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平成15年9月10日 保育界 第349号付録[1]
給与勧告の骨子
本年の給与勧告のポイント
〜平均年間給与は5年連続、かつ、過去最大の減少
(年収△16.3万円(月例給△1.1%と期末・勤勉手当△1.5%を合わせて△2.6%))
(1)官民給与の逆較差(△1.07%)を是正するため、2年連続で月例給の引下げ改定
―俸給月額の引下げ、配偶者に係る扶養手当の引下げ、自宅に係る住居手当の支給対象を限定
(2)期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(△0.25月分)
(3)通勤手当の6箇月定期券等の価額による一括支給への変更、調整手当の異動保障の見直し
(4)本年4月からこの改定の実施の日の前日までの期間に係る官民較差相当分を解消するため、4月の給与に較差率を乗じて得た額を基本として、12月期の期末手当で調整
 
1 給与勧告の基本的考え方
・公務員給与が民間給与を上回った場合においても、官民給与の精確な比較により公務員給与の適正な水準を確保することが情勢適応の原則にかなうものと判断
・配分、改定実施までの官民較差相当分の調整方法等については、各府省の人事当局や職員団体の意見を十分に聴取し検討
 
2 官民給与の比較
約8,100民間事業所の約36万人の個人別給与を実地調査(完了率93.5%)
〈月例給〉 官民の4月分給与を調査(ベア中止、定昇停止、賃金カット等を実施した企業の状況も反映)し、職種、役職段階、年齢、地域など給与決定要素の同じ者同士を比較
〈ボーナス〉過去1年間の民間の支給実績(支給割合)と公務の年間支給月数を比較
官民較差(月例給) △4,054円△1.07%〔行政職・・・現行給与377,535円 平均年齢41.0歳〕
(俸給 △3,459円  扶養手当 △209円
住居手当 △173円  はね返り分 △213円)
 
3 改定の内容と考え方
〈月例給〉 官民較差(マイナス)の大きさ等を考慮し、月例給を引下げ
(1)俸給表:すべての級のすべての俸給月額について引下げ
(1)行政職俸給表 級ごとに同率の引下げを基本とするが、初任給付近の引下げ率は緩和、管理職層の引下げ率は平均をやや超える率(平均改定率△1.1%)
(2)指定職俸給表 行政職俸給表の管理職層と同程度の引下げ(改定率△1.2%)
(3)その他の俸給表 行政職との均衡を基本に引下げ
(2)扶養手当 配偶者に係る扶養手当の支給月額を500円引下げ(14,000円→13,500円)
(3)住居手当 自宅に係る住居手当を新築・購入から5年間(2,500円)に限定(月額1,000円に係るものは廃止)
(4)通勤手当
・6箇月定期券等(交通機関等利用者)の価額による一括支給を基本とすることに変更するとともに、2分の1加算措置を廃止し、55,000円まで全額支給
・交通用具使用者に係る通勤手当について片道40km以上の使用距離区分を4段階増設
(5)調整手当
・いわゆる「ワンタッチ受給」防止のため、異動前の調整手当支給地域における在勤期間が6箇月を超えることを要件化
・異動保障の支給期間(現行3年間)を2年間とし、2年目の支給割合は現行の80/100
(6)その他の手当
(1)委員、顧問、参与等の手当 指定職俸給表の改定状況等を踏まえ支給限度額を引下げ
(38,400円→37,900円)
(2)医師の初任給調整手当
・医療職(一)  最高311,400円→307,900円
・医療職(一)以外(医系教官等)  最高50,800円→50,200円
 
〈期末・勤勉手当等(ボーナス)〉 民間の支給割合に見合うよう引下げ 4.65月分→4.4月分
(一般の職員の場合の支給月数)
 
    6月期 12月期
本年度 期末手当 1.55月(支給済み) 1.45月(現行1.7月)
勤勉手当 0.7月(支給済み) 0.7月(改定なし)
16年度 期末手当 1.4月 1.6月
勤勉手当 0.7月 0.7月
 
[実施時期等] 3の(1)、(2)、(3)、(6)及び期末・勤勉手当等の改定については、公布日の属する月の翌月の初日(公布日が月の初日であるときは、その日)から実施。3の(4)及び(5)の改定については、平成16年4月1日から実施
 本年4月からこの改定の実施の日の前日までの期間に係る官民較差相当分を解消するため、4月の給与に較差率を乗じて得た額に4月から実施の日の属する月の前月までの月数を乗じて得た額と、6月期のボーナスの額に較差率を乗じて得た額の合計額に相当する額を、12月期の期末手当の額で調整
 
〈その他の課題〉
(1)教育職俸給表の検討 国立大学の法人化等に伴い、教育職俸給表の在り方等について早急に必要な改正を行うため検討
(2)寒冷地手当の実態の把握 速やかに全国的な調査を実施し、調査結果を踏まえて検討
(3)特殊勤務手当の見直し 手当ごとの実態等を精査して廃止を含めた見直し等を検討
(4)月例給の比較方法の見直し 行政職俸給表(二)を来年から比較の対象外とする方向で検討
(5)特別給の算定方法の見直し 民間の特別給の前年冬と当年夏の実態調査に基づき特別給を改定
(6)独立行政法人等の給与水準 役職員の給与水準の公表に向けた検討への協力
 
4 給与構造の基本的見直し
・公務内外の大きな環境変化の下、地域の公務員給与の在り方について、国民の関心の高まり
―地域における公務員給与は民間に比べ高く、公務員給与の地域差は民間に比べ不十分との指摘
・職務・職責を基本に勤務実績・業績を重視した制度となるよう給与全般の見直しを行いつつ、民間給与の地域差に対応できる仕組みとするなど、全体として整合性の取れた形での見直しが必要
―「地域に勤務する公務員の給与に関する研究会」の基本報告(本年7月)でも同様の認識・提言
・今後とも、労働基本権制約の代償機能を適切に果たすべく、各府省、職員団体等と積極的に意見交換を行いながら、早期に具体化が行えるよう検討
―昇給制度を含めた俸給構造の見直し、民間給与の地域差に対応できるよう地域関連手当を再構築、スタッフ職を念頭においた新俸給表の設定、人事評価システムの整備 など
 
【参考】モデル給与例
(単位:円)
  勧告前 勧告後 年間給与の減少額
月額 年間給与 月額 年間給与
係員 25歳 独身 185,600 3,090,000 184,400 3,024,000 △66,000
30歳 配偶者 237,300 3,931,000 234,600 3,829,000 △102,000
係長 35歳 配偶者、子1 319,700 5,365,000 315,900 5,219,000 △146,000
40歳 配偶者、子2 358,200 6,005,000 354,000 5,842,000 △163,000
地方機関課長 50歳 配偶者、子2 479,360 7,938,000 473,910 7,729,000 △209,000
本府省課長 45歳 配偶者、子2 669,060 11,500,000 660,940 11,174,000 △326,000
本府省局長 - - 1,123,360 19,076,000 1,109,920 18,532,000 △544,000
事務次官 - - 1,475,040 25,048,000 1,457,120 24,329,000 △719,000







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