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 7月6日〜8日にかけては、明確なrip-channelとfeeder-channelが形成され、そのほぼ中央よりやや西側の水深0-65m地点に流速計を設置した。この時の電磁流速計で計測された流速の時系列を図2.2.11に示す。図2.2.11より、やや東向きの沿岸方向流れと強い沖向きの流れが計測されており、時として1.0m/sを超える離岸流速となっている。さらに、岸沖方向・沿岸方向流速とも周期360s前後の長周期変動が含まれている。
 
図2.2.11 極浅海域で測定された流速(7月7日22時〜)
(a)N-S方向成分
 
(b)E-W方向成分
 
3)飛行船ビデオで計測された離岸流パターン
 実測期間中、2回(7月5日と7月6日)飛行船搭載ビデオによって離岸流を捕らえることができた。このうち、7月5日に発生した離岸流は、昨年同様数分で消滅する不安定性に起因すると予想される離岸流であった。これに対し、7月6日には、西側潜堤の東側汀線に明確なfeeder channelとrip-channelが形成され、前出図2.1.4に示すType-B2の強い沿岸流が発生した。撮影された離岸流の流況を図2.2.12に示す。
 
 東西の2つのfeeder channelからrip channelに向かって流れが生じ、沖に流出する。
 典型的なType-B2
 
図2.2.12 
凸部から発生した地形性離岸流
(Type-B2)7月6日12時
 
 
 
 東西両側のfeeder-channelから沿岸方向の流れが凸部に集中し、rip-channelから沖に向かって流出する様子が捉えられている。また、シーマーカーの動きから読み取った離岸方向流速は0.6-0.8m/sであった。
 図2.2.13は、離岸流の中に投入したトレーサー(直径約40cmのせんべい)の動きから流速ベクトルを算出したものである。
 
図2.2.13 
トレーサーの動きから読み取った
流速ベクトル
 
 なお、このような海底地形は、7月4日に来襲した高波浪によって形成されたものと考えられるが、翌5日は強い降雨のため、確認はできなかった。







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