日本財団 図書館


4.3 北九州港を利用した静脈物流に関する規制緩和への要望
 アンケート調査、ヒアリング調査により、産業廃棄物の収集運搬に関する規制緩和への要望をまとめた。
 また、資源循環・リサイクル製品の海上輸送の促進に関する調査委員会において発言のあった規制緩和要望も併せてまとめた(表−4.5 北九州港において要望されている規制緩和 参照)。
 
(1)港湾利用に関する規制緩和要望
・廃棄物輸送時に、公共岸壁、公共ヤードを利用する要望が多く、一般貨物と同様に利用できるような規制緩和が望まれている。
・また、プライベートバースでの廃棄物の取り扱いについても、一般貨物と同様に、港湾管理者に届け出をすればすむような規制緩和が望まれている。
・港湾における積替え・保管については、貸与、許可取得の容易化(許可取得条件の緩和)、保管日数の拡大が望まれている。
 
(2)産業廃棄物収集運搬業の許可に関する規制緩和要望
・産業廃棄物収集運搬業の許可については、事務手続きの迅速化、簡素化が望まれている。
・海上輸送に特化した要望としては、不定期船の許可の取得(注:状況により取得できる場合もあるとのこと)、同一行政管轄内における複数の産業廃棄物収集運搬業者による同一船舶の登録の実現、フェリーなど旅客船の場合は「産業廃棄物収集運搬」表示を旅客に対してあまり目立たないものにするといった項目があげられた。
・海上輸送する際には、港湾運送事業者など様々な業者が関わることになるため、再委託を認めるような規制緩和も要望されている。
 
(3)その他
・この他、広域からの廃棄物収集によるリサイクルを実現するため、広域再生利用認定制度の対象品目の拡大が要望されている。
 
表−4.5 北九州港を利用した静脈物流に関する規制緩和への要望
注1: 本調査において実施したアンケート調査(序章および参考1. 参照)。
注2: 北九州港を利用し、循環資源の輸送を行っている産業廃棄物収集運搬業者に対して行ったヒアリング
調査。
注3: 資源循環・リサイクル製品の海上輸送の促進に関する調査委員会において発言のあった要望。
注4: 廃棄物処理法では、船舶を利用した輸送については、保管日数の制限は緩和される。
 
4.4 海上輸送を中心とする静脈物流の問題点の整理
 ここでは、アンケート調査、ヒアリング調査に基づき、船舶・港湾を中心とする静脈物流の問題点の整理を行う。
 
(1)コストに関する問題点
・適正な循環資源の輸送に伴うコストに対し、顧客の要求により、低コストでの輸送受託を余儀なくされる。
・循環資源を広域的に集荷しても、帰り荷がないため、輸送コストが高くなる。
 
(2)公共岸壁の利用に関する問題点
・北九州港の公共岸壁では、コンテナに密閉された安定型産業廃棄物の取り扱いしか認められておらず、ばら貨物の取り扱いはできない。また、循環資源の入ったコンテナを、直接岸壁に置くことはできない。
・他の港湾でも公共岸壁での循環資源の取り扱いを全く認めていない場合もあり、積出港の確保も難しい状況である。当面は、関東の港湾においては、私設岸壁を利用せざるを得ない。
・大量の循環資源を海上輸送するためには、積出港、荷揚港において、循環資源の積替え・保管するための用地が必要であるが、廃棄物処理法等により確保が困難である。
 
(3)効率的な輸送の仕組みに関する問題点
・大量輸送に適した海上輸送を行う場合でも、荷役・陸上輸送の効率化のためには、コンテナ容器の活用が重要であるが、容器の標準化、荷役・輸送のシステム化等が実現していない。
 
(4)様々な規制に関する問題点
・自治体の中には、他地域から循環資源を搬入する場合、事前協議等、様々な規制を設けている所があり、循環資源の広域輸送に制限が加えられている状況である。
・公共埠頭における循環資源の一時仮置き、保管は条例、廃棄物処理法等により、難しい状況にある。
 
(5)北九州市側の知名度、情報発信に関する問題点
・関東、九州離島等の遠隔地では、北九州エコタウンや立地するリサイクル企業は、関係事業者に知られていない。
・関東、九州離島等の遠隔地では、北九州市まで輸送する信用できる輸送業者の情報や料金(見積書等)を求めているにもかかわらず、よくわからない状況にある。
 
(6)北九州市側の提案・営業機能に関する問題点
・関東、九州離島等の顧客(排出事業者、収集運搬業者、中間処理業者)のニーズに対して、北九州市側のリサイクル及び輸送を提案・営業する機能が現状では確立していない。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION