員の昼の打ち合わせも検討改善してきました。カーテンを開け空気を入れ替え、午睡から目覚める時間のめやすを2:30分としています。排泄や着脱も個々にゆったり対応でき身体が目覚め、おやつもしっかり食べられます。2:30に自律起床を促すことで午後の活動や散歩も増え遊びが充実し、子どもが安定して過ごせると考えています。自律起床を促すことで午後の活動を十分行い、夜の家庭での寝かしつけにも良い結果をもたらすと考えています。
 保育園で延長保育が始まり保育時間が長くなりました。年齢や体力により必要な睡眠時間には個人差はありますが、子どもたちの疲れをとり怪我を予防し、元気に保育園生活を過ごさせる為には1日24時間を保護者と保育園で考えていく必要を感じます。乳幼児期に生活リズムを整えるという事は、子どもが親の愛情を感じ情緒が安定すると考えます。保育者が生活リズムを科学的に学び、「睡眠」が子どもの成長に大切な事を保護者へ啓発指導する事は、子どもと家庭の生活リズムを整え子育て支援につながると考えています。







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