日本財団 図書館


4 効果測定
(1)評価される点
(1)広報・準備・・・
1)ミュージアム内での連携(企画広報課と施設船舶課)が円滑に行われ、道具・機材・資材の準備が容易に行うことが出来るようになった。
2)体験学習事業ということで、石巻市教育委員会社会教育課との情報交換の素地を築けたかと思われる。
3)体験学習実施にあたり、協力団体の申し出もいただけるようになり、全般的な認知が確立されてきつつある。
 
(2)実施・・・
1)実施にあたり、運営方法が確立してきたこともあり、事業を円滑に行うことが出来るようになった。
2)体験学習参加者の中に、毎年の同じ体験学習内容にだけではなく、年間を通じて各種実施される体験学習へのリピーターが生まれてきている。
3)体験学習実施当日の参加希望者及びその問い合わせが、体験内容によっては多くなってきている。
4)当ミュージアム実施のアンケート結果から、体験学習事業及びメニューへの期待や要望が多数寄せられてきている。
 
(3)事後・・・
1)体験学習参加者の事後アンケート及び任意の聞き取りから、体験学習参加者の満足度評価は高くなっている。
2)実施後、担当者間での反省会を重ねる中で、様々な内容や手法上の改善点、さらには新しいアイディアが出され、創造的な流れが生み出されてきている。
 
(2)改善すべき点と今後の課題
(1)広報・準備・・・
1)体験学習の内容自体が、船舶に関することに特化する場合が多いため、一般市民になじみがないという現実は免れない。来年度以降実施に当たっては、広報の方法に工夫が要される。今年度も教育委員会、地域の子供会等に、ポスター・チラシ・各種文書によって広報を展開したが、今後、さらに体験学習をVTRに収録したものなど、より具体的(視覚的)な手法を用いたり、ハダ打ち体験など実施に係る道具一式を学校等に持ち込みアウトリーチ的あるいはデモンストレート的な広報等を行っていくなど、手法を工夫し、効果的な広報活動を推進していく必要が考えられる。さらには、学校・地域子供会の年間行事予定が前年度末に策定される場合が多いため、そのときまでに当ミュージアムの体験学習内容や年間行事予定等が掲載されているパンフレットを作成し、各関係・団体・機関に周知していくことも重要な点であると考える。
2)今年度については、とりわけ問題及び支障は無かったが、特に外部講師を依頼して実施する場合、実施内容について当ミュージアム職員(アテンダントを含む)全員が把握できるよう連絡調整の機会をさらに増やし、次年度以降も滞りなく実施できる体制を維持したい。
3)実施にあたって、参加者募集の広報以外にマスコミ各社(新聞・テレビ・ラジオ等)へ体験学習実施について周知し、可能であれば実施日当日の取材依頼を行い、潜在的来館者へ、サン・ファン館の体験学習についてさらなる周知定着をはかり、リピーターの形成と確保につとめる必要がある。
4)当ミュージアム及び体験学習を組み入れたツアーを計画してもらえるよう、旅行会社等、エージェントの企画担当の立場に立った体験学習内容も企画立案し、観光キャラバン等の広報活動をさらに強化していく必要がある。
5)体験学習を実施している博物館等の社会教育施設への先進地見学や研究等を実施し、魅力ある体験学習内容の創出に努める必要がある。
 
(2)実施・・・
1)体験学習参加者のさらなる確保方法の確立とリピーターを形成するための「仕掛け」(例:ポイントカードシステム)の確立
2)屋外で実施する体験学習(例:木造船体験学習 〜船大工の技・船乗りたちの生活体験〜等)について、当日雨天の際の対応(実施の有無・実施場所の変更・臨時の別メニュー等)を事前に想定し、準備をしておく必要がある
3)参加予約数にもよるが、一般来館者の中で体験学習の実施状況を見て、当日途中からの参加希望が多いため、その場合の対応(参加の可否・臨時のメニュー等)を確立しておく必要がある。
4)体験学習実施にあたって、石巻湾漁業協同組合や宮城県水産研究開発センターなど地元石巻の関係諸機関・団体や地域の方々との連携を深め、内容の充実を図って行きたい。
5)社会的な流れの中で、生涯学習の一環として位置づけられるような体験学習内容の構築に着手する必要が出てきている。
6)小学校・中学校等で実施されている「総合的学習の時間(総合学習)」の一環として活用可能な体験学習内容およびシステムの構築の必要性が高まってきている。
7)「船」や「木」に関係する体験学習項目だけではなく、「磯」、「浜」といった「海」に関することや地域の自然環境を、観点やフィールドとした体験学習内容を確立していく必要がある。
8)限られた予算内で事業内容を豊かにしていくために、ボランティア等の養成に着手してゆく必要も考慮すべき時期に入ってきている。
9)「量より質」、「質より量」の連続によって、体験学習をさらに充実させ、当ミュージアムのアイデンティティを拡張していく必要がある。
 
(3)事後・・・
実施状況の記録について、PRのためのVTR作成用素材として活用できるように、写真等の記録だけではなく、VTR等を活用する必要がある。
 
5 次年度の計画と構想
(1)はじめに
 当ミュージアムは、今から390余年前、ヨーロッパに渡った仙台藩士支倉常長ら慶長使節を乗せて太平洋を2往復した木造帆船「サン・ファン・バウティスタ」の復元船を展示の核に、慶長遣欧使節の歴史や大航海時代の帆船文化を映像やロボットそしてシミュレーターなど先端の技術を駆使して、楽しく学べる博物館づくりに、そして何よりご来館いただく皆様方のニーズにおこたえできるよう日々つとめている。また「学校週五日制」の導入や「総合的学習の時間」の実施という、近年の学校教育の潮流に即応し、また当ミュージアム・アンケート調査によるご家庭からの要望にお答えすべく、サン・ファン館では、「2004年 サン・ファン館の体験学習」と題し、「海」・「船」そして「木」をキーワードに、各種の体験学習の機会を設け・数多くの児童・生徒の皆さんに提供してゆきたいと考え、以下のとおり体験学習に向けての計画を立てている。また、次に示す内容は、「2004年サン・ファン館の体験学習」と題するパンフレット(平成15年度中に作成及び関係諸団体への配布を行う予定)に掲載するものである。
 
(2)平成16年度体験学習(予定)
 
(1)開催日指定 体験学習メニュー
開催予定日 体験内容 料金等 備考
5月上旬
(連休中)
木造船体験講座 VOL. 1
〜船乗りたちの生活体験〜
内容:船の甲板や船体の浸水などを防ぐ伝統的な船大工の技術を体験する。板と板の間にヒノキの樹皮を柔らかくしヒモ状にしたものを、専用の道具(ポンクズとヤトコ)で打ち込む*1「ハダ打ち体験」。また復元船サン・ファン・バウティスタの船上で「マスト登り」・*2「ヤシの実を使っての甲板磨き」・*3「キャプスタン(人カウインチ)を使っての網引き」などを体験する。
参加費:300円
館内観覧無料
復元船「サン・ファン・バウティスタ」の建造に携わった船大工さんや、専門の指導者の方が直接指導いたします。
所要時間:2時間30分程度
6月下旬
(土曜日)
クラフトマン船(シップ)体験講座 VOL. 1
〜ボトルシップ製作講習会〜
内容:専門の指導者を招き、船乗りたちの間で始まったボトルシップ作り(空き瓶の中に船の模型を作る)を体験する。
参加費:1500円
館内観覧無料
専門の指導者の方が指導いたします。
所要時間:4時間程度
7月下旬
(海の日)
船人(シーマン)シップ講座 VOL. 1
〜ミニヨット体験〜
参加費:300円
館内観覧無料
専門の指導者の方が指導いたします。
所要時間:2時間30分程度
8月中 船人(シーマン)シップ講座 VOL. 2
〜復元船「サン・ファン・バウティスタ」
展帆ボランティア養成講習会〜
未定 数回にわたり、専門の指導者の方が指導いたします。
8月上旬
(土曜日)
木造船体験講座 VOL. 2
〜船乗りたちの生活体験〜
内容:5月実施の「木造船体験学習 VOL. 1」と同様
参加費:300円
館内観覧無料
復元船「サン・ファン・バウティスタ」の建造に携わった船大工さんや、専門の指導者の方が直接指導いたします。
所要時間:2時間30分程度
8月下旬
(土曜日)
クラフトマン船(シップ)体験講座 VOL. 2
〜木工教室〜
内容:実際のノミやカンナなどの大工道具を使用して、ボートやヨットなど木を使った工作を行う。
参加費:300円
館内観覧無料
復元船「サン・ファン・バウティスタ」の建造に携わった、船大工さんが直接指導いたします。
所要時間:4時間程度
9月下旬
(土曜日)
クラフトマン船(シップ)体験講座 VOL. 3
〜流木で工作教室〜
内容:海から流れ着いた流木などに色づけなどをして簡単な部屋飾りなどをつくる。
参加費:300円
館内観覧無料
専門の指導者の方が指導いたします。
所要時間:2時間程度
10月中旬
(土曜日)
クラフトマン船(シップ)体験講座 VOL.4
〜木の不思議発見・・・木材の性質の体験実験〜
内容:復元船サン・ファン・バウティスタの外板の曲線を作り出すために使用する大型の蒸し釜を使用して、硬い木材が小さな力でも簡単に曲がるようになるという性質を実験で体験する
参加費:300円
館内観覧無料
復元船「サン・ファン・バウティスタ」の建造に携わった、船大工さんが直接指導いたします。
所要時間:2時間程度
 
(2)“博物館は教室だ”体験学習メニュー(参加は学年・学級単位の予約)
講座 対象児童・生徒 時間
I、「支倉常長と慶長使節」歴史講座・・・ミュージアム・ツアー
・・・幼稚園児以上 1.5
II、「サン・ファン・バウティスタ」復元への歩み講座・・・ミュージアム・ツアー
・・・小学生以上 1.5
III、匠の技・・・大工道具を使ってみよう(ノミ・カンナ・ノコギリ)
・・・小学生以上 2.0
IV、木の文化・・・木材の利用法・木材の性質・・・解説
・・・小学生以上 1.5
V、船はなぜ浮かぶの?・・・アルキメデス「浮力の原理」 実験と解説
・・・小学校中・高学年以上 2.0
VI、自分の大きさ・サン・ファンの大きさ・・・直角三角形の原理の応用 実験と解説
・・・小学校中・高学年以上 3.0
VII、地球が回る・・・フーコーの振り子の原理と日時計 実験と解説
・・・小学校中・高学年以上 3.0
VIII、牛乳パックで帆船を作ろう・・・リサイクル工作教室
・・・幼稚園・小学校低学年向け 2.0
IX、船乗りたちの生活体験・・・「ハダ打ち体験」・「ヤシの実を使っての甲板磨き」・「キャプスタン(人力ウインチ)を使っての綱引き」
・・・幼稚園児以上 2.0
X、その他・・・ご希望にあわせた教育内容 事前にご連絡いただければ、ご相談の上、教育プログラムを作成いたします。
*この「“博物館は教室だ”体験学習メニュー」は、幼稚園・小学校・中学校の園児・児童・生徒の皆さんが、遠足・修学旅行等で当ミュージアムに来館される際や、総合学習やその他学習活動で当ミュージアムをご利用いただく際に、通常の観覧のほかに提供できる教育プログラムです。具体的な内容は事前に当ミュージアムまでお問い合わせ下さい。参加する園児・児童・生徒の皆さんに合わせて教育プログラムを作成いたします。
 
(3)義務教育諸学校との連携
 昨今の一連の教育改革の中で示された「新しい学力観」という考え方は、自己教育力の育成を主眼として、これまでの知識・技術重視から関心・意欲、思考力、判断力、表現力を学力として育てていく方向への転換を意味すると考える。つまり、従来、学校教育活動と博物館等の学校外の教育活動(社会教育活動)がそれぞれ互いに個別に実施してきた教育方法に転換が求められて来ていると言ってもよいだろう。このような教育におけるパラダイムの転換に対応して、学校教育と博物館等の社会教育がそれぞれの役割分担を前提とした上で、そこから一歩進んで、それぞれの要素が部分的に重なり合いながら一体となって児童・生徒の教育に取り組んでいこうとする考え方が生まれてきた。そこで、当ミュージアムでは、小学校・中学校等の先生方と一緒に、学校における「総合的学習の時間」の充実のみならず、一般教科の授業の充実を目的として、学校教育機能と博物館における教育機能(社会教育機能)を連携・融合させた新しい教育課題や教育プログラムを作成し、一歩踏み込んだ教育内容を子供たちへの提供することを計画している。ついてはこの内容について、石巻広域圏(平成16年1月段階 1市9町)を中心に、県内の当該学校へ打診し、賛同する学校を求め実施に向けて着手する。







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