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里子権利宣言 解説
全国里親会 渥美節夫
 
 1973年4月28日、フィラデルフィア州議会議事堂において開催された全米里親大会の会議の中で、「里子のための国民運動委員会」の提案する里子権利宣言」が上程されました。
 全米里親会が発足して2年目の事業でありました。
 この国民運動委員会は1973年春・里子と里親のための普及活動、里親制度の改善、その財政的措置の改善等を求め、州や地方レベルにおいて、一層のPR活動を行うことを目標に発足したものであります。この組織は、里親関係の代表者、アメリカ合衆国政府保健・教育・福祉省およびアメリカ児童福祉連盟で構成されていました。
 
 
(1973年4月28日土曜日、アメリカ合衆国フィラデルフィア州の議事堂において批准)
 
 この宣言は、前文及び10条よりなっている。
 
 ほかの児童のため以上に、里子のよい生活のために、社会は、両親と共に責任を負う。里子の福祉を保証するよう行動する責任を負う。
 全ての里子は、すべての児童に本来属している権利を与えられる。さらに、一時的に、永続的に両親やほかの家族から別れているという理由で、里子は特別の保護、資源と養育を要求することができる。
 
 すべての里子は本来次の権利を有する。
 
第1条 里子は自分の家庭において、その家庭が彼の世話をするためにサービスや援助を受けている家庭であっても、あるいは養子縁組家庭であっても、継続的に世話をする里親家庭であっても、それらの家庭において養育される権利をもつ。
 
第2条 里子は、その個々の要請に応じて選ばれた里親によって、また、里子の能力を発揮させるよう特別な教育を含み、サービスや援助を与えられた里親によって、養育される権利をもつ。
 
第3条 里子は、彼の実親が世話をすることができない理由を理解し納得した上で、継続的に援助を受けると共に、自分の価値に十分自信を持って養育される権利をもつ。
 
第4条 里子は、一個のかけがえのない人間−自分自身と他人との信頼関係の下で成長する児童として、常に愛され尊重される権利をもつ。
 
第5条 里子は、理解と尊重と友情をもって受け入れる人々に囲まれ、自由と尊厳の下で成長する権利をもつ。
 
第6条 里子は、その過去の経歴から生じた、情緒的、身体的、知的、社会的、精神的な成長にとっての障害やゆがみを克服して、養育される権利をもつ。
 
第7条 里子は有為で溝足する生活を営むべく、教育、訓練、職業指導を受ける権利をもつ。
 
第8条 里子は、確固とした役割を担う里親や大人たちの行動を通じ、市民や親となるための準備をする権利をもつ。
 
第9条 里子は、彼のもっとも重要な利益が守られるよう、行政的、司法的な手続き上での公正な審査が受けられる機会と、行政処分に関する裁判所の再審査において、弁護士に代理を行わせる権利をもつ。
 
第10条 里子は、彼の一生に影響を与える大切な決定については、実親や里子自身も関与しながら、質の高い児童福祉サービスを受ける権利を持つ。
 
認証者
ブルース・H・マロット 「里子のための国民運動委員会」議長
ジェイムズ・M・コックス 「里子のための国民運動委員会」委員
フレドリック・C・グリーン M・D アメリカ合衆国政府児童局次長
(英文より 渥美節夫訳)
 
編集後記
 
▲ メンバー念願のキャンプがとうとう実現しました。内容は全て自分たちで決定してきました。参加した一人一人の心の中に、刻み込まれた思い出となったことでしょう。ひとりひとりの声が結集した、この素晴らしい特集号が日本の全ての里子たちに届きますように!
▲ 米国の里子権利宣言を読むと、大人たちがここまで子どもたちのことを考えて行動しているのか、と目を見はる思いです。社会的養護の必要な子どもたちに家庭を用意することを、里親はもちろん、政府自治体、福祉関係者が一体となって、日本でも宣言できる日が一日でも近く実現されるよう、まずは子どもたちの声に耳をかたむけたいものです。子どもたちよ、発信せよ!
▲ 東京では、児童相談センターの主導で、初めて里子高校生交流会が開かれ、里子OBの自立にむけての体験を聞きました。各県、地域では、どのようでしょうか。

 
里子会の足跡
 
平成11年7月17日〜26日
第11回国際里親養育機構青少年里子会議参加(オーストラリア、メルボルン市)
平成11年12月24日(金)
第11回国際会議参加報告会(東京にて)
平成12年8月8日〜16日
ミレニアムカンファレンス2000全米里子会議参加(アメリカ、ミルウォキー)
平成12年12月22目(木)
ミレニアムカンファレンス2000全米里子会議参加報告及び里子会作りの準備打ち合わせ(東京)
平成13年4月28日(土)
第1回全国里子会議(東京)
平成13年7月15日〜20日
第12回国際里親養育機構青少年里子会議参加(オランダ、ベルデホーエン市)
平成13年9月23日(日)
第2回全国里子会議(北海道)
平成13年12月22日(土)
第12回国際会議参加報告会(東京)
平成14年4月27日(土)
全国里子会役員会(東京)
平成14年10月12日(土)
第3回全国里子会議(埼玉)
平成14年12月15日(日)
第1回全国里子通信編集会議(東京)
平成15年2月25日(火)
全国里子通信創刊号
 
全国里子会会則
 
(目的)
第1条 この会は、現に養育家庭にある者(里子)およびかつて養育家庭にあった者(元里子)が相互に交流し協力することによって、良き社会人になることを目的とする。
(資格)
第2条 この会の会員は、第1条の者のうち原則として15歳以上25歳未満の者とする。
(事業)
第3条 この会は、その目的を達成するため、次の事業を行う、
(1)里子相互間での親睦と促進および養育家庭に関する情報の収集と交換
(2)里親事業に関する知識、情報の収集と交換
(3)里親の行う各種事業に対する参加と協力
(4)国内外の里親制度についての研究と広報
(5)この他、この会の目的を達成するために必要な事業
第4条 この会に次の役員を置く。
理事長 1名
副理事長 若干名
理事 若干名
理事長はこの会を総括し代表する。
役員は会員の互選とする。
役員の留任を妨げない。
第5条 この会の運営を期するため、理事長は定時総会および臨時総会を招集する。理事長は必要に応じて理事会を招集する。理事長は総会および理事会の議長となる。
第6条 この会に必要な経費は、別に定める会費および寄付金により、まかなう。
第7条 この他、この会に必要な事項は別に定める。
(附則) この会則は平成13年4月28日から施行する。







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