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表9. ソナー方程式の例
Step: Value at Deliverry Cumulative  
1. Output power per side 5kW=37dBW +37dBW (10log5000=37)
2. Transmit sensitivity of array 172dB re 1μPa/W +209dBμPa (+37+172=209)
3. Directivity index of transmit beam 2°x50°=25dB +234 (+209+25=234)
4. Spreading loss to reflector 5km=72dB +162 (+234-72=162)
5. Acoustic absorption along travel path 1.5dB/km;5km=8dB +154 (+162-8=154)
6. Backscattered energy 20dB loss typical +134 (+154-20=134) ○
7. Spreading loss back to array 5km=72dB +62 (+134-72=62)
8. Directivity index of receive beam 2°x75°=24dB +86 (+62+24=86)
9. Receive sensitivity of arrays -30dBV/Pa -64dBV (+86-120-30=-64)
l0. Basic receive gain 40dB -24 (-64+40=-24)
11. TVG gain 40(spread)+8(absorpt) +24 (-24+48=24)
12. Manual gain -6dB setting +18 (+24-6=18)
13. Digitizing gain 22dB re 1 bit/volt +40dB bit (+18+22=40)
14. Output D.U. 100(0〜127)    
 
(1)SeaBat8101
 SeaBat8101のソナー方程式の各パラメータを表10に示す。各ビームで計測した強度値は、一定のゲインまたはTVGゲインで増幅される。
 
表10. SeaBat8101のソナー方程式
Output power発信出力
Transmit sensitivity of array
Directivity index of transmit beam
Spreading loss to reflector
Acoustic absorption along travel path
Backscattered energy
Spreading loss back to array
Directivity index of receive beam
Receive sensitivity of arrays
Basic receive gain
TVG gain
Manual gain
Digitizing gain
0.8kW
176dB/uPa/V
22dB
30dB/km
70dB/km
求める値
30dB/km
29.4 [dB]
不明
設定なし
以下参照
オペレータによって設定(1dBステップ)
不明(システムによって異なる)
 
 表10に示すソナー方程式で収録されているパラメータは以下である。
 
(a)Range(レンジ):収録斜距離長
 オペレータによって設定される。
 
(b)Power(発信出力):
 オペレータにより設定される。マニュアルパワー(1-8)またはAutoを設定できる。最大出力は、設定8で0.8kW(24VAC、2Amps max)
 
(c)Gain(ゲイン)
 マニュアルゲイン(1-45)またはTVGがある。1-45の各段階において、1dB毎に設定可能。
 
 TVGはAutoかオペレータが設定する以下の2つのパラメータにより、(9)式で決定される。
 
TVG=2αR+Sp logR・・・(9)
α: Acoustic absorption [dB/km](伝搬減衰)
Sp: Spreading loss to reflector(自然拡散損失)
 
 ここで、αは伝搬減衰(dB/km)、Spは自然拡散損失dB/km、Rはスラントレンジ(m)である。しかし、TVGを決定するこれらのうちαとSpは収録されていない。
 マニュアルによれば、伝搬減衰は0〜120dB/kmの範囲で設定可能であり、海水で使用する場合は65〜70dB/kmの範囲で設定することがメーカー希望である。自然拡散損失は、O〜60の範囲で設定可能であり、同じく海水で使用する場合、30に設定することがメーカー希望とある。図63にTVGの例を示す。
 
図63. SeaBat8101のTVG曲線の例
水深約7m、発信間隔40msの場合
 
 以上の結果、SeaBat8101はReceive sensitivity of arrays及びDigitizinggainについての情報が得られなかった。Receive sensitivity of arraysは、受波器が音響エネルギーを音圧として感知し、電気エネルギーに変換するための係数である。またDigitizinggainは、電気エネルギーから収録値であるデジタルユニットへ変換するための係数を表す。これらの値についてメーカーに問い合わせた結果、メーカーからの回答が得られず、したがって収録データからソナー方程式を用いて、後方散乱強度分布を算出することができない。
 
