日本財団 図書館


図55. 航空機SARによる地質判読
 
(c)現地の地表面の粗さ10)
(拡大画面:102KB)
資料:「合成開口レーダ画像ハンドブック」
 
(4)分類(識別)
 リモートセンシング画像を判読する際に、まずはじめに、その画像の観測波長および偏波の理解が必要である。なぜなら、波長や偏波条件が異なると、マイクロ波の散乱が異なり、画像が大きく変化するからである。
 画像処理技術の最終的な目的は、機械による外界の認識である。これは航空機あるいは衛星による陸上画像も海底画像も共通の目的である。しかしながら、人間の認識過程がまだ不明である現在、直接機械による画像認識を行うことはほとんど不可能に近い。一般に複雑な画像を解析し、そこに写されている対象物を検出、認識するには、認識対象に関するさまざまな知識が必要だからである。特に海底画像については、陸上の画像に比べて十分な基礎データがなく、音波と海底物質の相互作用が不鮮明である。実際に現在可能な分類は、画像中の比較的等質な部分を他の部分から分割する処理である。この処理を画像の分類と呼ぶ。
 エッジ検出や2値化、領域分割などの処理によって画像から対象物が検出され、色、形、テクスチャ等の特徴量が計測されると、次にそれが何であるかを分類・認識するこことが必要となる。
 
図56. リモートセンシング画像の解析手法
資料:「画像解析ハンドブック」
 
 図56はリモートセンシング画像の解析手法の発展を歴史的な流れに沿って描いたものである。処理は複雑化・多様化されており、複数の手法を使用したり、テクスチャ解析などでより詳細な情報を得ることが可能となった。また人工知能による解析処理の自動化も進められている。
 リモートセンシングで用いられる代表的な分類の数学的手法を大別すると、次のものがある。
 
(1)グランドトルスデータを用いた分類
 グランドトルスデータを用いることにより、ある未知のデータが確立統計的にいずれのクラスに属するかを判定する分類方法である。通常、画像に写されている対象物を認識するためには、画像から線や領域といった画像特徴を抽出し、知識として蓄えられている認識対象のモデルとの照合を行う。モデルとの照合方式には、認識対象のもつさまざまな特徴(スペクトル特性、形状特徴、テクスチャ特徴など)と画像から抽出された画像特徴のもつ特徴を比較し、認識を行う。
 分類は一般的に対象としている画像中のなんらかの特徴を用いて行われる。特徴とは例えば、2値画像の場合は形態的特徴(面積、周囲長等)であり、多値画像の場合は各画素の濃度やテクスチャなどである。グランドトルスデータを用いた分類を大別すると次のように、閾値、最尤法、最短距離法、ツリー型分類がある。
 
(a)閾値
 分類する各クラスのバンド特性を理解し、放射輝度を閾値によって分類する。
 
(b)最尤法
 尤度は確立密度関数であり、尤度が最大となるクラスに未知のデータを分類する方法で、リモートセンシングでは一番良く用いられている。
 
図57. 最尤法
 
(a)
 
(b)
資料:「コンピュータ画像処理入門」
 
 一次元の特徴空間の場合、図57に示すようにある値Bで特徴空間を2つの領域に分割したとき、これによって生じる誤分類の確立は、図57(b)の斜線をつけた部分の面積によって表される。これにより誤分類が最小となるクラスに分類を行う。最尤法による分類結果を図58に示す。
 
図58. 
最尤法による分類
(上)原画像 (下)分類結果
資料:「画像解析ハンドブック」







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION