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1. 造船業における技能継承・研修の必要性
1-1 造船業の技能水準維持・向上に対する不安
 我が国の造船各社の技能員の年齢構成は、長年の不況による採用抑制の影響もあり、50歳代以上が45%を占める一方、企業の中核的人材である30代が10%に過ぎないなど、大きく歪んでいる。
 一方、今後造船各社に入社する学生の動向を見ると、国内の工業高校の造船科は、学校数・生徒数とも一貫して減少を続けており、新人の基礎的技能のレベルにも不安がある。
 また、主要造船所における社外工の比率は60%を超えており、塗装、溶接などの分野を中心に下請けへの依存率が拡大している。協力事業者の技能水準の維持も大きな課題となっている。
 このように、高い技能水準を有する技能員の減少に加え、新人の技能レベル低下、下請け依存の拡大(下請け比率61.7%)などにより、これまで我が国の造船業の源泉であった技能水準の維持向上には大きな不安がある。
<関連データ>
・年齢構成グラフ(アンケートQ1)
構成比 10歳代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代以上 平均年齢
造工 3.4% 20.3% 8.8% 21.2% 46.2% 0.2% 43.8
中造工 4.9% 19.3% 12.3% 18.5% 3.9% 0.6% 43.7
日造協 2.6% 14.6% 16.1% 21.5% 3.4% 11.3% 45.5
全体 3.4% 18.5% 11.4% 20.9% 41.6% 4.2% 44.3
 
造工構成比
 
中造工構成比
 
日造協構成比
 
全体構成比
 
・下請け比率が高い職種(アンケートQ1)
  1位 2位  3位 4位 5位
造工  塗装 溶接   配管 足場 鉄工
30.1% 22.9%   13.3% 7.2% 6.0%
中小造工  塗装 鉄工 溶接 配管工 機関整備 電気
18.6% 10.9% 10.9% 9.1% 7.7% 6.3%
区分  塗装 溶接   配管 鉄工 機関整備
21.7% 14.1%   10.2% 9.5% 5.6%
注) 
表中の数字は、回答企業の中で下請け比率が高い職種であると回答した企業の割合を示す。







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