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刊行によせて
 当財団では、我が国の造船関係事業の振興に資するために、競艇交付金による日本財団の助成金を受けて、「造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業」を実施しております。その一環としてジェトロ船舶関係海外事務所を拠点として海外の海事関係の情報収集を実施し、収集した情報の有効活用を図るため各種調査報告書を作成しております。
 
 本書は、社団法人日本中小型造船工業会及び日本貿易振興機構が共同で運営しているジェトロ・シンガポール・センター船舶部のご協力を得て実施した「東南アジアにおける内航船の安全・環境規制に関する調査」をとりまとめたものです。
 関係各位に有効にご活用いただければ幸いです。
 
2004年3月
財団法人シップ・アンド・オーシャン財団
 
はじめに
 東南アジア諸国は急激な経済成長を遂げつつある一方、インフラの整備がこの経済発展に追随できない状況にある。特に東南アジアには、インドネシア、フィリピン等数多くの島からなる島嶼国家のために物流や生活の足として海上交通が不可欠な国や、ベトナム、タイ等長い海岸線を持つため海上交通網の整備が今後の経済発展に大きく寄与すると思われる国が多く存在している。
 
 ジェトロ・シンガポール・センター船舶部は、東南アジア諸国の造船業を中心とした海運、港湾等の海事産業の情報収集に努めているところであるが、このように潜在的に大きな新規造船需要を有する東南アジア諸国について、海事情報をより正確に把握・予測し、とりわけ船舶に関する経済協力案件の形成に必要な情報の収集・解析を行うためには、これまでの造船業を中心とした海運、港湾等の海事産業の情報収集に加え、各国の船舶の安全・環境分野における動向、特に各国が独自に規制を行っている内航船に関する状況を把握することが極めて重要である。
 
 このような背景のもと、ジェトロ・シンガポール・センター船舶部は、2003年11月に東南アジア主要海運国の船舶安全・環境規制を担当する専門家が参加する会議をシンガポールで開催する等、船舶安全・環境規制関連の情報収集と継続的な情報交換体制の構築を図ったところである。
 
 本報告書は、東南アジアにおける船舶安全・環境規制に関し、各国が独自の規制を行っている内項船舶について、その根幹となる各国の行政組織、規制体系を中心に収集、整理したものであるが、専門家による会議等により入手できた政策動向についても可能な限り取り入れたものとしている。
 
 本報告書に記載した各国における船舶安全・環境規制動向が、これらの国に対する新規造船需要開拓を行う上で参考となり、関係各位の一助となれば幸いである。
 
ジェトロ・シンガポール・センター 船舶部
Director 上園 政裕







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