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考察
 当初、「プログラム創り」という目的に沿い恊働することで関係を構築し、その経過から共通の言語や意識といった環境を共有・創造することを予定していた。しかし、場が進む中で場に与える目的を変えていった。新しい目的は『「どうしたら海の学習が広がるか?そのために外部機関は何をどうすべきか?」といったテーマについて、個人として、場として仮説を導く』こととなった。
 目的を変えることで、事業当初にねらっていた成果を得にくくなるのではないかとの不安もあったが、場に設定する目的は、事業本体の目的とは異なり、あくまでも事業目標を達成するための手段である「場」を活性化・最大化するための目的として設定するものであることから、事業本体の目的に一貫性が担保されていれば、事業目標へ到達できると考え、場に与える目的を臨機応変に検討し、再設定した。
 結果として昨年度に考えたOHPモデルに当てはめると、プログラム創りという当初の手段を変更し、新しい目的に沿い「場」が進行し、その経過から参加者との関係は発達し、様々な学びを得ることができた。そして、最終的には非常に具体的な仮説が導かれた。この仮説は、今後我々が、用いる手法について検証する際に役立ち、常に我々自身の足下を照らしてくれる明かりになると考える。
 また、ワークショップ以外にも事例検証や巡検などの手法を試したことで、より多くの環境下・条件下における学校や教員の特徴を、それぞれの設定ごとに知ることができた。これにより、マクロな問題からミクロな問題まで、学校周辺の環境に関して異なる縮尺の地図を手に入れることができた。
 考察では、ワークショップを通して手に入れた様々な明かりを用いて、事業全体を通して手に入れた地図を照らしてみたい。そこから、我々が今後目指すべき「海洋教育の普及」という最終目的港までの航路を見いだしたいと思う。
 
■考察の前提
 考察では、今年度事業で得られた成果(学び)が、本事業の最終目標「全国における海洋教育(海の学習)の普及」への到達にどう関わるかを整理し、今後の事業へと活かしたい。そこで、詳しい考察を行う前に、基本事項の前提を確認し、考察へと進む。
 
□目標の確認
目標:「全国における海洋教育(海の学習)の普及」
目標にも示されている通り、「全国」レベルでの普及が目標である。
 
□ここで指す「海洋教育(海の学習)」とは
 学校や教員が持つ諸条件や、入手できる学習資源により、「海の学習」のあり方や姿、また内容にも多様性が存在すると予想できる。例えば、大きく分けて以下の三つの形態が想像される。ここでは、その違いに関わらず、一元的に「海の学習」として取り扱うこととする。
 
図−1. 「海の学習」の形態別
 
A:海をテーマに、海を学び、その学びを他の学びに発展させる。
B:別のテーマから、海へとつながり、そのつながりを学ぶ。
C:別のテーマの進行を、海の事例で補完する。
 
□ここで指す「普及」とは
 目標が示す「普及」とは、その地域内の多くの学校で継続的に導入され、定着している状態を指す。
 
□目標へ到達した時の姿
 すなわち本事業の目標へ到達したあかつきには、
 Where=全国の小学校で、
 What=我々が考えるいくつかのパターンを持った「海の学習」が、
 How=継続的に導入され、定着している状態
 がそこにはある。
 
■目標到達への考察
□大切な三つの観点
 今年度事業を通して、我々が目標到達までの道中、関係する組織や個人が持つ態度・制度・風土と、その背景について十分に考えつつ取り組む必要性を知った。考察では、この三つの事柄をKey Wordとして持ちつつ、目標到達への航路について考えたい。
 
□定義
 一般的には、次に述べるような定義がされていると考える。
・態度とは、事に対する構え・考え方・行動傾向を指す。
・制度とは、仕組みや決まり事を指す。
・風土とは、土地固有の気候・地味、土地柄を指す。
 
 本文では各事柄に対し、上記の定義に次のように加え、考察を進めたい。
 「制度」には外部機関が学校や教員に向けて提供する助成制度や支援事業などの取り組みも含めて、この言葉を用いる。
 「風土」は、自然科学的な「土地」としての意味に加え、社会的な「組織」が持つ固有の思考特性も含めて、この言葉を用いる。
 
□学校側
<学校における風土と制度と態度の関係>
 最終的に学校現場で「海の学習」を定着・普及させるためには、学校周辺環境に「海の学習」へ取り組みやすい風土が必要である。教員が授業内で「海の学習」を試し、有用性を認め、それを組織の中で共通の認識とすることで初めて学校単位での取り組みとして定着するからである。
 教員の新しい取り組みを受け入れる風土は、組織や環境に構築された制度に大きな影響を受ける。またその風土と制度によりその組織や個人が持つ態度も影響を受ける。
 いくら一人の教員が「海の学習」を取り入れる意志や態度を持っていたとしても、実際に学内で取り組めるかどうかは、その学校に存在する制度と風土による。
 
<学校周辺環境における制度と風土の変化>
 学校周辺環境に関して大きな枠組みで考えると、ここ数年、制度と風土に大きな変化が訪れている。平成14年より導入された「総合的な学習の時間」である。従来までは決められた教科の中で、定められた学習目標へと到達することに取り組んできた。これに対し、目標と手法とテーマなどを学校側の裁量にて設定し取り組むことで、その学校周辺に存在する学習資源を有効活用しつつ、児童生徒の「生きる力」を育もうとする制度が設けられた。
 誤解を恐れずに言えば、制度が変わったことで、急速に新しい風土が形成されつつあるとも言える。従来は教科以外の事柄やテーマについて学ぼうとすれば、教科以外の時間枠を使うか、規定の時間枠外で行っていた。このような状況下では、必要とされていない事柄やテーマについて、教員や学校が自ら率先して取り組むことは難しく、必要性を感じにくい風土であったとしても当然である。
 今現在では、「総合的な学習の時間の導入」という制度変更により、教科以外の事柄やテーマを学ぶ取り組みに対する考え方は大きく変わり、まさしく風土が変わりはじめたと言える。すなわち、新しい取り組みに対する学校単位での態度が、制度の改変にともない大きく変わりつつある。これは我々にとっても大きなチャンスであることは言うまでもない。そしてこのチャンスを活かすべく、平成14年度より取り組んで来たわけである。
 
<「海の学習」を取り入れる風土はあるか?>
 しかし、それがすなわち「海の学習」に取り組むための風土が形成されたということではない。追い風を得たとしても、やはり波は高いのが実情である。また我々同様に、この新しく開放された時間、総合的な学習の時間をねらい、今までに無いテーマや事柄を学校が扱うことを願い、学校にアプローチする非学校機関は多い。それは民間企業からはじまり、文科省以外の省庁にまで多岐にわたる。同時に、学校側はそれらの機関からのアプローチの多さに、疲れている様子も見られる。
 その反面、学校、特に公立の小学校には、学校が取り組みたいと思う授業を全て実現するための資金や人材やノウハウ、またネットワークが全て整っているわけではない。むしろ揃っていない要素の方が多いと言える。
 
□我々の関わり方
 これらのことから、「学校が取り組みたいと思う授業」を支える機関に対しては、学校にも恊働する姿勢や態度が存在すると考える。ここで重要なのは、「学校が取り組みたいと思う授業や学びを支える」という点である。
 我々にとっては、学校現場に形成されつつある新しい風土の中に、「海の学習」への取り組みを善とする態度を育む必要がある。そのために、次に我々自身の「態度、制度、風土」と、学校との取り組みの関係性について考えたい。
 
<学校周辺環境を詳しく知る必要性>
 学校に「海の学習」へ取り組む風土を創るための手法は多数考えられる。今年度事業で行った巡検では、地先の教員に海の興味を喚起させる方法として巡検は極めて効果があることが分かった。6回のワークショップからは、教員の持つ基本的な概念や共通言語を知ることができ、同時に関係を構築する方法としても有効なことが分かった。また、特に外部が開発したプログラムに対する様々な捉え方が存在することを知り、教員と恊働でプログラム開発を行う際の注意点も把握することができた。その過程で、参加者より特に評価されたのは、貪欲に彼らのニーズや特徴を把握しようとした我々の姿勢であり態度であった。多様な手法について考える前に、そもそも学校の実情を徹底的に把握するという態度が、従来の外部機関に欠けていたように思われる。そのことが、取り組みの効果を低くしていると考える。
 
<十分な説明>
 今までにも、学校現場を支援する制度や取り組みは、様々な機関により行われている。しかし、それらの取り組みの真意が伝わらない、また継続しないことが多々ある。互いのニーズのミスマッチが、その原因の多くを占めると思われる。
 なぜ、ミスマッチが起こるのか?考えられる答えの一つは、双方が十分な説明を果たさずに、取り組みが始まることである。取り組みに対するねらい自体が、双方によって異なるにも関わらず、それらを互いに共有していないために、お互いの主張に違和感を覚えるようになるという。
 例えば、学校は子どもたちに取り組みを通して「姿勢、態度、能力」を育んで欲しいと願う。恊働する非学校機関は「ある特定の知識」を身に付けて欲しいと願う。双方が担保される取り組みであれば問題は無いが、そうで無い場合は、強引に双方の願いを叶えようとすれば取り組み自体が中途半端なものになり、お互いに低い満足感しか得ることができない。
 
<継続性の確保>
 また、事業中に交わされた様々な議論の中でよく指摘された事柄として、外部機関が行う教育支援事業に関する継続性の問題がある。流行や一時的な盛り上がりから派生した事業や取り組みに参加する程、学校に時間的余裕はない。
 継続的に取り組むことが前提になり、より強固な関係が構築される。外部機関にも、学校にも、教員にもコミットメントが必要なのである。そして何よりも、我々外部機関がどれだけその事業や取り組みにコミットしているかにより、恊働者である学校や教員の協力の度合いは変わる。そして、その継続性を担保した上で、計画性をもって取り組むことが望ましい。なぜなら自分達の進展度合いが分からないこと程、モチベーションを下げる要素は無いからである。
 最終的な目標到達の過程において、恊働者も様々な恊働者に分類されると考える。取り組みの発展性や進展度合いといった時間軸で分類して考えると、短い期間に集中して恊働作業を行う場合もあれば、最終的な目標到達まで関わりを持つ場合もある。その双方の関わりにおいても、やはり取り組みの現在地を把握することは重要である。
 これらのことから、主体である機関が目標到達までの計画を示し、そのための継続性を確保する態度を示すこと重要だと考える。
 
<目標到達までの段階>
 目標達成までには、「結果のまとめ」で示した通りの仮説を想定しており、その過程の時々に適した手法が存在すると考える。また、目標到達までの道のりにおいて、関わり方の時間的スケールの違いにより、恊働者が分類される可能性は先述した。
 最終的には、全国的に取り組まれていることを目標に据えることから、取り組みは段階を経るごとに、その種類が増え、それぞれの内容の質が向上し、それらに対する認知が面的な広がりを持たなくてはならない。しかし、まず重要なのは伝わる魅力・内容であり、手法ではない。その伝わる内容により、その広がりが決まる。この前提をもとに、目標到達までの段階を考えると、大きく分けて三段階に分けられると考える。この各段階に、「結果まとめ」にて示した「手法の仮説」にある1から8のステップを当てはめて考察の材料にしたい。また、各段階を充実させるために必要な恊働者は、一貫性して関わりを求める場合と、その段階ごとに異なる場合があると推察する。
 
・第一段階は、実践。 手法仮説の1、2
・第二段階は、認知。 手法仮説の3、4
・第三段階は、普及。 手法仮説の5、6、7
 
 各段階の進展を横軸に、進展に伴い我々の取り組みに関係し、その取り組みを利用する人数を縦軸に示したのが、図−2である。
 
図−2. 段階と関わる人々
 
<全国での普及から逆算すると>
 学校に新しい制度が導入されたことで、従来までには無い取り組みが可能になった。しかし、それは必ずしも「海の学習」に取り組む風土ではないことは先述の通りである。では、新しい取り組みの一つとして、「海の学習」に目を向け、実際に取り入れることも含めた風土にするためには、何が必要なのだろうか。
 一つの学校が「海の学習」に取り組むためには、そこに属する多くの関係者により、有用性や魅力が理解されている必要があることは当然である。そして、学内が実際に取り組もうとする態度に満ち、学内での合意形成がなされている状態にあって、初めて担当教員が実践できる。
 すなわち、実践したいと考えている教員は、学内の合意形成を得やすい環境や気運を形成する必要がある。この実践したいと考えている教員は、我々にとっては潜在的な恊働者でもある。なぜならば、我々の最終目標は全国での普及であるから、一つの学校ですら良い評価が得られないのであれば、それが周辺に波及することは無く、ましてや全国的に普及することなどは考えられない。
 「全国での普及」という状態から逆算して、まずは我々の潜在恊働者が、所属する学内で合意形成をする、また気運を盛り上げることを支援する取り組みが必要だと考える。
 これらのことから我々には、潜在的な恊働者や、全く「海の学習」が視野に入っていない教員や学校に対し、有用性を示し、彼らの欲求を刺激し、取り組みを促進させるための魅力的な事例を持つ必要があると考える。その初めの取り組みが、第一段階の「実践」である。
 
 ここでは、来年度事業との関わりが強く、現在最も重要な課題である第一段階について詳しく考察し、続く二つの段階とその内容については、想像できる範囲での考察に留め、今後との取り組みと共に進めて行きたい。
 
□第一段階 実践について
<「海の学習」実践事例創り>
 取り組みを広めるためには、その基点となる事例が必要である。特に、まだ海の学習を認識していない学校や教員が魅力的に感じ、有用性を見いだせるロールモデル(実践事例)が必要である。そして異なる条件下で行われた複数のモデルを示すことが望ましい。我が国の学校における地理的条件は多様性に富んでおり、限定した条件下でのモデルが、そのまま全国的な普及を促すための材料にはなり得ない。近くに海の無い学校でも、食と排泄を通じて川へと発展し、その興味は海へとつなげられることは、第3回のワークショップでも示された。モデルを見た学校や教員が、親近感や期待感を持てることが重要である。少なくとも、沿岸部、河川沿い、山間部、都市部程度の分類ごとのロールモデルは必要だと考える。何よりもこのロールモデルは、実際に教員との恊働により創られ、実践されている必要がある。その恊働を円滑に進めるためにも、我々外部機関は、学校の制度や風土を理解しつつ、その実情に合わせた形で取り組む姿勢と態度が必要である。
 
<共通言語と説明書>
 また、このロールモデルと同等に重要なのが、学校や教員との共通言語となる計画書の類である。学校周辺の用語で言われる、年次計画書や指導計画書などがそれである。これらは「海の学習」のねらいや効果とその計画を示し、また他の教科との関連性や発展性を示すものである。実践したロールモデルの取り組み内容が商品だとしたら、これらは取り扱い説明書と言える。恊働する際には、この説明書が学校と外部機関との共通言語となり、共有されるプラットフォームにもなる。
 本年度事業の成果の一つに、海をテーマにした総合的な学習の時間を想定した計画書が、参加者により示されている。海をテーマにした総合的な学習の時間のプランとして描かれており、その有用性や、学年の発達段階に応じた具体的な内容にまで触れられている。まさしくこれは「海の学習」に関する説明書として書かれており、非常に参考になる。このような、計画書や説明書等を両者が持つことで、ミスマッチの予防から、効果的な恊働にまで役立つと考える。
 なぜなら、従来までは双方の主張やねらいを理解し合い、恊働の方向性や進展を確かめる基準なども不明確だったことから、ミスマッチが起き易かったと推察する。学校側の形式を用いた計画書の上に、情報提供や各種支援を行う機関独自の取り組みを盛り込むことで、恊働が学習のねらいや効果にどう関わるかを客観的に把握することが可能となる。外部機関としては、この計画書を読み解くことで、学校側が必要としている支援や情報を把握しやすくなり、適切な質と量のサービスを提供しやすくなる。もちろん、先述した双方が説明責任を果たすことが大前提となることは言うまでもない。
 ロールモデルと計画書というセットを1つ揃えることで、我々は広める起点をようやく一種類手にすることができる。そして、これらをより多く揃えるためには、我々の想いに賛同し、恊働で「海の学習」を開発・実践する協力者と協力校が必要である。今年度事業の参加者からも、これらの開発・実践に興味を持ち共に取り組む恊働者が既に現れていることから、来年度事業では、より効果的なこのセットを開発し、次の段階、認知へとつなげたい。
 以上が、今後早急に我々が取り組むべきだと考える、実践事例創りについての考察である。次に、これらの事例をどのように広め、全国での普及、「海の学習」が取り組まれるための風土創りを促進するか、若干の考察を試みたい。
 
□第二段階 認知について
<手法と媒体>
 このセットが揃って、はじめて「海の学習」の有用性や魅力を広くの学校や教員に伝えることができる。そして次に課題となるのが、どう伝えるか、伝達の手法である。これらの手法は、学校周辺環境に根ざした媒体を効果的に用いることが重要である。
 伝達の速度と量の許容力を重視するのであれば、インターネット等の電子媒体は有用である。これらは我々側からの発信に限らず、恊働者同士や、海洋学会等の諸関連機関との恊働においても、Webを共通のプラットフォームとすることで、潜在的な恊働者への促進などにも役立つ。
 ITを使う方法と同時に、異なるメディアを用いることも重要である。特に学校教育に関する専門誌や業界新聞等と恊働することも効果的である。学校や教員の多くがこれらの媒体に目を通すこと、また彼ら自身の情報収集の媒体としても活用されていることからも、取り組みが記事として扱われることによって、インターネット等に比べ、より広く情報が伝達されると考えられる。実際にこれらの紙面を使い、企業財団等の外部機関が多くの公募事業やイベントを行っている。また、それに参加する学校や教員も多い。
 次に、一見効率性が低く思われる伝達の方法が、教員同士が集まり行う研究会などでの発表を含む「口コミ」である。しかし、実際に取り組んだ教員、またそれを間近で見ていた教員による説明には、先の二つの媒体には無い強い伝達力がある。何よりも、情熱や感動が伝わることからも、この伝達方法は重要である。
 その他にも色々な伝達方法は考えられるが、それぞれの手法に一長一短があり、その用途により適切な手法を効率的に用いることを心がけたい。
 
□第三段階 普及について
 様々な伝達手法を用いて、「海の学習」の認知が広まったとする。しかし、実際に取り組みをはじめる学校や教員を増やすには、情報以外にも様々な支援を提供する必要がある。取り組もうとする学校や教員により、必要とする支援は異なるであろう。既に多くの機関が行うように、プログラムの提供や、実験器具や教材、資料の提供も考えられる。
 しかし、我々外部機関の支援がなくては取り組めない「海の学習」では、いくら普及したとしても、我々の本当の目標に到達したと言えない。重要なのは、学校や教員、またその地域により自立的かつ自律的に取り組みが続き、学校の教育課程の中に「海の学習」が当然と存在し、国民の中に海に対する意識が普及することである。
 そのような観点で、理想的な過程を考えると、第一段階から第三段階以降へと進展するにつれ、関わる学校数や恊働者数や、我々が提供するサービスの種類も増え、その一方で我々がかけるコストは徐々に減少するのが望ましいと考える。なぜなら、コストの減少はすなわち学校現場からの乖離という訳ではなく、ある特定の支援に依存しない、学校が主体となった取り組みが定着したことを意味する。
 今年度事業を通して、我々は多くのことを参加者から学んだ。これから「海の学習」を広めていくための恊働者と、その道中で教えを乞うことができる教師を同時に得られたことが、今年度事業の最大の成果だと考える。この成果を目標到達までの糧とし、情熱を持って「海の学習」の普及に努めたい。







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