開会式
主催者挨拶
日本保育協会
日本保育園保健協議会
講演I
座長 遠藤幸子
(全国保育園保健師看護師連絡会会長)
演題 小児外科疾患とその対応
講師 横森 欣司(日本赤十字社医療センター小児外科部長)
プロフィール
昭和21年 山梨県甲府市生まれ
昭和48年3月 東京大学医学部医学科卒業後、第2外科にて初期外科研修
昭和49年6月 東京警察病院外科にて一般外科、救急外科を学ぶ。
昭和50年10月 東京大学小児外科に入局、小児癌の早期発見の研究に従事。
昭和53年7月 国立小児病院外科にて小児癌、胆道閉鎖症手術等を学ぶ。
昭和56年9月 米国Washington州立大学留学(小児腫瘍病理部)
J Bruce Beckwith教授の指導のもと、3年間小児腎癌(ウィルムス腫瘍)の研究に従事し、全米ウィルムス腫瘍登録研究組織であるNational Wilms Tumor Study (NWTS) Groupの診断病理医を務める。
昭和63年4月 日本赤十字社医療センター小児外科 副部長として新生児外科、乳幼児診療などに従事する。この間、ベトナム二重結合体児ベトちゃんドクちゃんの治療チームの一員としてホーチミン市へ派遣され、国際医療協力に携わる。
平成5年1月 東京大学医学部 助教授 小児癌研究、医学生教育に従事。
平成9年2月 日本赤十字社医療センター小児外科 部長として一般小児外科の日常臨床に責任をもって専任し現在に至る。
平成16年1月 自治医科大学小児外科教授として異動予定。
はじめに
保育園の先生方が乳幼児保育においてしばしば遭遇するような一般的な小児外科疾患としては、下表に示すようなものがある。これらの病態のうち、先生方を悩ませる代表的な疾患(太字)につき、その疾患の病態、診断法、そして先生方が園児父兄になさるべき指導・助言につき述べる。乳幼児保育に関わる方々の日常業務の参考にして頂ければ幸いである。
表1
その1【鼠径部・泌尿器疾患】
鼠径ヘルニア
陰嚢水腫
停留睾丸
睾丸転移症(異所性睾丸)
移動性睾丸
睾丸捻転症(軸捻転)
睾丸炎
亀頭包皮炎
包茎
その2【臍部・肛門部疾患】
臍ヘルニア
臍炎
臍肉芽腫
先天性臍瘻孔
尿膜管遺残
臍腸管遺残
後天性臍瘻孔 ヘルニア術後
肛門周囲膿瘍(乳児痔瘻)
裂肛
直腸ポリープ(若年性ポリープ)
その3【体表腫瘤】
石灰化上皮腫
皮様嚢腫
リンパ管腫
血管腫
脂肪腫
正中頸嚢胞
甲状腺がん
思春期乳腺肥大
特発性乳腺肥大
副乳
その4【頻度の多いその他の疾患】
肥厚性幽門狭窄症
腸重積症
急性虫垂炎
異物誤嚥・誤飲
その5【特殊な病態】
漏斗胸
パネルディスカッションの進行(案)について
<東京開催> 平成15年12月13日(土) 日本薬学協会長井記念ホール
時間配分(案)は次のとおりです。
13:40 |
メンバーの顔合わせと打合せ(1F会議室C) |
(会場は14:30〜14:40まで講演Iの後の休憩時間に入っている) |
14:40 |
コーディネーターから、開催趣旨の説明及びメンバーの紹介及び進め方についての説明 |
14:50 |
講師(1)によるレクチャー(50分) |
15:40 |
休憩 |
15:50 |
講師(2)によるレクチャー(50分) |
16:40 |
コーディネーターと各パネラーとの話し合い。
必要により前半の補足説明及びフロアーとの意見交換 |
16:55 |
コーディネーターによるまとめ |
17:00 |
終了 |
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子どもの生活リズムと家庭生活
コーディネーター 大木 師磋生(しさお)(日本保育園保健協議会副会長)
メンバー 佐々木りか子(国立成育医療センター皮膚科医長)
羅 錦営(ら きんえい)(静岡県立こども病院眼科医長)
コーディネーター
大木師磋生(しさお)(日本保育園保健協議会副会長)
プロフィール
1950年 北海道大学卒 1951年北大病院実地修練課程修了
1951年 日本医科大学小児科勤務 1958年医学博士
1959年 柏市に小児科医院開業 1970年柏医師会理事
1979年 柏乳幼児保健懇話会会長(幼保園保健会)
1989年 柏地区医師会会長
1990年 千葉県小児科医会会長、日本保育園医協議会理事
日本医師会乳幼児保健検討委員
1991年 日本小児科医会常任理事、日本小児科学会評議員
日本小児保健協会評議員
1995年 日本保育園保健協議会常任理事
1999年 千葉県乳幼児保育保健連絡会会長
日本小児科学会名誉会員
2000年 日本保育園保健協議会副会長
現在 千葉県小児科医会顧問、千葉県医師会参与、日本小児科学会名誉会員、日本保育保健協議会副会長、日本小児保健協会評議員
子どものアトピー性皮膚炎のスキンケア
佐々木りか子(国立成育医療センター皮膚科医長)
プロフィール
1981年 日本医科大学卒業
日本医科大学皮膚科入局 同助手
1987年 国立小児病院皮膚科医員
1994年 日本医科大学皮膚科講師
1995年 国立小児病院皮膚科医長
2002年 国立成育医療センター皮膚科医長
医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、
日本小児皮膚科学会事務局長
専門分野:小児アトピー性皮膚炎、脱毛症、スキンケア
興味ある分野:母斑、血管腫、レーザー治療、先天性あるいは遺伝性皮膚疾患、小児の薬疹
所属学会
日本皮膚科学会
日本小児皮膚科学会
日本皮膚アレルギー学会
日本アレルギー学会
日本臨床皮膚科医学会
日本人類遺伝学会
日本医科大学医学会
国際小児皮膚科学会
アメリカ皮膚科学会
日独皮膚科学会
アトピー性皮膚炎の子どもさんは、保育園や幼稚園に必ず何人かはいらっしゃると思います。アトピー性皮膚炎は、昔から、同じようなことが専門家の間でもまだまだ論議されていて、画期的な進歩はあまりありません。ですからまだすっきりと治すことは難しいという点があり、長く病気とつきあう必要があることも確かです。けれども、ふつうに治療すれば、ふつうによくなる病気でもあります。しかし、今という時代は、そういう病気に対してこそ、出版物、マスコミ、インターネットがあふれる情報を流します。そんな中で患者さんや親御さんは翻弄されていると言わざるをえません。
ですから保育園の中には、ひどく掻きむしっているお子さんがいるかもしれませんし、そういう子どもさんのお母さんにかぎって、ステロイドは絶対に使わない特殊な治療を信じていらっしゃるかもしれません。そんなとき、保育園の先生として、どう対応したらよいのかという相談を受けることがあります。その答えとしては、専門のお医者さんにかかるようにすすめてくださいというしかないのですが、その前に園の先生方にこの病気に対する基本的な考え方を知っておいていただくかどうかで、対応のニュアンスも変ってくるかと思います。
また、今回は、みなさんに共通して質問、疑問があると思われます、保育園・幼稚園における食事制限や、薬の与え方、そしてスキンケアの具体的な方法などをお話したいと思います。
原点にたちかえれば、逆にまだ昔から同じようなことをするしかない病気なのです。
そして、それは、この病気の治療は皮膚の手入れをすることが一番大切なことであるということになります。なによりも、スキンケアを丁寧にこまめにするしかありません。
ですから、先生方のご協力なしには、この病気の子どもたちの素敵なお肌を望むことはできないと言い換えることもできます。
どうか、私の話をお聞きいただいて、それが明日からの子どもたちの皮膚の手入れにお役立ていただけますように。
レクチャー
羅 錦営(ら きんえい)(静岡県立こども病院眼科医長)
プロフィール
1976年 九州大学医学部卒業
1978年 静岡県立こども病院眼科
1985年 帝京大学非常勤講師
1993年 日本小児眼科学会理事
1998年 日本弱視斜視学会理事
2002年 日本眼科手術学会理事
1. 小児神経領域と関係の深い乳幼児の視力障害
乳幼児の視力障害は眼疾患、弱視、単純視力発達遅延、精神発達遅延に伴う視力発達遅延、脳性盲などに分類することができる。視覚障害児は重複障害が多く、未熟網膜症を始め;脳性麻痺、水頭症児の斜視、屈折異常、視神経萎縮;モヤモヤ病の視野欠損;Sturge-Weber病の先天緑内障の管理;神経線維腫症に伴う視神経腫瘍、眼瞼腫瘍の治療;筋無力症、ミオパチの眼科的管理;Down症などの症候群の眼科的治療;または脳性盲、視覚発達遅延の検査と経過観察など小児眼科領域の扱い範囲はかなり広い。
2. 視覚障害児の早期発見法
未熟児出生の場合では、未熟児眼科疾患として、先天性疾君は緑内障、白内障、Peters奇形、網膜芽細胞腫、胎内感染、染色体異常などがある。後天性疾患は未熟網膜症、角膜感染症、鼻涙管閉塞症による涙嚢炎などが主である。
その他の重篤疾患の除外のための一般問診項目として、
(1). 目の大きさ、形がおかしい(小眼球、ぶどう膜欠損、眼瞼下垂、先天緑内障)。
(2). 目がゆれる(眼球振盪、小眼球、先天白内障)。
(3). ひとみが白く見える(網膜芽細胞腫、先天白内障、未熟児網膜症、第1次硝子体過形成遺残)。
(4). より目になる、目が横にずれる(内斜視、外斜視)。
(5). まぶしがる(先天緑内障、睫毛内反症、白子眼、無虹彩、角膜混濁、外斜視)。
(6). 目やに、涙が出る(内反症、先天鼻涙管閉塞症、結膜炎)
(7). 目を細める(弱視、屈折異常)。
(8). 片目をかくすといやがる(弱視、片眼視力障害)。
それぞれの項目には視覚障害をきたす疾患が対応している。
眼科健診の理想的な年齢はまず生後3ヵ月以内での早期健診が大切である。この時期は悪性腫瘍(網膜芽細胞腫)、先天白内障、先天緑内障、眼底疾患の早期発見に努めなければいけない。この時期まで発見されない場合は、後で治療しても手遅れになることが多い。
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