日本財団 図書館


(2)人数的に手薄な中堅世代の人材確保とスキルアップ
 前述の年齢構成からも分かるとおり、これから企業の中核となるべき30歳代が、ワイングラスのピラーの部分に相当し、人数的に手薄であり、特に造工では9%と極めて手薄になっている。
 中堅世代については、アンケートでも人材の不足・技能水準の不足を感じている企業が半数近くあるなど、この層の人材不足の解消、スキルアップが重要な課題となっている。
 
〈関連データ〉
・中堅技能員の人材確保状況(アンケートQ15)
構成比 造工 中造工 日造協 全体
1. 十分確保 3.4% 3.7% 4.8% 4.2%
2. 特に不足無し 41.4% 48.1% 44.2% 45.3%
3. 今後不足が見込まれる 44.8% 40.7% 40.4% 41.1%
4. 不足している 10.3% 7.4% 10.6% 9.3%
5. 無回答 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
 
Q15 中堅クラスの人材確保の不足 構成比
 
(3)専門技能の継承
 今後10年間に大量退職する現場技能員は、我が国造船業を支える中核的存在であり、その技能水準の高さが高い生産性を支えてきた。従って、この技能の継承がスムーズに行われるか否かが、我が国造船業、個々の造船所の将来を大きく左右するものと考えられる。
 アンケートにおいても全体の半分近い企業が専門技能員の将来的な不足(既に不足を含む)を懸念しており、また国交省海事局の別の調査では、技術継承について6割が「問題がある」と答えているなど、大きな課題である。
 
<関連データ>
・専門技能員の人材確保状況(アンケートQ20)
構成比 造工 中造工 日造協 全体
1. 十分確保 0.0% 3.7% 4.8% 3.7%
2. 特に不足無し 55.2% 46.9% 44.2% 46.7%
3. 今後、不足が見込まれる 34.5% 34.6% 19.2% 27.1%
4. 不足している 6.9% 13.6% 8.7% 10.3%
無回答 3.4% 1.2% 23.1% 12.1%
 
Q20 専門技能員人材確保の不足 構成比
 
 造船各社は、自社の技能水準向上に関して以下のような対策をとっている。
 
(1)新人教育
 各社の新人教育は、造工では集合研修やOJTが導入されているものの、中小造船、協力事業者では2割が何も行っていない。また、新人教育に効果があるとされている集合教育の実施率が全体で20%にとどまるなど、新人教育体制は不十分である。
 各社の新人教育を実施する上での問題点としては、時間・人手の不足に加えて、指導者の不足、カリキュラムが未整備といった理由が挙げられており、自社のみでの対応が難しい様子がうかがえる。
 
<関連データ>
・新人研修の方法(アンケートQ11)
回答率 造工 中造工 日造協 全体
1. 集合研修 79.3% 23.5% 17.3% 20.1%
2. OJT(職場内研修) 86.2% 50.6% 65.4% 44.8%
3. 他社と共同研修 3.4% 6.2% 2.9% 3.0%
4. 他社と共同OJT研修 0.0% 1.2% 2.9% 1.3%
5. 社外の研修機関 10.3% 27.2% 8.7% 11.4%
6. その他の方法 0.0% 1.2% 14.4% 5.4%
7. 研修は行っていない 0.0% 30.9% 16.3% 14.0%
 
Q11 新人研修の実施方法 回答率
 
・新人研修実施上の問題点(アンケートQ14)
回答率 造工 中造工 日造協 全体
1 十分な指導者がいない 10.3% 24.7% 28.8% 24.8%
2 指導方法がわからない 0.0% 6.17% 7.69% 6.07%
3 時間、人手が確保できない 41.4% 46.9% 61.5% 53.3%
4 研修内容カリキュラム整備ができない 10.3% 22.2% 16.3% 17.8%
5 テキストがそろえられない 0.0% 6.17% 7.69% 6.07%
6 研修場所がない 3.4% 6.17% 10.6% 7.94%
7 技能研修などの設備が確保できない 0.0% 13.6% 12.5% 11.2%
8 その他 17.2% 4.94% 8.65% 8.41%
 
Q14 新人研修の問題点 回答率







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION