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I NPOと教員で創る総合的な学習事業を終えて
子どもたちにとって望ましい「総合的な学習の時間」をつくるには、教員と地域の人々が積極的に協力しながら展開していく必要があると私たちは考えています。
そこで、総合的な学習の時間の意義や課題を率直に話し合い、協働するきっかけづくりをスタートさせました。関心のあるNPO関係者と教員で緩やかなネットワーク(研究会)を組み、札幌市内の小中高校やNPO団体にアンケートを送って意識調査をし、話し合いを重ねました。
この活動は、新聞報道で取り上げられたこともあって、最終回には、札幌市東区の職員や、各学校で模擬裁判を実施している札幌弁護士会の方の参加もありました。東区とは、2003年1月に、住民と教員が、総合的な学習について考えるワークショップを開くことも決まりました。回を重ねるごとに輪が広がっていくのを感じています。
教員へのアンケート調査で戻ってきた回答の一つに、「担当者がひたすら模索しているような状態が続いているので、システム的なものが出来上がると参考になるし、活動の幅が広がると思います。こういう活動が広がってくれると、とてもありがたいです」というのがあり、まさに私たちが考えていることと同じだと感じました。「事業」としては、計画どおり一度終えますが、今後も、住民やNPOと教員が協働できるシステム作りに向けて、現場の声を聞きながら、ニーズにあった形を模索し続けます。
地域の様々な立場の人が、総合的な学習を協力して作り上げる小さな成功体験を積み重ねることで、子どもや教員、地域住民が、ともに面白みを感じられる授業が増えることを心より願っています。
2002年12月17日
NPO法人ボラナビ倶楽部 スタッフ一同
北海学園大学法学部政治学科助教授
NPO法人ボラナビ倶楽部総合的な学習事業アドバイザー
樽見弘紀
小中学校の教育現場では、「完全週休二日制」と並んで、今春スタートした「総合的な時間」への対応の遅れが憂慮されている。先日、ボランティア情報のフリーペーパーを発行しているNPO法人ボラナビ倶楽部の主催で、札幌市内の小中高校の先生方と道内の主だったNPOの関係者とが一堂に会し、この「総合的―」を考えるワークショップが開かれた。筆者もオブザーバーとしてこの会に参加する機会を得たのであるが、たとえば授業やゼミに市民グループの参加を促すときなど、大学の教員にとっても示唆の多いワークショップであった。
「総合的―」をめぐる頭痛の種は、誰が、何を、どう教えればいいのか皆目見当がつかない先生方と、誰に、何と言われようと意欲満々の先生方との間にかなりの温度差が生じていること、と要約可能であろう。そんななか、俄然脚光を浴びているのが、「出前講座の供給源」としてのNPOの存在である。
1998年12月にNPO法(正確には、特定非営利活動促進法)が施行されて以降、いわゆるMPO法人の数はうなぎのぼりである。僅か四年足らずの間に全国で7000団体、道内でも、三百有余の市民団体が同法人格を取得している。いま、「総合的―」の救世主として、このNPO法人を含めた広い意味での「非営利なる市民団体」に熱い視線が注がれている理由は色々あると思われるが、新しい公共の担い手として期待されるNPOの活動の中には、理屈抜きで面白い、子どもたちが夢中になりそうな独創的かつ具体的なテーマが少なくないこととも無関係ではないだろう。
夢中になるのは何よりも子どもたちばかりではない。僕自身も過去に何度か、「飛んでけ!車いすの会」や、「葬送を考える市民の会」といったユニークな活動を展開している道内のNPOの方々を教室にお招きしたことがあるが、学生たちのいつにない目の輝きには、羨望を通り越して嫉妬さえ覚えたほどである。
そんな魅力的な人たちなのに、ひとたび教室に来ていただこうとすると、教員の側にもNPOの側にも戸惑いがあるのだという。たとえば、「人気のある団体に講演依頼が集中し過ぎる」ことが問題になる。具体的には、北海道盲導犬協会といった限られた団体に、小学校や中学校からの依頼が殺到し、同協会では電話の応対だけで日常業務に差し障りが出るほどだという。もちろん、盲導犬の育成という公益性の高い活動を学校側が一様に評価していることの証左には違いない。しかし、うがった見方をするならば、盲導犬協会の他にこれといった当てがない、つまり教員の勉強不足、情報不足ということも多分にあるだろう。
また、一部の先生は、市民団体を教室に呼び込むときは「この団体を呼んで大丈夫か」、もっと有り体にいえば「あやしげな団体だったらどうしよう」という心配が常につきまとう、と本音を語った。仮に担任自身が決断しても、学生主任、教頭、校長と稟議が上がっていくに従って、つかさつかさで物言いが入る、結果、実現には至らない、ということも多いのだという。新聞紙面等では一見市民権を得たかのNPOも、大部分の市民にとっては未だ「未確認結社」の域にとどまっているということかもしれない。
