(臨時の非常電源)
第三百一条 国際航海に従事する旅客船及び係留船に備える非常電源が発電機である場合は、当該船舶には、臨時の非常電源として蓄電池を備えなければならない。
2 前項の規定により備える蓄電池は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。 ただし、係留船にあっては、管海官庁が当該係留船の係留の態様を考慮して差し支えないと認める場合は、第二号の要件を緩和することができる。
一 主電源又は非常電源からの給電が停止したとき、第二百九十九条第五項に規定する設備(同条第二項第五号から第九号までに掲げる設備を除く。)(同条第2項第三十七号に掲げる設備のうち水密戸開閉装置にあっては、船舶区画規程第五十二条第五項の電動開閉装置に限る。)に対して自動的に、かつ、直ちに給電を開始することができるものであること。
二 前号に規定する設備に30分間(水密戸開閉装置に対しては、3回操作するための必要な時間)以上給電できるものであること。
三 第二百九十九条第一項第一号イ及びロに掲げる要件
(注)第二百九十九条第一項第一号
イ 常に必要な電力が充電されているものであること。
ロ 電圧を定格電圧の±12パーセント以内に維持しながら給電できるものであること。
第三百一条の二 外洋航行船(国際航海に従事する旅客船を除く。)、内航ロールオン・ロールオフ旅客船及び国際航海に従事する総トン数500トン以上の漁船に備える非常電源が発電機である場合は、当該船舶には、臨時の非常電源として蓄電池を備えなければならない。 ただし、当該発電機が第二百九十九条第一項第二号ロに掲げる要件にも適合するものである場合には、この限りではない。
2 前項の規定により備える蓄電池は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
一 主電源又は非常電源からの給電が停止したとき、第三百条第五項に規定する設備(第二百九十九条第二項第五号から第九号までに掲げる設備を除く。)に対して自動的に、かつ、直ちに給電を開始することができるものであること。
二 前号に規定する設備に30分間以上給電できるものであること。
三 第二百九十九条第一項第一号イ及びロに掲げる要件
(注)第二百九十九条第一項第一号
イ 常に必要な電力が充電されているものであること。
ロ 電圧を定格電圧の±12パーセント以内に維持しながら給電できるものであること。
3 前項第一号に規定する設備に給電することができる独立の電源を備える船舶については、当該電源が、管海官庁が適当と認めるものである場合に限り前二項の規定の適用を緩和し、又は適用しないことができる。
(補助電源)
第三百一条の二の二 国際航海旅客船等及び国際航海旅客船等以外の船舶(総トン数300トン未満の船舶であって旅客船以外のもの及び沿海区域又は平水区域を航行区域とするものを除く。)には、常に必要な電力が充電されている蓄電池により構成される独立の補助電源を備えなければならない。
2 前項の規定により備える補助電源は、当該船舶に備える次に掲げる設備(A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶(A1水域のみ(湖川を含む。)を航行するものを除く。)にあっては第三号及び第四号に掲げる設備、A1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶にあっては第二号から第四号までに掲げる設備を除く。)に対し給電することができるものであり、かつ、当該設備のうち管海官庁が指定するものを同時に作動させるために十分な容量を有するものでなければならない。
一 VHFデジタル選択呼出装置及びVHF無線電話
二 MFデジタル選択呼出装置、MF直接印刷電信及びMF無線電話
三 インマルサット直接印刷電信及びインマルサット無線電話
四 HFデジタル選択呼出装置、HF直接印刷電信及びHF無線電話
五 船舶安全法施行規則第六十条の六の予備の無線設備であって次に掲げるもの
イ VHFデジタル選択呼出装置及びVHF無線電話
ロ MFデジタル選択呼出装置、MF直接印刷電信及びMF無線電話
ハ インマルサット直接印刷電信及びインマルサット無線電話
ニ HFデジタル選択呼出装置、HF直接印刷電信及びHF無線電話
六 その他管海官庁が必要と認める設備
3 第一項の規定により備える補助電源は、前項に規定する設備に対し、非常電源から第二百九十九条第二項第五号から第九号までに掲げる設備(以下この条において「VHFデジタル選択呼出装置等」という。)に対し給電することができる船舶にあっては1時間、非常電源からVHFデジタル選択呼出装置等に対し給電することができる船舶以外のものにあっては6時間以上給電することができるものでなければならない。ただし、管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合は、その指示する時間によることができる。
(関連規則)
船舶検査心得
301-2-2.1
(a)「常に必要な電力が充電されている」とは、10時間以内に要求される最小限の容量まで自動充電することができるとともに、12月を超えない間隔で船舶の停泊中に、蓄電池の電解液の比重を計測すること、電圧を計測すること等により、電池の能力が適正であることを確認することをいう。
(b)「独立の補助電源」とは、第301条の2の2第2項各号に掲げる設備及び第268条の3の設備専用のものをいう。 なお、第311条の22又は船舶安全法施行規則第60条の6の規定に該当し一般通信用無線電信等を備えることとなる場合においても同様とする。
(a)第一号及び第五号イの「VHFデジタル選択呼出装置及びVHF無線電話」とはVHFデジタル選択呼出装置及びVHF無線電話が一体となっているものをいい、146-34-3.0(a)(2)の規定によりVHFデジタル選択呼出装置を備えない船舶に備えるVHF無線電話並びに311-22.1(a)(2)及び施行規則60-6.1(b)により146-10-3.0(b)(3)の規定((iv)に係る部分を除く。)に適合する船舶に備える27MHz帯を使用する無線電話はこれに該当しない。
(b)第二号及び第五号ロの「MFデジタル選択呼出装置、MF直接印刷電信及びMF無線電話」は、MF直接印刷電信及びMFデジタル選択呼出装置又はMF無線電話及びMFデジタル選択呼出装置が一体となっているものをいい、146-38-2.1(a)(2)の規定によりMFデジタル選択呼出装置を設置していない船舶に備えるMF無線電話はこれに該当しない。
(c)第四号及び第五号二の「HFデジタル選択呼出装置、HF直接印刷電信及びHF無線電話」は、HF直接印刷電信及びHFデジタル選択呼出装置又はHF無線電話及びHFデジタル選択呼出装置が一体となっているものをいい、146-38-2.2(a)(2)の規定によりHFデジタル選択呼出装置を設置していない船舶に備えるHF無線電話はこれに該当しない。
(d)補助電源は、第二号及び第四号に対して同時に給電する必要はなく、また、第五号ロ及びニに対しても同様として差し支えない。
(e)補助電源は、次に掲げる無線設備に対して同時に給電できなければならない。
(1)VHF無線電話、VHFデジタル選択呼出装置及びVHFデジタル選択呼出聴守装置
(2)(1)の設備と同時に使用することができる他のすべての無線設備 なお、負荷については、第301条の2の2第2項第一号から第四号まで及び第六号に掲げる設備並びに同項第五号及び第六号に掲げる設備についてそれぞれ計算し、いずれか大なる負荷に対し、要求される時間給電できるものでなければならない。 なお、第311条の22又は船舶安全法施行規則第60条の6の規定に該当し一般通信用無線電信等を備えることとなる場合においても同様とする。
(f)給電すべき無線設備の負荷については、299.2(e)の計算方法を準用する。
(注)299.2(e)の計算方法
C=t {0.5 I(T)+V+α}
t: 要求時間
(要求される時間に応じ6時間(h)又は1時間(h))
C: 負荷(A・h)
I(T):無線設備の送信に必要な電流消費量(A)
V: 無線設備の受信に必要な電流消費量(A)
α:上記以外の追加の負荷(ジャイロコンパス、無線設備を操作する場所の照明装置、DC/ACインバーター等)
(g)第六号の「その他管海官庁が必要と認める設備」とは、次に掲げる設備をいう。
(1)299.2(f)に規定する設備
(2)146-10-3.0(b)(3)の規定((iv)に係る部分を除く。)に適合する船舶にあっては次に掲げる設備(予備の無線設備を除く。)
(i)VHF無線電話又は27HMzを使用する無線電話
(ii)MF無線電話
(iii)HF無線電話
(放電指示器)
第三百一条の三 第二百九十九条第一項若しくは第三百一条第一項又は第三百条第一項若しくは第三百一条の二第一項の規定により蓄電池を備える場合には、当該蓄電池が放電していることを示す指示器を主配電盤又は機関制御室内の見やすい位置に取付けなければならない。
(非常配電盤)
第三百二条 外洋航行船、内航ロールオン・ロールオフ旅客船、係留船及び国際航海に従事する総トン数500トン以上の漁船に備える非常電源及び臨時の非常電源を制御する非常配電盤は、非常電源にできる限り近接した場所に備えなければならない。
2 前項の非常電源が発電機である場合には、非常配電盤は、その操作が害されない限り、非常電源と同一の場所に設けなければならない。
3 第二百九十九条第一項若しくは第三百一条第一項又は第三百条第一項若しくは第三百一条の二第一項の規定により備える蓄電池は、非常配電盤と同一の場所に設けてはならない。
4 第二百九十九条第五項若しくは第三百一条第二項第一号又は第三百条第五項若しくは第三百一条の二第二項第一号の規定により主電源又は非常電源からの給電が停止したときに自動的に給電するための切換装置は、非常配電盤に設けなければならない。
5 通常の状態において主配電盤から非常配電盤へ給電する場合には、管海官庁が適当と認める非常配電盤を保護するための措置を講じなければならない。
6 非常配電盤は、第二百九十九条第二項各号又は第三百条第二項各号に掲げる設備以外のものに給電する回路(管海官庁がその用途等を考慮して差し支えないと認めるものを除く。)に対する適当な負荷優先遮断装置を備えたものでなければならない。
(関連規則)
船舶検査心得
302.5
(a)「管海官庁が適当と認める非常配電盤を保護するための措置」とは、次に掲げるものをいう。
(1)過負荷及び短絡に対して主配電盤において保護され、かつ、非常配電盤において自動的に切り離すことができる中間接続フィーダーにより主配電盤から給電する。
(2)フィードバック操作を行うよう措置されている場合には、中間接続フィーダーは、少なくとも短絡に対し、非常配電盤においても保護する。
302.6
(a)「管海官庁がその用途を考慮して差し支えないと認めるもの」は、VHF無線電話、機関室の通風装置、非常用の充気装置の回路とする。
(b)非常電源が、非常用負荷に対して十分な容量(発電機の容量及びそれに使用する燃料の容量)を有し、かつ、非常配電盤から給電される他の負荷に対しても十分な容量を有する場合には、負荷優先遮断装置を備えることを要しない。ただし、この場合には、いかなる設備に対しても不等率を考慮しないこと。
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