(2)ANKOU
 ANKOUのソナー方程式の各パラメータを表11に示す。
 
表11. ANKOUのソナー方程式
Output power発信出力
Transmit sensitivity of array
Directivity index of transmit beam
Spreading loss to reflector
Acoustic absorption along travel path
Backscattered energy
Spreading loss back to array
Directivity index of receive beam
Receive sensitivity of arrays
Basic receive gain
TVG gain
Manual gain
Digitizing gain
10kW(HIGH)、1kW(MED)、100W(LOW)
172dB/uPa/V
25dB
15dB/km
1.6dB/km
求める値
15dB/km
24 [dB]
-30dBV/Pa
40dB
以下参照
オペレータによって設定(1dBステップ)
22dB re 1 bit/volt
 
 ANKOUでは、船上装置において通常、オペレータが設定するマニュアルゲインの他に、(10)式に示すTVG曲線を決定する4つのパラメータを設定できる。
 
Gain[dB] = G+A-128+[B/40]*[20log(t)]+C/40*t/0.75km/sec・・・(10)
G: オペレータによって設定されたゲイン
A: 固定ゲイン
B: 拡散パワー
C: 音響エネルギーの吸収のためのゲイン
 
 ANKOUのTVGの例を図64に示す。(10)式のパラメータを組み合わせることにより、図に示すように、直下近傍のみゲインを上げたりすることができる。
 
図64. ANKOUのTVGの例
高度1000m、探査幅40kmの場合(細線)
高度4000m、探査幅40kmの場合(太線)
 
 これらのパラメータは、収録されてはいなが、測量時のログノートに記載されているので、情報を得ることができる。以上の結果、ANKOUのソナー方程式は、全てのパラメータについての情報を得ることができた。
 
2.2.1.4 本研究の分類手法
 水中音波及びレーダを用いた分類手法並びにSeaBat8101ANKOUのソナー方程式のパラメータに関する資料の収集を実施した結果、本研究では、後方散乱強度値から画像処理による分類及び後方散乱強度分布モデルから海底面の凹凸と底質を推定する方法の二つの分類法による底質分類を試みる。後者による分類法では、SeaBat8101ソナー方程式のパラメータのうち、一部の情報が得られなかったため、ANKOUの音響画像データを使用する。
 海底からの音響散乱波と海底底質とを比較し、底質の判別を実施するためには、基礎資料となるグランドトルスデータを加味して決定することが望ましい。したがって、今までに実施された測量海域において、グランドトルスデータの有無を確認した上で、分類結果の評価を行うこととする。
 
2.2.1.5 データの収集及び処理
 底質分類解析処理のためのデータ収集並びにKGPS、水深、音響画像データの処理を実施した。
 
(1)概要
 平成15年6月、瀬戸内海伊予灘において、底質分類のためのSeaBat8101音響画像データ収集を実施した。使用した船舶は、第六管区海上保安部所有のくるしまである。実験は、6月10日から4日間実施されたが、本研究のための音響画像データの収集は最終日の13日のみであった。当初、本測量においては、本研究のための堆積物採取を予定していたが、実験が急に決定されたため、準備の都合上、実施されなかった。
 本実験の概要を表12にまとめた。また実験に用いた主な機材の船内配置を図65に示す。
 
表12. 瀬戸内海伊予灘実験概要
実施機関 第六管区海上保安本部海洋情報部
測量船 くるしま
収集データ K-GPSデータ
マルチビーム測深データ
音響画像データ
海域 瀬戸内海伊予灘
機材 POS/MV動揺センサー
SeaBat8101(船底装備)
DGPS受信機
GPSコンパス
K-GPS移動点/陸上点用4000SSE/SSI GPS装置
 
図65.測量船くるしまの機器配置図
[測量船くるしまGPSアンテナ等の位置図] 2003/6/10-13







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