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6.3 輸送頻度、ロットに関する条件
(1)排出業者のための保管場所の確保(大量輸送する場合)
・循環資源の排出業者は、循環資源を大量に保管する場所を持たない場合が多い。海上輸送により大量輸送を行うには、保管場所を確保する必要がある。
 
(2)リサイクル工場の受入量を調整する保管場所の確保
・海上輸送により循環資源の大量輸送が可能であっても、リサイクル工場では受入可能量が決まっており、それを超える循環資源の受入はできない。
・そこで、港湾とリサイクル工場の間に、リサイクル工場の受入量を調整する保管場所が必要である。
 
6.4 港湾の利用に関する条件
(1)公共岸壁の利用
・北九州港では、公共岸壁において産業廃棄物を取り扱う場合、一般貨物を取り扱う場合にはない制限が加えられる。
・北九州エコタウンに最も近い岸壁は公共岸壁であるが、様々な制限があるため、離れたプライベート岸壁を利用することになっている。このため、余分に横持ち費用がかかり、海上輸送を利用した場合のコストを高価にしている。
・北九州港へ海上輸送する場合の積出港についても、公共岸壁におけるばら貨物である循環資源の取り扱いが全く認められていない(東京港)など、様々な制限があるため、排出地から離れた港湾を利用せざるを得ない状況となっている。
・海上輸送を利用するには、公共岸壁において循環資源を一般貨物と同じ条件で取扱えるようにする必要がある。
 
(2)荷姿に関する制限
・現在、北九州港の公共岸壁においては、安定型産業廃棄物を取り扱うことができるが、その取り扱いには、悪臭、飛散、液体の漏洩等、外部へ影響を与えるおそれのないよう、コンテナに密閉する必要がある。そのため、海上輸送できる循環資源は限られてしまう。循環資源の荷姿には、フレコンバッグ、ばら貨物など様々である。どの荷姿であっても取り扱えるようにし、より多くの循環資源の海上輸送が可能となるような環境を整えることが望ましい。
・また、コンテナ輸送だけに限ってしまうと、バンニング、デバンニングに手間とコストがかかり、海上輸送コストが嵩む要因となってしまう。海上輸送コスト低減の面から見ても、コンテナに限らず、どのような荷姿でも取り扱えるようにすることが望ましい。
 
(3)積替え・保管
・海上輸送のメリットの一つとして、大量一括輸送によるコスト低減があげられる。
・この場合、排出地から港湾まではトラックで輸送することになる。そのため、港湾において保管する必要が出てくる。
・しかし、港湾において循環資源の保管施設を確保することは、極めて難しい。
・また現在の北九州港では、循環資源をコンテナに密閉していても、船舶からトラックに積替える際、岸壁に仮置きすることはできない。そのため、トラックに直積みしなければならず、手間、時間、コストがかかる原因となっている。
・海上輸送を促進するには、港湾において循環資源の積替え(岸壁への仮置き)、保管を可能とすることが望ましい。
 
6.5 関係する業者の選定に関する条件
(1)信用、実績のある収集運搬業者の認知
・関東、九州離島等遠隔地の排出業者から北九州への循環資源輸送を請け負うには、信用、実績のある収集運搬業者であることが認知されていることが第一の条件である。
・関東、九州離島等遠隔地のほとんどの排出業者は、北九州でのリサイクル実績がないこと、特に海上輸送を行った実績がないことなどから、北九州までの海上輸送を行うことのできる収集運搬業者に関する情報を持っていない。そのため、北九州でのリサイクルも、海上輸送も、検討の対象外となっている場合が多い。
 
(2)信用、実績のあるリサイクル業者の認知
・関東、九州離島等遠隔地の排出業者が、循環資源を北九州でリサイクルするには、信用、実績のある北九州のリサイクル業者が認知されていることが第一の条件である。
・遠隔地の排出業者は、北九州においてリサイクル可能な循環資源、リサイクル技術、循環資源の受入条件など、リサイクル業者に関する情報をほとんど持っていない。そのため、北九州でのリサイクルは検討の対象外となっている場合が多い。
 
(3)提案・営業機能確立の必要性
・関東、九州離島等遠隔地の排出業者は、北九州まで循環資源を輸送する信用、実績のある収集運搬業者、北九州での信用、実績のあるリサイクル業者に関する情報を持っていない場合が多い。
・このような、関東、九州離島等遠隔地における潜在的な顧客と北九州側(収集運搬業者、リサイクル業者)を結びつける機能を確立する必要がある。







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