(4)観測データベースの構成
図4.2に示したデータベース構成のうち、観測データベースについて詳述する。
観測データベースは、以下の理由から大きく各層観測データファイルとその他のデータファイル(表2.8に示した、WOD 2001の分類によるCTD、XBT、MBT、PFL、MRB、DRB)に分けることとした。
・本研究では日本海の環境変動について検討するため、種々の観測項目が必要である。
・また、長期間に広範囲で観測されたデータが必要である。
・各層観測とCTD、XBT、MBTは同一点で行われている場合がある。同一点・同一時に複数の同一項目データが混在することはできるだけ避けたい。
・必要に応じて後日再編成することは比較的容易である。
各層観測データファイルは、4.2節でも述べたように年代別\船舶別\クルーズ別の階層構造とし、インベントリー情報からのデータ検索を容易にした。年代の区分は、1930年以前及び1931年以降は10年毎とした。
また、観測データを更に条件を絞って検索することも可能なように、図4.9に示す検索用プログラムを準備した。これは図4.4に示したインベントリー検索と同一のプログラムで、どちらかを選択するようにしている。
データ検索の場合は、インベントリー情報の検索条件に加え、品質管理フラグによる選別条件及び検出データの出力方法の指定を行う。
図4.9 観測データの検索用画面
(5)観測データの分布
観測データベースに収録した各層観測データの年代別・月別の観測数及び水平的な分布状況を把握するため集計を行い、以下の図表に示した。
◆全観測点をプロットした測点図:図4.10
◆30′メッシュで集計した観測点数分布:図4.11
◆5年毎に集計した観測点数の年代変化:表4.1及び図4.12
◆月別に集計した観測点数の季節変化:表4.2及び図4.13
◆項目別の観測点数の年代変化:表4.3及び図4.14
◆10年毎に集計した年代別の観測点数分布:図4.15
◆月別に集計した観測点数分布:図4.16
全観測点数は316,395測点であり、日本側沿岸の観測が多い。なお、このうち844測点分が本業務で新たに加えた観測データである。
年代別変化では1960年代から観測点数が増加しており、1980年代が最も多い。1930年以前は極めて少ない。1960年〜1995年には、1963年から始まった水産庁漁海況予報事業による海洋観測データ(プロジェクトコード:POD)が半数弱を占めているが、これ以外の観測数も増加している。1990年代以降に減少しているのは、まだJODCに送付されていないデータも多いためと推察される。
月別には夏季に多く冬季に少ない傾向にある。
項目別には水温が最も多く、ほとんどの測点で観測されている。塩分はおよそ半数の約16万点、DOは約3万点、栄養塩は1万点前後となっている。
また、MBT、XBT、CTDのデータファイルに収録した観測点数の集計結果を以下の図表に示した。
◆全観測点をプロットした測点図:図4.17(MBT)、図4.19(XBT)
◆30′メッシュで集計した観測点数分布:図4.18(MBT)、図4.20(XBT)
◆5年毎に集計した観測点数の年代変化:表4.4及び図4.21
図4.10 全観測点のプロット
図4.11 全観測点数の分布
表4.1 観測点数の年代別変化
|
JODC保有 |
その他 |
日本小計 |
WOD2001 KODC |
海外合計 |
合計 |
YEAR |
POD以外 |
POD |
-1900 |
0 |
0 |
0 |
0 |
72 |
0 |
72 |
72 |
1901- |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1906- |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1911- |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1916- |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1921- |
0 |
0 |
0 |
0 |
6 |
0 |
6 |
6 |
1926- |
0 |
0 |
0 |
0 |
180 |
0 |
180 |
180 |
1931- |
4,228 |
0 |
0 |
4,228 |
1,098 |
0 |
1,098 |
5,326 |
1936- |
8,503 |
0 |
0 |
8,503 |
0 |
0 |
0 |
8,503 |
1941- |
4,320 |
0 |
0 |
4,320 |
0 |
0 |
0 |
4,320 |
1946- |
1,756 |
0 |
0 |
1,756 |
130 |
0 |
130 |
1,886 |
1951- |
2,478 |
0 |
629 |
3,107 |
61 |
0 |
61 |
3,168 |
1956- |
2,915 |
0 |
148 |
3,063 |
443 |
0 |
443 |
3,506 |
1961- |
7,534 |
7,394 |
0 |
14,928 |
335 |
1,832 |
2,187 |
17,115 |
1966- |
16,923 |
16,800 |
0 |
33,723 |
1,460 |
3,626 |
5,086 |
38,809 |
1971- |
13,512 |
16,449 |
0 |
29,961 |
3,089 |
3,292 |
6,381 |
36,342 |
1976- |
22,108 |
14,316 |
0 |
36,244 |
1,743 |
3,588 |
5,331 |
41,575 |
1981- |
25,382 |
17,756 |
0 |
43,138 |
342 |
3,258 |
3,600 |
46,738 |
1986- |
24,111 |
18,177 |
67 |
42,355 |
566 |
3,161 |
3,727 |
46,082 |
1991- |
22,755 |
10,492 |
|
33,247 |
154 |
3,101 |
3,255 |
36,502 |
1996- |
17,902 |
0 |
|
17,902 |
386 |
3,475 |
3,861 |
21,763 |
2001- |
3,248 |
0 |
|
3,248 |
48 |
1,206 |
1,254 |
4,502 |
total |
177,675 |
101,204 |
844 |
279,723 |
10,133 |
26,539 |
36,672 |
316,395 |
|
・ |
「POD」は、1963年より開始された水産庁漁海況予報事業による海洋観測データを示す。 |
|
このデータのうち、1993年頃(一部の機関は1995年)まではJODCのデータベースに収録済み。 |
・ |
「その他」は本業務で入力またはFETI型への変換を行った日本のデータを示す。 |
図4.12 観測点数の年代別変化
|