4. 離島廃棄物処理・輸送モデルの検討・提案
(1)離島における廃棄物等の処理・輸送モデルに関する考え方
(1)各離島、地域の実情に応じたリサイクルを行う
(2)可能な範囲で中間処理・リサイクルを行う
(3)港湾、海上輸送を積極的に活用する
(4)少量・混載・動脈兼用型の輸送を行う
(5)廃棄物等(循環資源)のリサイクル、輸送事業者を育成する
(6)行政・民間の連携を図る
(2)離島廃棄物処理・輸送モデルの検討・提案の概要
(3)離島の港湾に適した循環資源輸送に関する提案
(1)港湾における循環資源取り扱いに関する提案
〈目的〉
・輸送コスト負担力が小さく、島内での再資源化が困難な循環型資源を、効率的に島外へ搬出するため、離島港湾のあり方を提案する。
・島民や来島者に与える不快感の回避や景観等にも配慮しつつ、港湾及び島内の土地や施設の配置・利用の現状も勘案して、段階的な取り組みを行うよう提案する。
〈提言の骨子〉
・所要施設の確保
循環型資源の荷姿(コンテナ化等のユニット化の可否)や、輸送形態(貨物船、定期フェリー、貨物フェリー、チャーター船等)等を勘案して、所要の港湾施設や土地を確保する。
・輸送コストの低減
循環型資源は、輸送コスト負担力が小さいため、島内や港湾内での移動費用を極力低下させられるように努める。このため、岸壁、仮置ヤード、集積ヤードは、極力集約することが望ましいが、実現性を勘案し、表―3・1に4つのパターンを掲げ、各々の中で最善の方策を示す。
・島外輸送の方法
小口輸送やユニット化が可能な循環型資源(廃家電や空き容器等)は、既存航路等を活用し、本土から島内への動脈物流ルートの帰り荷とすることとする。
一方、小口化やユニット化が困難な資源や、大量一括輸送が有利な資源(使用済み自動車や金属くず等)は、チャーター船による輸送とする。
・周辺環境への配慮
来島者を迎える玄関口である港湾の景観面、周辺への異臭や飛散等の可能性を考えると、循環型資源は、必ずしも歓迎される貨物ではない。このため、輸送コストの上昇を招かないよう留意しながら、荷姿の改善、旅客ターミナル等からの分離や植樹等による遮蔽等に努める。
・段階的な取り組み
岸壁やヤードの増設には、時間や資金を要するため、既存施設の用途転換等で可能な短期的対応(2〜3年後)、港湾の施設整備状況を勘案した上での中期的対応(数年後)、将来的に期待される長期的対応(10年以上後)と段階的に検討する。
〈実現上の課題〉
各港湾において、より具体的で詳細な検討を行う必要がある。
港湾利用者、自治体、港湾管理者等、廃棄物等処理関係者間での調整を図る。
『離島廃棄物処理・輸送モデル』
港湾における循環資源取扱パターンの提案
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状況 |
イメージ図 |
パターンI |
・仮置ヤードと集積ヤードを積出し岸壁の周辺に集約して配置する。
・建設資材との供用も考えられる。 |
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パターンII |
・船舶への積込作業だけでも容易にするため、仮置ヤードは積出し岸壁の背後に確保する。集積ヤードは内陸で別途確保する。 |
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パターンIII |
・積出し岸壁背後の幅輳を避けるため、仮置ヤードを岸壁と離れた港湾内で確保する。集積ヤードは内陸で別途確保する。 |
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パターンIV |
・積出し岸壁背後の幅輳回避と港湾内の土地確保の困難性により仮置ヤード、集積ヤードはどちらも内陸で確保する。
・多くの港湾でみられる港湾の現状である。 |
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(2)対象離島の状況と港湾における循環資源取扱方法の提案
a 対馬
i 廃棄物中間処理業者・廃棄物収集運搬業者の循環資源取扱状況
・中間処理業者、収集運搬業者は、内陸に集積ヤードを整備している。
・ほとんどの循環資源は、厳原港から貨物船の帰り荷として本土へ輸送されている。
・厳原港の近くに集積ヤードの整備を希望している業者がある。
ii 港湾の状況
・対馬の循環資源は、ほとんどが厳原港から本土へ輸送されている。
・貨物船の帰り荷として取り扱われていることから、循環資源と一般貨物の分離は非現実的。
・集積ヤードは内陸にあり、港湾までの陸上輸送コストが掛かっている状況で、取扱業者からは、港湾のなるべく近くに設置したいという要望が出ている。
・中期的には、厳原地区で新たな港湾の整備が行われる。
iii 港湾における循環資源取扱方法の提案【厳原港】
[短期的対応]
港湾施設及び土地が不足する現状を鑑みると当面は現状体制(パターンIV)となるが、極力ふ頭内で仮置ヤードが確保できる「パターンII」になるよう配慮する。
[中、長期的対応]
厳原地区において、定期フェリー、貨物フェリーや建設資材取り扱いに対応した岸壁の着工が予定されるとともに、久田、厳原両地区を結ぶ臨港道路の整備が進められている。整備後の機能再配置等の中でパターンI、IIの可能性も検討する。
この際、機能配置に応じて、循環資源を人や一般貨物と同じ場所で扱う場合には、荷姿の改善、循環資源のユニット化等や緩衝緑地の設置など景観・飛散等に対しても配慮を行う。
b 壱岐
i 廃棄物中間処理業者・廃棄物収集運搬業者の循環資源取扱状況
・中間処理業者は、内陸の自社敷地内で集積ヤードを確保している。
・中間処理業者は、複数の港湾を利用しており、各港湾に仮置ヤードを確保したいと考えている。
・ほとんどが定期フェリー、貨物フェリーまたは貨物船で輸送しており、チャーター船での輸送はあまりない。
ii 港湾の状況
・壱岐の循環資源は、郷ノ浦港、印通寺港、芦辺漁港から本土へ輸送されている。
・印通寺港、芦辺漁港には、複数の業者が利用している仮置ヤードがある。
・郷ノ浦港については、荷捌き・積出しヤードの確保を要望している業者がいる。
iii 港湾における循環資源取扱方法の提案【郷ノ浦港、印通寺港】
[短期的対応]
郷ノ浦港には仮置ヤードが無いことから、鎌崎地区の建設資材ヤード等を中心に仮置ヤードの確保を検討し、陸上輸送距離の短縮を図る。(パターンIII)
厳原港
郷ノ浦港
[長期的対応]
壱岐の中間処理業者は、循環資源により利用する港湾が異なっている。そのため、集積ヤードは自社敷地内に設置するものとし、港湾での仮置ヤードの確保を検討する(パターンII)。
壱岐からの循環資源は、ほとんど定期フェリー、貨物船で輸送されることから、人や一般貨物と同じ場所で扱われることとなる。そこで、荷姿の改善、循環資源のユニット化等や緩衝緑地の設置など景観・飛散等に対する配慮を行う。
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