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時流をみる目
 
 そうすると、何が一番いいかというと、そろそろ時流をきちっと見る。世の中の何が動いてる、どう変わっていくのか。例えば、さっき皆さんお笑いになってたけど、これからの女の人、もう昼食作りませんよ。30才前後の方、あなたの奥さん、もうあなたに昼食なんか作ってくれませんよ。今の子供達、昼食は全部、外食。もう作るんじゃないんです、買ってしまうんです。だから何が売れていますか、今。外食がめちゃくちゃ売れてるじゃないですか。昼食のランチ売場がどんどん増えてるじゃないですか。ということは、そこの物流の量はどんどん増えるじゃないですか。こういうふうに、その情報をパッと先に見抜いた奴が、先に回ればいいじゃないですか。
 
●消費者思考、消費者ニーズ
 今の人はね、世の中をどういうふうに動いているかというと、瞬間大衆迎合というんです。小泉さんがいいとなると、みんな小泉さんになるんです。同質化、同じ質のものがいいんです。これが今のニーズなんです。そしてユニクロを買ってた人が、ルイヴィトンを買いに行く。ひとり二極化してしまった。
 長者番付を見て下さい、おもしろいですよ。長者番付を見てるとね、本当に分かりますよ、時代が。不動産とか証券で儲けた人、ほとんど出てこないじゃないですか、今。「カキノタネ」しか出てこない。「カ」身体、環境、介護というんです。健康で自然で、お年寄りが多くなってきたから介護、今のお客さんはこれに一番興味がある。そして「キ」美容。H&B、ヘルシー・アンド・ビューティー、健康で綺麗にありたい。これが今のお客さんの一番のコンセプトなんです。そして、「ノ」暢気、ゆとり、癒しです。だから露天風呂、ハーブだとか、1980年代の音楽とか、そんなのが今すごく人気です。そして「タ」楽しい。健康で綺麗で遊びたいんです、みんな。そして最後は「ネ」年季です。あそこのお菓子でなきゃいやなんだ。あそこの洋服でなきゃいやだ。あそこの料理屋でなきゃいやだ。専門特化してなきゃいやだ。これを何というかと言うと、今の人はカリスマというんです、カリスマ美容師とか、カリスマ店員というのはここからでてくる。分かりますか。これだけ覚えておけば、世の中のこと見えますわ、あっという間に。そんなに難しくない。これが時流です。
 