一方、呼ばれる側のNPOにも悩みは多い。なかでも「謝礼金」の問題はなかなか難しい。過去に学校に呼ばれたことのある市民団体の多くが図書券や交通費実費といった「控えめな報酬」や、あるいはまったくの無報酬で、少なからず困惑を覚えた経験を持つと述べている。事前の打ち合わせが十分でない「あうんの講演依頼」は何もNPOに限ったことではない気もするが、それでも破格に安い講師報酬は「NPOは一切の報酬を求めない」、あるいは「NPOにお願いすれば安上がり」といった間違った理解や謂われない期待と大いに関係がありそうだ。
なるほど、NPO=非営利組織の大きな特徴のひとつは、文字通り、その非営利性である。しかし、「非営利性」とは儲けない、儲けてはいけない、ということではない。非営利性の本質は「非分配原則」であって、余剰を組織の構成員に分配しない、つまりはメンバー間で儲けを山分けしないということである。そうして、何とかひねり出した利益は組織の持続性確保に充てたり、ミッションの達成に向けた次なる活動に再配分されるのである。独自の価値観や社会観で日々地道な実践を重ねるNPOの「体験」は、語るに足りる教材の宝庫である。その「教材」を拝借するとき我々は、出来得る限り相応の対価を払うことを励行すべきであると思う。なぜなら、彼らにとってそれが、寄付金や補助金などと並ぶ大切な活動資金ともなり得るからだ。
しかしながら、時としてNPOは控えめな報酬や無報酬であっても喜んで教室に出向くことがある。自分たちの日頃の活動を理解して貰うにまたとないチャンスだと思うからであり、ましてや相手がまだ脳ミソが軟らかい若い人々となればアウトリーチ(=市民と積極的に接触することで将来に向けた種蒔きをすること)の効果は絶大と考えるからである。教室に出向く手間とアウトリーチとがトレードオフの関係にあるならば、彼らは無償でも喜んで「出前」に応じることになるが、そうであっても(否、そうであればこそ)、僕たちはNPOをお気軽な「事例集」と考えてはならない。肝心なのは、彼らを教室に呼び入れる前に学生・教員ともども十分に準備し、また、呼んでから後も、折に触れ彼らの活動を見守り、議論することだろう。そのことで単にNPOを「利用」するより何倍もの教育上の収穫を刈り取ることが出来るだろうし、それが市民のボランタリーな教室参加に対する最低限のエチケット、あるいは敬意だと思うのである。
【出席者】 (NPO団体側)
ネットワークCAPさっぽろ(小野寺、今川)
循環(くるくる)ネットワーク北海道(岡崎、大沼)
チェルノブイリのかけはし(佐藤)
北海道技術士センター(池田、大谷諭、五十嵐、大谷高志、油津)
北海道グリーンファンド(杉山)
北海道自然体験学校NEOS(ねおす)(高木)
(教員側)
かかわり教室(民間塾) 二峰先生
札幌開成小学校 木下先生
札幌稲西高等学校 新井田先生
(アドバイザー) 北海学園大法学部助教授 樽見
ボラナビ倶楽部事務局(森田、松本、村上)
【主な内容】
・自己紹介
・学校の現状について聞く
・アンケートについて(内容、どこに出すかなどについて)
【配布資料】
・この会の主旨説明書、学校へ出すアンケート(案)
・変わる学校(北海道新聞特集記事)コピー、
☆総合学習に対しての学校の現状
●学校側にゆだねられているため、進んでいる所とできていない所がある。
●どうしたらいいのかわからない。
●英語を入れたらいいのかどうかで悩んでいる。また、外国人講師が欲しい。
●地域の人材をなかなかうまく活用できない。
●盲導犬協会などに問合わせが殺到したため、教育委員会から学校に指導がきた。
●交渉に時間がかかるので面倒だ。
●謝礼などが図書券1枚程度しか出せないので、教員が自腹を切らなくてはならない。
●先生方はわかってない。頭の固い人もいて、学校区を超えるだけで反対することもある。(組合の圧力)
●何を取り入れたらいいのかわからない。
☆参加団体より
●団体で学校に入るのは難しかったです。個人的なネットワークで入るのが入りやすいと思います。
☆アンケート作成についての意見
・たたき台を作るべきでは?
・答えの欄に氏名欄があるときついか?
・学校名と氏名のみでいいか?
・案内文に空欄でもかまわないとうたえばいいのでは?
・配布対象は?
・何件出して、回収が何件かというのもポイントでは?
・名称を「NPOと教員による総合学習研究会」と名前を付けて出してはどうか?
☆ アンケートを出す方法
・2種類のアンケート(ゲリラ的なものとオフィシャルなもの)
・学校単位で1枚、研究部の部長(札教研 事務局評議員様宛て)に出すといい。
・オフィシャル(きちんとしたもの)を流すべきだと思います。
・夏の活動に先生方が集まるので、そこで配るのはどうでしょうか。
☆ 団体の方々は学校にきてもらえるのか
・すぐに入っていきたいです。
・ネットワークを作って、活動できる場ができたらいいと思います。
・接点を作っていくのはエネルギーが要る。(広報して30人集めるのは大変だが、学校に行けばクラスに30人集まっています)
・子どもに伝えたいけど、コーディネーター的な役割があるといいです。
フリートークタイム
3〜4年前はマニュアル本なんかなかった。
今はいろいろあるけど、結局は99%学校の先生が書いている。
民間の人が書いたものがない。「NPO」のガイドブックなどを作ってどんな活動をしているのか知らせればいいと思う。
NPOができるものの情報を発信しないと・・・。
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