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c 上五島
i 廃棄物中間処理業者・廃棄物収集運搬業者の循環資源取扱状況
・中間処理業者は、内陸に集積ヤードを確保している。
・貨物フェリー、定期フェリーの利用がほとんどであるが、一部の循環資源(使用済み自動車の一部、鉄屑の一部など)についてチャーター船を利用している。
・上五島で使用されている中間処理施設は、移動式のものが多く、循環資源排出現場で即中間処理をする場合が多い。
・規模があまり大きくない中間処理業者が多い。
 
ii 港湾の状況
・上五島の循環資源は、ほとんどが有川港、青方港から本土へ輸送されている。
・定期フェリーを利用する場合、コンテナなどの容器に入れて、一般貨物と同じ場所で荷捌き・積出ししている。雨が降った場合などはシートをかぶせ、流出しないように気を配っている。
 
印通寺港
 
有川港
 
iii 港湾における循環資源取扱方法の提案【有川港、青方港】
 上五島の中間処理業者はあまり規模が大きくないため、単独で港湾に集積することはないものと考えられる。
 チャーター船は年2〜3回の利用であり、既存岸壁を他の船舶と使用調整する。
[短期的対応]
 定期フェリー、貨物フェリーの利用にあたっては、現状の利用(パターンII)を踏襲する。この際、循環資源が、人や一般貨物と同じ場所で扱われることとなるため、荷姿の改善、循環資源のユニット化等や緩衝緑地の設置など景観・飛散等に対する配慮を行う。
[中期的対応]
 有川港、青方港両港ともフェリーふ頭の再開発を行っている。整備後においても循環資源の取り扱いがあることから、港湾内での仮置ヤードの確保を検討するとともに、短期的対応と同様に景観・飛散等に対する配慮を行う。(パターンII、III)
 
d 下五島
i 廃棄物中間処理業者・廃棄物収集運搬業者の循環資源取扱状況
・定期フェリー、貨物フェリー、貨物船の利用がほとんどであり、一部の循環資源(使用済み自動車の一部、鉄屑の一部など)についてチャーター船を利用している。
・チャーター船を使って使用済み自動車を輸送している業者は、仮置ヤードを1週間程度希望していたが、ヤードに余裕が無く1日分の許可しか出なかった。
・集積ヤードは、自社敷地内に整備している。
・対象離島の中では、最も島内リサイクルが盛んである。
・港湾に集積ヤードを整備したいと考えている業者がいる。
 
青方港
 
ii 港湾の状況
・下五島の循環資源は、ほとんど福江港から本土へ輸送されている。
・貨物船の帰り荷として取り扱われていることから、循環資源と一般貨物の分離は非現実的である。
・集積ヤードは内陸にあり、港湾までの陸上輸送コストが掛かっている状況で、取扱業者からは、港湾のなるべく近くに設置したいという要望が出ている。
・定期フェリーが利用する岸壁から、チャーター船を使って使用済み自動車を輸送している業者がある。そのため、仮置ヤードとして短時間の利用しか許可できない。
・現在整備中の港湾関連用地(売却用地)がある。
 
福江港
 
iii 港湾における循環資源取扱方法の提案【福江港】
◎定期航路による輸送
[短・中期的対応]
 大波止地区ではフェリーふ頭の再開発を行っているが、当該ふ頭内での十分な仮置ヤード確保は困難であることから、港内他地区でのヤード確保を検討し、陸上輸送距離の短縮を図る。(パターンIII)
◎チャーター船による輸送
[短・中期的対応]
 丸木、大津地区ふ頭内での仮置ヤードの確保及び背後に港湾関連用地(売却用地)も整備される大津地区での集積ヤードの可能性について検討する。(パターンI、II)
 ただし、丸木地区には定期フェリーの利用もあることから、循環資源を人や一般貨物と同じ場所で扱う場合が考えられる。この場合には、荷姿の改善、循環資源のユニット化等や緩衝緑地の設置など景観・飛散等に対する配慮を行う。
 なお、丸木地区の検討に際しては、ふ頭用地に隣接する魚市場(整備中)や住宅への十分な配慮が必要である。
[長期的対応]
 需要の増加等状況の変化に伴い既存施設での対応が困難になった場合は、機能の再配置等の中でパターンI、IIの可能性についても検討する。
 
(4)標準的な循環資源輸送用容器の導入
[目的]
 離島の循環資源輸送に適した輸送用容器を検討、実用化し、離島の循環資源輸送の効率化を図る。
 
[提言]
 標準的な循環資源輸送用容器の導入
 
[例]
(1)離島循環資源輸送用容器研究会の設置
(2)研究会の検討項目
a 標準・汎用的な廃棄物輸送用容器
・積み重ねられる、汎用的な容器
・一般貨物・廃棄物兼用型の容器
・廃棄物専用型の容器
・折り畳める容器
b 所有・利用形式の検討
(輸送容器は紛失する場合が多く、所有形式が問題となる。)
・排出者所有型
・輸送業者所有型
・リサイクル業者所有型
・関係者による共同所有型
c 事業化計画
d 行政・関連団体の支援
e トライアル実施案
 
東京都で使用されている廃棄物専用コンテナ
 
[実現上の課題]
・関係者(循環資源排出者、中間処理業者、収集運搬業者、輸送用容器製造業者)による研究会が必要。
・行政、関連団体の協力が必要。
 
(5)離島に適した循環資源の共同的な海上輸送モデルの提案
(1)セメント工場への直接海上輸送
[目的]
・複数の収集運搬業者が、それぞれ廃タイヤを運搬するのではなく、状況に応じた船舶をチャーターし、共同輸送することにより、輸送コスト削減を目指す。
 
[提言の骨子]
・離島から排出される循環資源のうち、廃タイヤをセメント工場でリサイクルする。
・輸送コストを下げる工夫として、各離島から共同してセメント工場へ海上輸送する。
 
 
九州の臨海部にあるセメント工場
企業名 所在地
新日鐵高炉セメント(株)戸畑工場 福岡県北九州市
三菱マテリアル(株)九州工場 福岡県京都郡苅田町
宇部興産(株)苅田工場 福岡県京都郡苅田町
苅田セメント(株)苅田工場 福岡県京都郡苅田町
太平洋セメント(株)津久見工場 大分県津久見市
太平洋セメント(株)佐伯工場 大分県佐伯市
参考:各社HP
 
[実現上の課題]
・共同輸送体制の構築が必要。
・廃タイヤをストックする場所が必要。
 
(2)製紙工場への直接海上輸送
[提言の骨子]
・古紙を製紙工場へ輸送する際、輸送コストを下げる工夫として、各離島から製紙工場まで直接海上輸送する。
 
 
[実現上の課題]
・離島から製紙工場まで直接海上輸送する場合、離島内で圧縮等の処理が必要である。
・そのためには、べーラー(古紙を圧縮し、立方体状の塊にする機械)等が必要となる。
 
(6)業界の協同化
[目的]
・離島における廃棄物等の処理・輸送に関わる事業者の行政との連携や信用力、技術力の向上。
 
九州近辺の臨海部にある主な古紙リサイクル工場
企業名 所在地
日本製紙(株)八代工場 熊本県 八代市
王子製紙(株)日南工場 宮崎県 日南市
大王製紙(株)三島工場 愛媛県 伊予三島市
参考:各社HP
 
[提言]
・離島における廃棄物の処理・輸送に関わる事業者の協同化(組合、協議会等の設立)
 
[例]
(1)長崎県離島リサイクル推進協議会(仮称)の設立
(1)設立目的
・離島における廃棄物等の処理・輸送に関わる事業者の取り組みの向上、離島の生活環境保全を目的とする。
(2)参加事業者
・離島の廃棄物等の処理・輸送事業者
・船社
・主要排出事業者
(3)支部
・各離島支部の設立
(4)主要な活動
・研修、講習
・行政との連絡調整
・共同処理、輸送等の調査研究等
(5)展望
・立場を同じくする全国の離島の事業者への呼びかけと国への働きかけ
(6)備考
・既存の協会、組合と別とするかその一部とするかは、関係者の協議・調整による
(2)効果
・同様な事情にある離島の関連事業者の技術力、経営力、人材等の向上
・共同処理、輸送等の実現に向けた取り組み
・行政との連携、支援
 
[実現上の課題]
・関係事業者、行政の協議・調整
 
(7)離島からの循環資源海上輸送への支援
[目的]
・離島からの廃棄物等の循環資源の輸送に関わる負担の軽減、輸送の円滑化
 
[提言]
・離島からの廃棄物等の循環資源輸送(海上輸送)への公的支援
 
[例]
(1)補助の対象
 循環資源のうち、島内での排出抑制、リサイクルをした上で島外への搬出が不可欠なもの。
・一般廃棄物
・廃家電
・使用済み自動車
(2)支援方法
・排出者への支援(自治体、販売業者)
・輸送業者への支援
(3)支援内容
・運賃補助
・仮置ヤード等の施設確保費用に対する補助
・容器確保費用に対する補助
 
[実現上の課題]
・必要な支援内容、方法の具体的検討
 
(8)関係機関、団体の分担
 各提案において、関係する機関、団体、事業者は以下のとおりである。
 
関係機関、団体等
提案事項 市町村 民間
事業者
海運
関連団体
1. 離島の港湾に適した循環資源輸送に関する提案  
2. 標準的な循環資源輸送用容器の導入  
3. 離島に適した循環資源の共同的な海上輸送モデルの提案  (1)セメント工場への直接海上輸送    
(2)製紙工場への直接海上輸送    
(3)廃家電・使用済み自動車を対象とした輸送コスト削減方法の検討    
4. 業界の協同化  
5. 離島からの循環資源海上輸送への支援
 
(9)今後、検討すべき事項
(1)エコタウンヘの直接海上輸送
(2)漂着物への対応
(3)不法投棄・退蔵
(4)FRP廃船の処理
(5)木くずのリサイクル
(6)一般廃棄物焼却灰のリサイクル
(7)斃死魚(へいしぎょ)の処理
(8)離島における動脈物流・静脈物流状況調査
(9)規制緩和
 







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