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2. 欧州舶用工業事業者へのアンケート調査
2-1 中国市場への進出
●回答した34社のうち、既に中国市場に進出しているのは11社。
 
2-2 中国市場での売上比率
●7社は、総売上に占める中国比率は3〜5%と回答。
●残り4社は、総売上の約10%とした。
 
2-3 中国市場での取扱製品
製品名 回答数
発電機 2
航海機器、通信機器、及び関連部品 2
舶用ケーブル 1
ラダー・ベアリング 1
機械部品 1
メンテナンス部品 1
真空汚水処理装置 1
圧縮装置 1
 
2-4 中国への進出形態
●回答した11社のうち4社が、何らかの形で中国にプレゼンスを持つ。
●うち1社は、1969年設立の営業拠点、及び1975年設立のアフターサービス兼営業拠点を香港、上海、大連に持つ。
●1社は、1975年から中国に進出しており、大連、天津、青島、上海、香港、広州にアフターサービス兼営業拠点網を持つ。(青島はアフターサービスのみ)。
●1社は、最近香港でジョイント・ベンチャーを開始。
●1社は、1990年代に北京に営業拠点を開設。
●しかし、中国に製造拠点を持つ、またはライセンス製造を行っている企業は皆無。
 
2-5 中国進出の主な理由
(ランキングは1〜7。1が最重要)
理由 平均ランキング
迅速な顧客サービスのため 1
中国側からのビジネス・プロポーザル 1.3
中国市場でのビジネス拡張 1.3
完成品の輸出 3.0
為替リスクの回避 3.3
部品、素材の現地調達 4.5
人件費削減 5.0
中国政府の優遇措置 7.0
 
●中国進出の理由は、第一に迅速な顧客サービス、即ちアフターサービスの確立である。
●中国側からのビジネス・プロポーザルによる受動的な進出も目立つ。
●今後の市場としての中国の拡大を期待しての進出も多い。
 
2-6 中国でのビジネス拡大の予定
●回答した10社の内、4社は今後拡大する予定、6社はそういう予定はないとしている。
●拡大の理由は、営業拠点網の拡大、ジョイント・ベンチャー設立、これまでに構築した体制を拡大、等。
 
2-7 中国からの素材、製品輸入の有無
●中国に進出している11社のうち、2社が中国から素材、製品を輸入している。
●1社は舶用スペアパーツ、もう1社は機械部品を輸入。
 
2-8 中国に未進出の理由
(複数回答)
理由 回答数
他地域にディストリビューター、サプライヤー網を既に確立 4
中国市場でのコンタクト、知識が不足 4
距離的な遠さ。現地調達の困難さ 3
中国市場へのビジネス拡大の必要なし 3
主に他地域に輸出 2
中国市場では自社製品需要がない 1
アジア大陸での競争 1
 
●中国に進出していない舶用工業事業者23社うち、19社が回答。
●主な理由は、既に他地域に確立したビジネスを持っており、中国に進出する必要がないこと。
●また、中国市場でのコンタクト、専門知識が不足しており、進出する足がかりがないことも大きな理由。
 
2-9 中国進出の予定
●中国未進出の23社のうち、1社を除く22社が中国進出を検討していると回答。
 
2-10 検討している進出形態
進出形態 回答数
中国への輸出 12
中国からの輸入 11
中国でのジョイント・ベンチャー 4
中国での製造拠点開設 3
ライセンス契約 2
中国での販売拠点開設 2
中国でのアフターセールス、販売拠点開設 0
 
●中国未進出の企業が検討している中国ビジネスは、主に輸出入。
●さらに進めたジョイント・ベンチャー、ライセンス契約、製造拠点開設を検討している企業もある。
 
2-11 中国進出を検討している理由
(ランキングは1〜6。1が最重要)
理由 平均ランキング
中国市場でのビジネス拡大 2.5
中国側からのビジネス・プロポーザル 2.7
中国政府の優遇措置を利用 3.6
部品、素材の調達 3.7
為替リスクの回避 5.3
人件費削減 5.4
 
●欧州企業は、市場としての中国の将来性を重視していることがわかる。
●将来的に世界最大の市場に成長するであろう中国市場で、早い時期に基盤を築いておきたいとの意図が見える。
●同時に、中国側からのビジネス・プロポーザルや中国政府による招聘を待つという受動的態度も見受けられる。
●為替リスク回避や人件費削減は、現地に製造拠点を開設しない限り、あまり重要性がないと見られる。
 
3. 結論
 本アンケート調査結果から、欧州船社や欧州舶用工業事業者は、中国企業の技術力や信頼性に関しては未熟さを感じているものの、中国造船所における低船価とその市場拡大の将来性に期待を寄せていると総括できよう。今後世界最大の市場に発展すると予想される中国市場への早い時期での進出と基盤構築は、ビジネス戦略上、必要不可欠であるとも考えられている。
 一方、中国の舶用工業市場は、現時点では日本、西欧に大きく遅れをとっている。しかし、今後、欧州の舶用メーカーが中国企業との共同事業やライセンス契約を展開して行った場合には、造船業と同様、急速に発展する可能性も否定できない。中国企業、政府からの積極的な働きかけ、誘致政策にも注目すべきであろう。







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