第7章 海上輸送により期待される効果の検討
ここでは、循環資源の輸送をトラック輸送から海上輸送へシフトすることにより期待される効果を検討した。
7.1 新たに北九州港を利用して海上輸送される循環資源
アンケート調査、ヒアリング調査により、関東、九州離島から、北九州港まで海上輸送される可能性があると考えられる循環資源貨物量は、年間約6.2万トンである(表−7.1参照)。
北九州市港湾局が作成した「北九州港港湾計画資料」(平成15年5月)によると、北九州リサイクルポートでは、平成22年に17.2万トンを取り扱うことが目標とされている( 参考2.参照)。
そこで、効果の試算にあたり、平成22年に北九州リサイクルポートで取り扱われる循環資源、排出地等については、17.2万トンを、表−7.1の循環資源、排出地ごとの年間輸送量で按分し、設定した(表−7.2参照)。
その上で、北九州リサイクルポートにおいて、17.2万トンの循環資源を取り扱うことにより、期待される効果を検討した。
表−7.1 新たに北九州港を利用して海上輸送される循環資源
地域 |
循環資源名 |
排出地 |
年間輸送量
(トン/年) |
輸送船舶 |
荷姿 |
1船あたり
輸送量
(トン/船) |
年間 輸送回数 |
関東 |
建設混合廃棄物 |
東京都 |
500 |
199GT貨物船 |
ばら貨物 |
250 |
2 |
建設混合廃棄物 |
神奈川県 |
1,200 |
199GT貨物船 |
ばら貨物 |
400 |
3 |
建設混合廃棄物 |
神奈川県 |
780 |
199GT貨物船 |
ばら貨物 |
390 |
2 |
建設混合廃棄物 |
関東 |
35,000 |
499GT貨物船 |
ばら貨物 |
1,000 |
35 |
廃プラスチック |
埼玉県 |
1,000 |
199GT貨物船 |
ばら貨物(ベール状) ・フレコンバッグ |
500 |
2 |
廃プラスチック |
東京都 |
500 |
199GT貨物船 |
ばら貨物(ベール状) ・フレコンバッグ |
500 |
1 |
廃プラスチック |
神奈川県 |
400 |
199GT貨物船 |
ばら貨物(ベール状) ・フレコンバッグ |
400 |
1 |
廃プラスチック |
神奈川県 |
10,000 |
199GT貨物船 |
ばら貨物(ベール状) ・フレコンバッグ |
500 |
20 |
廃水 |
千葉県 |
1,700 |
199GT貨物船 |
ドラム缶 |
850 |
2 |
廃油 |
千葉県 |
1,500 |
199GT貨物船 |
ドラム缶 |
750 |
2 |
廃木材 |
埼玉県 |
1,000 |
199GT貨物船 |
ばら貨物 |
500 |
2 |
廃木材 |
神奈川県 |
150 |
199GT貨物船 |
ばら貨物 |
150 |
1 |
ペットボトル |
神奈川県 |
100 |
フェリー |
トレーラー (ベール状) |
10 |
10 |
九州 離島 |
使用済蛍光管 |
長崎県対馬 |
15 |
199GT貨物船 |
使用済蛍光管専用 コンテナ |
混載 |
10 |
建設混合廃棄物 |
長崎県対馬 |
1,000 |
199GT貨物船 |
容器 |
使用済自動車 |
長崎県対馬 |
1,500 |
199GT貨物船 |
容器 |
廃木材 |
長崎県対馬 |
500 |
199GT貨物船 |
容器 |
古紙 |
鹿児島県 奄美大島 |
3,600 |
499GT貨物船 |
ばら貨物 (ベール状) |
700 |
5 |
使用済自動車 |
沖縄県 石垣島 |
1,200 |
499GT貨物船 |
ばら貨物 |
400 |
3 |
合計 |
- |
- |
61,645 |
- |
- |
- |
101 |
|
資料:アンケート、ヒアリング結果より作成。
表−7.2 平成22年における北九州リサイクルポートの循環資源取扱量
地域 |
循環資源名 |
排出地 |
年間輸送量
(トン/年) |
輸送船舶 |
荷姿 |
1船あたり
輸送量
(トン/船) |
年間
輸送回数 |
関東 |
建設混合廃棄物 |
東京都 |
1,400 |
499GT貨物船 |
ばら貨物 |
250 |
6 |
建設混合廃棄物 |
神奈川県 |
3,300 |
499GT貨物船 |
ばら貨物 |
400 |
8 |
建設混合廃棄物 |
神奈川県 |
2,200 |
499GT貨物船 |
ばら貨物 |
390 |
6 |
建設混合廃棄物 |
関東 |
97,700 |
499GT貨物船 |
ばら貨物 |
1,000 |
98 |
廃プラスチック |
埼玉県 |
2,800 |
499GT貨物船 |
ばら貨物(ベール状) ・フレコンバッグ |
500 |
6 |
廃プラスチック |
東京都 |
1,400 |
499GT貨物船 |
ばら貨物(ベール状) ・フレコンバッグ |
500 |
3 |
廃プラスチック |
神奈川県 |
1,100 |
499GT貨物船 |
ばら貨物(ベール状) ・フレコンバッグ |
400 |
3 |
廃プラスチック |
神奈川県 |
27,900 |
499GT貨物船 |
ばら貨物(ベール状) ・フレコンバッグ |
500 |
56 |
廃水 |
千葉県 |
4,700 |
499GT貨物船 |
ドラム缶 |
850 |
6 |
廃木材 |
埼玉県 |
2,800 |
499GT貨物船 |
ばら貨物 |
500 |
6 |
廃木材 |
神奈川県 |
400 |
499GT貨物船 |
ばら貨物 |
150 |
3 |
廃油 |
千葉県 |
4,200 |
499GT貨物船 |
ドラム缶 |
750 |
6 |
ペットボトル |
神奈川県 |
300 |
フェリー |
トレーラー (ベール状) |
10 |
30 |
九州
離島 |
使用済蛍光管 |
長崎県対馬 |
40 |
199GT貨物船 |
使用済蛍光管専用 コンテナ |
混載 |
20 |
建設混合廃棄物 |
長崎県対馬 |
2,800 |
199GT貨物船 |
容器 |
使用済自動車 |
長崎県対馬 |
4,200 |
199GT貨物船 |
容器 |
廃木材 |
長崎県対馬 |
1,400 |
199GT貨物船 |
容器 |
古紙 |
鹿児島県 奄美大島 |
10,000 |
499GT貨物船 |
ばら貨物 (ベール状) |
700 |
14 |
使用済自動車 |
沖縄県 石垣島 |
3,300 |
499GT貨物船 |
ばら貨物 |
400 |
8 |
合計 |
- |
- |
171,940 |
- |
- |
- |
279 |
|
注:平成22年に北九州リサイクルポートで取り扱われる循環資源、排出地等については、北九州市港湾局が作成した「北九州港港湾計画資料」(平成15年5月)に記載されている、平成22年の循環資源取扱量17.2万トンを、表−7.1の循環資源、排出地ごとの年間輸送量で按分し、設定した。
7.2 海事産業の振興
ここでは、平成22年における北九州リサイクルポートの循環資源取扱量(表−7.2)を前提に海事産業の振興効果を検討した。
(1)海上輸送貨物の増加
平成22年に、関東、九州離島から北九州港まで17.2万トンの循環資源が海上輸送された場合、約10億円〜約17億円の輸送コストが収集運搬業者(船社)に支払われることが予測される。
表−7.3 年間輸送コスト
地域 |
船種・船型 |
1回あたり
輸送コスト
(万円/回) |
年間輸送回数
(回/年) |
年間輸送コスト
(万円) |
関東 |
499GT貨物船 |
460〜770 |
207 |
95,220〜159,390 |
フェリー |
15 〜 18 |
30 |
450 〜540 |
九州離島 |
499GT貨物船 |
280〜300 |
22 |
6,160 〜6,600 |
199GT貨物船 |
70 〜 80 |
20 |
1,400 〜1,600 |
合計 |
- |
- |
- |
103,230〜168,130 |
|
注:1回あたり輸送コストは、問い合わせ、ヒアリング等より設定。
(2)港湾運送事業の振興効果
北九州港において、平成22年に17.2万トンの貨物量が取り扱われた場合、港湾運送事業における新規常用雇用は、4〜5人程度が見込まれる。
なお、循環資源の船舶、フェリー、トラック輸送を行う企業、リサイクルを行う企業においても、ある程度の雇用増加が期待される。
新たな雇用が必要な港湾労働者数
=新規年間取扱貨物量/港湾荷役労働者1人あたり年間荷役量
=172,000(トン/年)/40,392(トン/人・年)
≒4.3人
港湾荷役労働者1人あたり年間荷役量
=港湾荷役労働者1人1日あたり荷役量×年間労働日数
=40,392(トン/年)
原単位
・港湾荷役労働者1人1日あたり荷役量=153.0トン
・年間労働日数=12(月)×月間労働日数
・月間労働日数=22日
資料:日本港運協会「平成13年版 港運要覧」(平成14年9月)
7.3 港湾施設の利用促進
ここでは、平成22年における北九州リサイクルポートの循環資源取扱量(表−7.2)を前提に港湾施設の利用促進効果を検討した。
(1)年間船舶着岸日数:249日
北九州港響灘東地区の岸壁において、平成22年に表−7.2に示した循環資源を取り扱かわれた場合、循環資源を輸送している船舶の年間の着岸日数は249日と推計される。1年の約3分の2の日数に循環資源輸送船舶が着岸していることになる。
・循環資源を輸送している船舶が、北九州港響灘東地区の岸壁を利用し、1日に1隻着岸すると設定した。
・フェリーは新門司フェリーターミナルを利用しているため、フェリーによる輸送回数(30回/年)は除く。
(2)年間岸壁占有時間:1,470時間
北九州港響灘東地区の岸壁において、平成22年に表−7.2に示した循環資源を取り扱われた場合、年間の岸壁占有時間は1,470時間と推計される。年間の岸壁利用可能時間を2,912(時間/年)とすると、岸壁占有率は約50%となる。
・循環資源を輸送している船舶が、北九州港響灘東地区の岸壁を利用し、1回の輸送において荷役時間を平均6時間と設定すると設定した。
年間の岸壁利用可能時間
=364注(日/年)×8(時間)
=2,912(時間/年)
注:年間の岸壁利用日数は、平成13年11月「元日を除く364日24時間荷役作業の実施についての労使合意」に基づき、364(日/年)とした。
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