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3)カリキュラムの構成
 芦部小学校の「総合的な学習の時間」の年間計画に基づき、プログラムの検討を行って、次のようなカリキュラム構成を行った。
 
a. 本年度のプログラム改良検討の方針に基づくカリキュラムの構成
(1)子どもたちが興味を持って取組めるカリキュラムの構成
・子どもたちに興味を持たせるために現地調査を含むショートプログラム:
「水辺の学校:槇尾川」
「私たちのまちの空気を調べよう」
(2)1ヵ月程度のショートプログラム
・子どもたちが一テーマとして取組むことが可能な期間:1ヵ月を単位としたショートプログラムを開発する。
 
b. カリキュラム構成
 構成したカリキュラムは次のとおりである。
 
1. 課題発見プログラム
・「水辺の学校:槇尾川」
・「校区内の空気を調べよう」
2. 実践プログラム
・一人一人が取り組むテーマを設定。
 
 実践プログラムでは、子どもたちが取り組むテーマのうち、交通に関連して取り組むテーマを設定した子どもたちのために、次の教材を開発して使用していただくこととした。
・「ふだんの交通を工夫しよう」
・「公共交通を使ってみよう」
・「家庭の電気やガスの使い方を工夫しよう」
 なお、開発する教材の基本構成は、図II-1-6に示すように“学習”、“実践・体験”、“考える”というプロセスに基づくこととした。
 
図II-1-6 カリキュラムのプロセス
 
(3)教材の改良検討
 本年度のプログラム改良は検討方針に基づいて、緑ヶ丘小学校、芦部小学校と協働して教材改良を行った。
(1)子どもたち、保護者の負担の軽減
・学習のなかで行う計算の作業を大幅に削減した。
・家庭での作業を原則として廃止し、コミュニケーション程度とすることにした。
・保護者の負担としては、校外活動への協力依頼にとどめた。
(2)ワークシートの工夫
・副読本方式を取りやめて、ワークシートの積み重ねによってドキュメント化することにした。
・複雑なワークシートを避け、単純なワークシートに改良した。
 本年度に改良した教材は、表II-1-3に示すとおりである。
 
表II-1-3 改良した教材一覧
  テーマ
課題発見プログラム 校区内の空気を調べよう
私たちのまちはどのように変わってきたのだろう
地球温暖化を知っていますか
実践プログラム ふだんの交通を工夫しよう
かしこいクルマの使い方
家庭の電気・ガスの使い方を工夫しよう
電車・バスの使ってみよう
 
(4)プログラム実施による検証
1)授業実施概要
(1)授業スケジュール
 
表II-1-4 授業スケジュール
  校時 授業内容 日付 曜日 備考
課題発見プログラム 1 空気の汚れとは何でしょう 10月6日  
私たちのまちの空気はきれいかどうか予測しましょう    
2,3 空気を測る場所を探しに行きましょう 10月9日 予測場所を見に行く
3' 予測地点の空気について感じたことを考えましょう 10月16日 授業参観注1)
4 空気を測りましょう注2) 10月20日 下校時に調査器具を設置する
5 調査結果を取りまとめて結果を考察しましょう 10月27日  
6 空気をきれいにするために自分たちで何ができるかを考えましょう 10月29日  
実践プログラム 注3) 自分で決めたテーマを実践しましょう 1月    
環境問題について, 自分たちで調べたことを整理し、発表しましょう 2月9日 授業参観
(保護者に伝えよう)
自分たちで調べたことを下級生に伝えよう 3月   発表会
注1)3': 予測した地点を見に行ったときの感想を授業参観で発表する場を設けた。
注2)調査器具の設置については、クラスによって設置日が異なる
5年2,3組:10月20日(月)
5年1組:10月22日(水)
注3)2月期後半と3月期前半は他の行事があるため、実践プログラムは個人の取り組みとする
 
 実践プログラムについては、子どもたち一人一人が取り組みたいテーマを決めて様々な実践を行い、取組んだテーマをグループで議論して整理し、授業参観(2/9)、報告会(3月)で発表を行った。
 子どもたちが取組んだ実践項目は表II-1-5に示す。
 
表II-1-5 子どもたち一人一人が取組んだ実践項目
分類 実践項目 取り組んだ人数
1組 2組
1. 水 水の話・水質汚染と対応
海洋汚染問題と対応
5
2
5
2. 空気 地球温暖化対策とCO2の削減
オゾン, フロンの影響
酸性雨の影響と対応
空気の現状と問題
公害の現状と対応
5
8
5
2
 
5
3
2
3. ごみ 廃棄物の現状と対策・リサイクル
有害廃棄物・ダイオキシンの現状と対策

1
6
4. 地球 熱帯雨林の減少と対応
砂漠化の現状と対策
野生動物・絶滅動物の現状と対策

5
7
5
 
7
 
(2)課題発見の授業内容
テーマ 校区内の空気を調べよう
ねらい 空気が汚れていると, 私たちの生活に影響を与えることや体にも悪いと気づかせ, 空気をきれいにしないといけないと認識させる. 実際に校区内の空気を測り, 何が原因で空気が汚れているかを考えさせる. どうすれば空気がきれいになるか考えさせる.
校時 授業内容 備考
学習しましょう 1 ■空気の汚れとは何でしょう.
大阪府で空気が汚れている場所を調べ, 空気の汚れがもたらすものは何か学習させる.
WS(1)「空気の汚れとは何でしょう」
TXT(1)「NOxってなに?」
■私たちのまちの空気はきれいかどうか予測しましょう.
・子どもたちに空気がきれいな場所, 汚れている場所はどこか予測させる.
・子どもたちが予測した場所の空気が実際に測った結果と比較させる.
WS(2)-1「私たちのまちの空気はきれいかどうか予測しましょう」
WS(2)-2「予測する場所を記入する地図」
2, 3 ■空気を測る場所を探しに行きましょう.
・自分たちで予測した空気がきれいな場所, 汚れている場所のどこに調査器具を設置するか, 実際に現地に行き, 設置場所を決めさせる.
注). 調査器具を設置する場所は, 公共の場所または私有地のため, 設置する際には, 許可を得る必要がある.
WS(2)-1「私たちのまちの空気はきれいかどうか予測しましょう」
WS(2)-2「予測する場所を記入する地図」

※先生以外の引率(約10名)
調査しましょう 4 ■空気を測りましょう.
・各クラスで, 空気を測る場所を話し合い, 測る場所を決めさせる.
・調査器具の使い方を説明する.
(子どもたちの登下校時に調査器具を設置させる)
WS(2)-2「予測する場所を記入する地図」
WS(3)「空気を測りましょう」

調査器具:大気汚染Nox調査キット
5 ■調査結果を取りまとめて結果を考察しましょう.
(子どもたちの登下校時に調査器具を回収させる)

・自分たちが設置した場所の空気はきれいか確認させる.
・自分たちが調査した結果を発表し, 空気の汚れている状況を把握させる.
WS(4)「空気を測った結果を確認しましょう」
調査器具:大気汚染Nox調査キット
WS(5)校区地図
調査した結果をみて考えましょう 6 ■何が原因で空気が汚れているかを考えましょう.
・何が原因で空気を汚しているかを発見させる.
■空気をきれいにするために, 自分たちで何ができるかを考えましょう.
・空気をきれいにするためには, 自分たちでどうすれば良いか考えさせる.
WS(5)校区地図

WS(6)「自分たちで何ができるかを考えましょう」
※WS: ワークシート、TXT: テキスト







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