 
●あやしい、いかがわしい、疑わしい
 見て下さい、今年の長者番付、美容と健康とサプリメントの人ばっかじゃないですか。この人だけが儲かってる。世の中にね、儲かる薬は3つしかない。ビタミン売るか、アスピリン売るか、サプリメント売るか、この3つしかない。
 売上げが一番多いのはビタミンなんです。ビタミンはものすごく種類がある。ところでビタミンって、皆さん飲んでいらっしゃるけど、効くんだか効かねえんだか、分からないです、これ。なんか分からないけど、みんな飲んでる。「お父さん飲みなさい」なんて、飲まされてる。
 ところがお腹が痛い、歯が痛い、生理痛だ。何が効くかというとアスピリンが一番効くんです。一発で効く。商売何が儲かるかというと、一発で効くやつが儲かるんです、本当は。欲しいんだから、みんな。
 ところがサプリメントは、その中間。全く訳分からない。訳分からないやつが儲かってるんです。なぜだか知ってますか。今、金儲かってるやつはあやしい、いかがわしい、疑わしい商品を扱ってるやつなんです。この人だけが儲かってるんですよ、今。「あやしいな、こいつ。本当かな、こいつ」というようなものが、やたら売れてるんです。
 佐川急便の会長の佐川清さん。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんけど、おもしろい方ですね、あの人は。本当にすごいですよ、あの人の生き方。全然路線なくて始めるんですからね。
 「会長が来るといやだ」って言う、社員が。なぜだ。会長は何にも、面倒くさいことは言わない。「運送屋に頭のいい奴なんて、いるわけねえ。だから、そんな難しいこと教えたらダメだ」簡単なんです、あの人は。朝行ったらね、「オイ、○○、頑張ってるか」「はい、頑張ってます」「ああそうか、お前月給いくらだ」「40万です」「ああそうか、本当に頑張ってるか」「はい、頑張ってます」「おい店長、70万にせえ」「えっ」店長びっくりする。「本人が頑張ってると言ってんだ、70万にせえ」これ、命令です。会長の命令、絶対。そしたら、みんなびっくりする。「えっ、私、給料70万」「そう、70万、頑張れ」「はい」
 今度は何ヵ月後か、また行って「どうだ、お前、頑張ってるか。70万分やってるか」「はい」「オイ、こいつ、どれ位ある」「はあ、あまり変わりません」「そうか、20万にせえ」それで終わりだってんです。佐川清、みんなにこれやった。だからみんな、会わないように、会わないように、会長に会うとおそろしいから。
 また、この人は全て金で解決した。「難しいことはわからねえ」って言うんです。なんか難しいこというとね、「あのなあ、お前なあ、俺、中学も出てねえんだ。だから5個以上の数字を言うな。俺は5以上の数字はわからねえ、能力ねえ」だから、「これ、すみませんが、1km当り680円で・・・」とか言うと、「そんなのわからん。みんな500円にせえ」「そんな」「俺は5以上の数字を見たことねえんだから、わからん」それで、しょうがないから、みんなガーッと仕事してるんです。そういう商売してる人ですね。あやしいでしょ。とってもいかがわしい。それが売上9000億円とかね。佐川さんの月給6000万円。それで全然1回も商売してからお金が苦しくなったことがなかったって言うんです。「なんで苦しくなるのか、よくわからん。」って言うんです。
 
