31.6 業務内容
●主要業務は船舶の修繕(船体工事、塗装(特種塗装を含む)、ドック修繕工事、機械工程、機 工程、特種設備の修理等)・改造・解体、海洋開発装置・機器の保守、港湾機械、鉄鋼構造物の製造、舶用部品の供給。年間修繕能力は約100隻。30の国・地域と取引がある。その他、埠頭での荷役・倉庫業務で年間30万t以上を取り扱い。
●修繕実績のある船種
VLCC等のタンカー、海底掘削用プラットフォーム、鉄鉱石運搬船等のバラ積み船、雑貨船、RO/RO船、コンテナー船、化学薬品運搬船、冷藏運搬船、クレーン船、救助船、補給船、作業船、特種船等。
(修繕例)
1995年、中国国内入港船では最大の38.4万Tタンカー“KAIDA”を修繕。
1999年、国内ドックでは最大の26.8万Tのカナダ籍船を修繕。
31.7 受注・修繕実績
表31-7: 主要受注・修繕・建造実績一覧表
受注日 |
種類・用途 |
DWT |
船主・ユーザー |
竣工日/ 予定日 |
船名 |
その他 |
2002年1月12日 |
海洋風車設置船(新造船) |
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イギリスGreg社 |
2003年4月 |
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2002年11月17日進水 |
2001年2月12日 |
浮ドック改造 |
11万 |
韓国大宇造船工業(株) |
2001年5月18日 |
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214.58m×40.51mを256.3m×51.5mに |
2001年7月4日 |
FPSO |
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中国海洋石油総公司 |
2002年8月 |
渤海明珠 |
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2001年4月6日 |
半潜水バージ(新造船) |
3.5万 |
韓国現代重工海洋事業本部 |
2002年4月9日 |
HDB1011 |
140m×37m×12m、 35,000DWT |
2001年4月6日 |
半潜水バージ(新造船) |
3.5万 |
韓国現代重工海洋事業本部 |
2002年8月10日 |
HDB1012 |
同上 |
2001年9月17日 |
ダブルハルタンカーへ改造 |
6.5万 |
イタリアPremuda Gestioni油送船会社 |
2002年6月9日 |
FOUE STARS |
5.4万Tのシングルハルの油・鉱物運搬船を6.5万Tダブルハル・油槽船に |
2002年9月19日 |
海洋風車設置船(新造船) |
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イギリスMayflower Energy |
2002年8月 |
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出所:上海科学技術情報研究所市場調査研究部
31.8 経営・財務状況
31.8.1 資本金・出資者
表31-8: 主要出資者及び出資率
出資者 |
出資率 |
中国船舶重工集団公司 |
100(%) |
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31.8.2 売上げ
図31-3: 近年の売上げ額の推移
31.9 関連企業
表31-9: 主要関連企業の名称及び会社概要
関係 |
関連企業 |
会社概要 |
親会社 |
中国船舶重工集団公司(CSIC) |
国務院の承認により設立された大型国有造船企業集団。 国家重点企業として中央政府が管理。(「北方集団」とも呼ばれる) |
子会社 |
秦皇島瑞星船務工程有限公司 |
山海関船廠、香港南宏国際実業有限公司、香港華聯円船舶有限公司の3社共同出資の合弁企業。 山海関造船廠と共同で船舶の修繕及び海洋開発業務を行う。 2001年10月、DNNからISO9002の認証を取得。 |
秦皇島富誠海事工程有限公司 |
山海関造船廠が全額出資で設立した子会社。 主要製品は機械電子設備、舶用設備、小型船舶、工具等。 |
山海関蔚海船舶機電有限公司 |
山海関造船廠が全額出資で設立した子会社。 主要製品は船舶の塗装装置、サンドブラスト機等。 |
孫会社 |
山海関GARDELLA塗装有限公司 |
子会社の秦皇島瑞星船務とシンガポール四合成会社との合弁企業フランスGARDELLAのライセンスをもち、船舶・海洋石油・鋼鉄構造物及びその他工業設備の塗装・金属吹付け・清掃等の業務を取扱。 |
秦皇島演瑞工程有限公司 |
子会社である秦皇島瑞星船務の全額出資会社。 主に船舶の鉄鋼構造物及び機電の工事を引き受け。 |
秦皇島藍海岸船舶クリーン有限公司 |
子会社である秦皇島瑞星船務と香港海利会社との合弁企業であり、船舶のクリーン・塗装等の業務を取り扱っている。 |
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出所:上海科学技術情報研究所市場調査研究部
31.10 政府との関係
●山海関船廠は中国船舶重工集団傘下の企業であり、かつ、地元の大型国有企業であることから、国・河北省政府との関係は緊密。
●河北省で数少ない大型船舶修繕所であり、納税や輸出入等で省・市政府の優遇政策を受けることができるが、補助金は受けていない。
●調達部門と政府関係部門との関係は緊密で、生 設備の輸入申請は迅速に処理される他、設備調達計画にも機械局等の支持がある。
31.11 今後
31.11.1 最近のトピック
1)イギリスGreg社向け海洋風車設置船が進水(2002年11月17日)
2)浮ドック改造計画(2002年10月14日)
OBO型“四星”号船のパナマ級浮きドックヘの改造開始。2003年初めに稼動予定。
改造後の浮きドックは3,300Tの鉄鋼構造物を分割建造できる。
完成後は、年間1,500万元(約2.3億円)の追加工事ができ、年間の修繕能力も15万Tまでアップする。
3)二重船殻の油槽船が進水(2002年6月9日)
イタリアPremuda Gestioni油送船会社向け、二重船殻の油送船が進水。中国初のシングルハルから二重船殻への改造工事。
4)潜水式バージ進水(2002年2月6日)
韓国現代重工海洋事業本部向け半潜水式バージ2隻のうち一番船「HDB1011」が進水。2003年2月末に竣工予定。
全長140m×幅37mで、昇降力3.5万t、海洋プラットフォームやFPSO等の運搬に使われる。
31.11.2 事業計画
1)2002年度計画
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2002年度計画 |
修繕隻数 |
120 |
総生産額(万元) |
45,000 |
修繕額(万元) |
30,000 |
新造船生産額(万元) |
15,000 |
輸出額(万USドル) |
5,000 |
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2)今後の計画―生産構造を調整し、新造船や海洋工事分野に参入
2002年は浮ドックを新設(OBO船から改造)することにより年間生産能力拡大につなぐ。
新造船や海洋工事分野参入のために、VLCCドック1基(関連設備を含む)、港湾航路浚渫及び暗礁爆破工事、門型クレーン及び各種クレーン、400mの艤装岸壁、二次塗装作業場、動力設備、その他の設備増設プロジェクトを計画。
この増設プロジェクトの完成後は、年間新造船能力は100万DTW以上アップし、造船生産額も20億元以上アップする。
3)港湾の拡大建設計画
増える一方の港湾業務の需要に応じるため、港湾拡大プロジェクトを計画しており、実現すれば港湾の年間取扱量は100万tまで増加する。
31.12 その他
(1)修繕レベル
(1)工場
船体作業場、船舶塗装作業場、船舶服 作業場、銅器製造作業場、エンジン作業場、電気工事作業場、保守センター、大工作業場、機械工程公司等専門の修繕作業場あり。
(2)設備
鋼材の切断・加工・溶接、機械加工、特種修繕、クレーン・輸送、木材加工、電気修理、計量・鑑定、塗装、鋳造鍛造、熱処理等3,000台以上。
主要設備は800t油圧機、大型鋼板切断機、平削り盤、パイプ・ベンダー、10mの旋盤、CO 2溶接機、光 気自動制御切断機、高効率自動溶接機、プロペラ螺旋 静状態平衡試験台等。
(2)日系企業・外国企業との提携
海外企業との提携なし。今後も、特に予定はない。国有企業体制ということもあり、技術・設備面とも海外企業の提携、協力には熱心でなし。
修繕用設備は、イギリス、アメリカ、日本。海外との関係は設備調達程度にとどまる。
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