東京では、9月6日に東京都児童相談センター養育家庭支援センター主催で、高校生交流会が開かれました。
参加者よりの感想です
高校生交流会に出席して
高校生交流会のため、中野まで行って来ました。初めての試みということでどのような会なのかなどの詳しいことは一切分かりませんでした。会には5人の高校生と、社会人となり仕事をしている女性2人に里親さんが2人、そして企画者の塚原さんと宮口さんの11名が参加しました。
予定の1時半より少し遅れて交流会は始まりました。最初は自己紹介から始まりましたがなにしろ初めてのことなので、決まった形式や質問はありません。ですからまずは雑談という形でスタートしました。その時に塚原さんから私たちに質問されたことは「この会に自分の意思で来ようと思った人はいますか?」というものでしたが、誰も手を上げませんでした。私も含めみんなは、親に言われて仕方なく・・・という感じでした。でも、そのことは塚原さんたちも想像していたらしく、そんな中で5人も来てくれて良かったとおっしゃってました。私としては5人は「少なっ!」というのが正直なところですが・・・。
人数が少ないのと初対面なので始めの方は静かに進んでいきましたが、先輩の仕事の話になると、その先輩は話が上手なのか絶えず笑いが起こってだんだんと会が盛り上がってきました。内容は書くと長くなるので省略しますが、その職業に就いたきっかけや仕事をしていての失敗談、一人暮らしの楽しさと辛さのことやストレス解消法などなど。そして話を聞いて知ったことですが、自立した後も何らかの形で、例えばお風呂に入りに行ったりとか、食料調達のためにちょくちょく実家に戻っているとのことでした。
私たちは里子はある一定の年齢になると家を出なくてはなりませんが、普通の家庭のように戻ってこれる場所があるということは精神的にも安心感があるような気がすると思います。
そんな事を色々話すうちにあっという間に時間は過ぎ、気が付くともう4時半になっていたので、そろそろ解散という雰囲気になりました。そこで一人ずつ感想を言いましたが、みんな初めは面倒くさかったけど、来てみて良かったと言っていました。そして帰る用意をしていたら先輩の一人からちょっと待っての合図が出たのでなんだろうと思ったら、こういう交流会をこれからもしていければと思うので、全国里子会を作ってまた集まりませんか、とのことでした。詳しい日時は決まってないので、また後日連絡をするということになり、その日は解散しました。
私の感想は「おもしろかったな」です。思えば私たちと同世代の里子が集まる機会はそう多くありません。そういう意味ではこの会は普段顔を合わせない人同士が集まり、顔見知りになれたということだけでも成功だったと言えると思います。第2回、3回と続きていけばいいなと思いました。(Y)
高校生交流会に行って感じたことは、自分の場合は、就職するより進学するほうが良いという事。実際に今、社会人になっている元里子の先輩の話を聞いてみたが、一人暮らしをするのは、電気代や水道代や家賃などを払わなければいけないし、それもそれなりに大変だと言っていた。私はその言葉を聞いて、それまで上の学校には行かないと親に言っていたが、専門学校に行こうと思い始めて、今願書を書いています。いい時期に交流会を開いてくれて良かったと思います。もう少し遅かったら推薦の願書は出せなかったと思います。(S)
[東京都養育家庭連絡会「こんにちは通信」より転載]
高2 T.M.
将来についていろいろ不安を持ち、高校を卒業してからの進路もはっきり決定しないまま、高校生活を過ごしていました。
しかし似たような境遇を持った先輩の話を聞かせていただいて、少しなりとも将来に具体性を持てました。先輩たちは高卒で就職するときの社会の目、里子だということに対しての冷たい目があるといっていました。それでも下を向いて生きている様子は微塵も感じられませんでした。明るく楽しそうに生きている先輩たちの姿には俺は少なからず希望を見いだしました。
これからも、このような境遇の人々で交流を持って先輩たちの話を聞き、高校生同士で話をする機会を増やした方がよいと思います。
東京高校生交流会にOBとして参加して
阿部京美
私自身は専門学校を中退し、現在はお客様センターのオペレーターとして働いています。
高校生交流会で自立について話しました。全員、里親に言われたので取り敢えず来たとの事でした。出席した皆の状況を聞いた時、将来に不安を感じていると思いました。中でも自立の為に進学せず職業を選んだと言われ戸惑いました。高校卒業したら就職、と思っている里子が全国に沢山いるのでは?と感じました。進路が迫って来た全国の里子たちにも言いたい。「高校卒業=就職も決して悪くない。しかし、選択肢が無いと思い込まないで欲しい。進学を就職へ無理に変える必要はないし諦めないでも方法は沢山あるので、あれこれと悩んで進路を決定していけばいいと思う」と。
就職も進学も大変なことに変わりないが、社会に出るのは大学等出てからでも遅くない。社会に出てから夜間生という手もあるが、まだまだ学生で学べる事があると考えているなら迷わず進学するべきだと思う。交流会に参加した一人が、今回の話を聞いて就職から進学へ進路を変更したと聞き、正直に嬉しかった。18歳で社会には出るのは早すぎるのでないかと感じた一日でした。
荒牧めぐみ
私の性格は明るくて目立ちたがり屋、おしゃべり大好きで気が強い。そんな性格の自分が里子で、それをコンプレックスだなんて一度も思ったこともないし、困ったこともない。
そんな私に児童相談センターの先生がたが声をかけて下さいました。とってもうれしかったです。心から“話したい”って思いました。だから即OK。後輩に何を話そうかと考えたり、ルンルンでした。堅苦しいのは大嫌い。だから緊張なんてしなかったです。
社会人で一人暮らしの私は生活のこと、仕事のこと、先生を通してだったけど話しました。こんな私だけど後輩たちのためになればと思い話しました。実際心の中では“私は19才で、まだまだガキなのに偉そうなことを言うなあ”って自分をしかっていました。(笑)
高校生のみんなはでっかい夢を持っていたんです。“しっかりしているな”と心から思いました。うらやましくもありました。夢を持っているみんなの方が全然立派だなって。私は未だに夢がないんです。行き当たりばったり。だから仕事しているんですけどね。
高校卒業してこの先自分はどうなっていくのか、めちゃめちゃ恐いんですよね。里親との関係もなくなるし、周りと比べたり、焦っちゃったりします。でも何とかなるっていうことを伝えました。それが伝えたかったことかどうかはわかりませんが。(笑)
里子ってハンディはいいことなんですよね。私もそうでしたが、センターの先生が背中を押してくれたんです。そういう人たちがいたから、今こうして頑張っているんです。普通の家庭だったら無いんじゃないですか?この場を借りて感謝いたします。センターの先生がた、みなさん、ありがとうございました。
またこのような交流会があれば、参加していきたいです。
自分との出合い
岩渕慎次
最近、朝が寒く感じられるようになり、なかなか布団から抜け出すのが難しい季節になりました。でも、こういうピリッとした朝というのは悪くないし、逆に気持ちが引き締まります。冷たい風が冬を運んで来るこの時期に私は海へとでかけました。「11月という肌寒い季節になぜ海なんかに!?」と思う方がいるでしょうが、私の趣味で5年程前からサーフィンをやっています。お世辞でもうまいとは言えませんが、良い波にのって良いプレイが出来れば、その後何日間もハッピーでいられます。
自然を相手にするスポーツと言うのは、自分が抱える悩みが、その大きな力の前ではちっぽけな問題に過ぎない事だと考えさせられます。私が抱える悩みは“生みの親がいないこと”です。親がいない事は確かに子どもにとっては辛いことです。私も幼い頃、この問題に悩まされていました。
「違い」というのは、良い意味と悪い意味があります。例えば、頭が良い、背が高い、スポーツ万能といった事は良い意味での違いです。逆に頭が悪い、背が低い、運動音痴は悪い違いといえるでしょう。私の場合は家庭環境の違いという悩みでした。幼い私は、他人とは違う自分の家庭環境を「悪い違い」と思い込んでいました。でもそれは仕方のない事だったと思います。子どもは人と違う事を、もっとも恐れる年頃ではないでしょうか?
違うが生む恐怖が起こすもっとも悪い例が「イジメ」です。イジメの対象になるのは大抵の場合が1人です。その1人に対してイジメる側は多数です。この時、イジメられる側は勿論のこと、当のイジメてる側の心の中には恐怖が生まれているのです。もし自分がイジメる側に入らなければ、逆に自分がイジメられてしまうのではないかと恐れているのです。
大人の社会でも、大きな会社に入る事で安心を得られているように、子どもの社会ではまわりと一緒でいられる事で安心を得られるのではないかと、私は考えています。そんな子どもの社会で“親がいない事”はとても大きな違いです。昔を振り返って考えてみると、幼い私にとって親がいない事は悲しいことでもあり、怖いことでもあったのです。
でも今は大人になり、こう考えています。里子として生まれてきた事は運命だったのでしょう。だけど私が歩んできた道は、単に「運命」ということではなく、「運命的な出会い」だったと思っています。里親さんと出会えたこと、親友に出会えたこと、そして今の自分に出会えたこと、すべてが運命的な出会いです。
私は今の自分が好きだし、昔から付き合っている親友のことも好きです。そして何よりも私を育ててくれた里親は今でも私の親であり、心の支えでもあり、最も愛すべき親です。
海はいつも私の考えを正しい道へと導いてくれます。答えが出ない問題や悩みもあります。そんな時は貴方も自然の中に身をゆだねてみてはいかがでしょうか?土や水・草木がかなでる自然の音、太陽の光、空を流れる雲。挙げればきりがない程の自然に囲まれていると、そこに永遠という瞬間を感じることができます。地球という星が生まれてから、およそ45.5億年といわれています。私は今24歳だから地球からみれば「0.00000024歳」!!まだ私は生まれたばかり!これから先、もっと辛いことがあるかもしれません。でも私は生きているのだから、いつでも笑っていられるように頑張ります。
今、私は心からこう言えると思います。
〜4人の親へ〜
生んでくれてありがとう
育ててくれてありがとう
編集後記
▲ 夏のキャンプで自信のついた仲間が生まれています。がんばってキャンプをやった甲斐がありました。
▲ 今年の夏には、東京と近畿地区で里子の会が開かれました。本号はその報告・感想が中心になっています。いくら全国里子会といっても、各地域で里子たちがつながってこそ、会の活動が充実したものとなるからです。全国の地区に拡がって行くことを願っています。
▲ 仲間同士が集まると、日頃の思いを話し合って、とても楽しそう!
▲ 5年前からオーストラリア・アメリカ・オランダと海外研修に行った先輩たちが核となっています。
▲ また、この2地区を中心に、来年5月アメリカ研修に行く里子・OBを里親子支援の団体アン基金プロジェクトが募集しています。会のリーダーとなる若者が常に生まれてくることが大切です。熱意のある若者の応募を期待しています。
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