 
金儲けの原則
 
 良い悪いは別として、あっという間にあんなふうに変わってしまう。そこに彼の中の原理・原則みたいなものがあるんですね。なぜなら商売は売上アップなくして再生なしですから。社長業になった瞬間、あなたは何を始めるか。売上増、固定費減、これとの一生の戦いですからね。資金繰りはしなきゃいかん。アホの社員の面倒はみらなきゃいかん。こんなのばかりで、「何で俺がやらないかん」こんなのの戦いをやってるのが社長です、中小企業の。
 だから、社長って給料がものすごく高くないとダメなんです。その社長の給料って安いんですよ、ものすごく。今、年収2500万円以上取る人を金持ちという。6万人いる。1000万円以上とる人を小金もちという。これ68万人いるんです。今、この人達がどんどん増えてるんです。減ってないんですよ。増えてるんです。じゃあ誰が減ったかというと500〜1000万くらいの人がどーっと減ってきてしまった。あなたの会社のサラリーマンの人、誰も減ってませんよ。誰が減った。社長が減った。社長が取れなくなっちゃった、自分の給料。だから気がついたら、社長が一番貧乏で、社員が豊かで、なんかメチャクチャな国になってきたんです。
 そして勝ち組、負け組の差がついてきたから、商売のやり方が普通のやり方ではついていけないんですよ、もう。だから、そういうことを見た時、何が一番大切かというと簡単です。商売を拡大するには同業他社から学びなさい。儲けたかったら異業種から学べ。これが絶対原則です。会社というのは、大きくしたかったら同業他社のノウハウをそっくりいただくのが一番多いんです。でも利益を大きく取りたかったら異業種から勉強するんです。
 そうすると、もし皆さんが商売で苦しかったら、どうやったらいいか。何でもかんでも儲かってるとこ、はやってるとこに行くんです。「俺、あんな人ごみ、だいっきらい。行くのやだ」もうやめ、これ、経営者。年寄り、ダメ。積極的に自分が出て行くんです。そして何をするか。じーっと見る。何を見る。何でこんなとこにいっぱい人が来てる。何でここが、こんなに人気があるんじゃ。これをじーっと見るんです。そして見てるとふっと思うんです。かならずひとつ気がつく。「ウチと同じことしてる」まず、これに気がつく。そして、まだ、じーっと見る。「あっ、これ、ウチと全然違うことしてる」そこが利益の見どころです。ここさえわかれば、必ず金儲けはできます。
 金儲けは難しくはありません。利権はきまってますから。商売は利権。金儲けをしたかったら利権、のれん、技術、信用、情報、運。これだけです。これだけセットになってりゃ、絶対にあなたは必ず金持ちになれます。「利権」NTTに入ってる、JAに入ってる、三菱重工に入ってる、これ利権です。利権をとるためには何が必要かといったら、「のれん」が必要です。のれんて何だというと「信用」です。信用がないとやれません。利権がとれません。信用をとるには何がいるかというと「技術」が要ります。サービスがいります。他のとこにはない技術、他のところにはないサービス。特徴がないと誰も人はつきません。そして、どれがこれから良くなるかというのは「情報」です。どんな産業がよくなって、どういうところのお客さんがいいかというのは情報です。それに「運」がないと、あんたは商売繁盛しません。だから昔から江戸の商人は上手いこと言ったんです。(7+3)×49+3。これが商売繁盛のコツ。努力7分に運3分というんです。かける仕掛けて何かやれというんです。何か作れ。そして49、欲が身についたら+3、商売繁盛する。これが井原西鶴が永代蔵で言ってることです。これがまさに商売の基本です。これ以外に何もない。だからビジネスはこういう基本のとおり動くということがものすごく大切です。
 私がよく言うのは、たんぽぽ経営を目指せ。タンポポの花を見習え。あんた達、パンダとかコアラになるな。パンダとかコアラになるとダメなんです。笹の葉とか、ひとつのものしか食っていかないと生きていけねえとかね。ダメなんだ、そんなのは、死んじゃうんだ。環境が崩れたら死んじゃうじゃないですか。ゴキブリみたいにどんな所でも這いまわって生き抜いていかなきゃいけないんです、こういう時代は。だから、たんぽぽ見てください。あの花はどんなになっても、春になったらでてきて、ちゃんと花を咲かせて石の間からでもどっからでも出てくる。そして一瞬にして花をパーッと散らせてですね、また屋根の上でもどこでも繁殖します。あの生命力、どんな環境になっても関係ないんです。
 不況だなんてね、何を嘆いてるんですか、「ピンチは最大のチャンスである」まさに苦しい時、今がチャンスなんです。なぜなら潮の目が変わるからです。今まで日本は同じだった。日本は40年間同じなんだから。明治維新から40年で日露戦争になって、日露戦争から40年で戦争が終わって、40年間好景気になって、これから40年間時代が変わろうとしてんです。昔と違うんです。ずーっと流れが来てんじゃないんです。潮の目なんです。
 特に若い人はチャンスです。あなたの出番ですよ。カーナビゲーションつけてますか。「カーナビなんかいらねえよ、ウチの村は。全然交通渋滞なんか起きねえ」全然わかってない、この人。もうカーナビなんか車の道案内じゃないんですから。あそこから家の中の灯りは点けられるわ、切符は買えるわ、全部変わってきちゃうんだもの。今、それをいじってないと、わからなくなるんです、全然。だから、何でも早くやる。こういうのを、「First eat slow」早いものが遅いものを食っていく時代。良いか悪いかじゃないんです。99%新しいものは絶対に失敗するんです。でも1%成功すれば99成功する道があるんです。だから、失敗なんか全然恐れることはない、悔やむこともない。商売なんて、成功だけを夢みてる奴はね、それはこの40年間の好景気の話です。商売というのはね、「人の行く裏に道あり、花の山」人と同じことをしてては絶対に失敗するんです。人がやるから俺がやるんじゃないんです。人の行く道にリスクを考えながらやるのがビジネスなんです。







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