第二章 航行上の条件
(その他の航行上の条件)
第十二条 管海官庁は、船舶の航行上の安全を確保するため特に必要があると認めるときは、航行区域、最大とう載人員、制限気圧及び満載喫水線の位置のほか、当該船舶に対し必要な航行上の条件を指定することができる。
2 前項の指定は、船舶検査証書に記入して行う。
(関連規則)
船舶検査心得
12.1
(a)復原性基準に適用させるための条件、船灯の備付けの免除、消防設備規則の規定に基づく消火装置の備付けの免除、漁船の無線電信の施設の免除等により条件を付するときは、本項により航行上の条件を指定すること。
(b)第四条第一項第六号の規定により、無線電信等を施設することを要しないとされた船舶については、次に掲げる事項を航行上の条件として指定すること。
(1)4. 1(f)でいう「無線電信等に代わる有効な通信設備」(以下「代替設備」という。)のうち、固定して施設されないものを備える船舶にあっては、航行する際には当該代替設備を備え付けなければならないこと。
(2)代替設備のうち、固定して施設されるものを備える船舶にあっては、当該代替設備を撤去してはならないこと。
(3)アンテナを固定して施設するものにあっては、当該アンテナを移設してはならないこと。
(4)当該代替設備を改造してはならないこと。
第二章の二 小型兼用船の施設等
(小型兼用船の施設等)
第十三条 小型兼用船に関し施設しなければならない法第二条第一項に掲げる事項及びその標準については、漁船以外の船舶に係る法第二条第一項の国土交通省令(以下この条において「漁船以外の船舶に係る命令」という。)の規定によるほか、小型漁船安全規則の規定を準用する。この場合において、同令中「第一種小型漁船」とあるのは「漁ろうをする間の航行区域が本邦の海岸から100海里以内の水域と定められている小型兼用船」と、「第二種小型漁船」とあるのは「漁ろうをする間の航行区域が本邦の海岸から100海里を超える水域と定められている小型兼用船」と読み替えるものとする。
2 前項の規定にかかわらず、漁船以外の船舶に係る命令の規定は小型兼用船が漁ろうをする間は適用せず、小型漁船安全規則の規定は小型兼用船が漁ろう以外のことをする間は準用しない。
3 漁ろうをする間の航行区域が本邦の海岸から12海里以内の水域と定められている小型兼用船が漁ろうをする間施設しなければならない法第二条第一項に掲げる事項及びその標準については、当該小型兼用船が通常漁ろうをする水域における気象、水象等の条件を考慮して管海官庁が差し支えないと認める場合は、前二項の規定にかかわらず、管海官庁の指示するところによることができる。
4 国際航海に従事する小型兼用船であって漁ろうをする間にのみ国際航海をするものについては、第一項及び第二項の規定にかかわらず、漁船以外の船舶に係る命令の規定中国際航海に従事する船舶に係る規定は、適用しない。
(関連規則)
船舶検査心得
13.0
(a)小型兼用船が漁ろうをする間は、その間に航行する水域に応じ小型漁船に係る技術基準を適用することになるが、これは、小型兼用船を船舶安全法上漁船として取り扱うという趣旨ではなく、非漁船の範ちゅうのままで技術基準を漁船並みのものとするという趣旨であることに留意して本条の運用に当たること。
(b)小型兼用船に「漁船以外の船舶に係る命令」の規定を適用する場合には、小型兼用船の航行区域は、当該小型兼用船が漁ろうをしない間の航行区域として定められた航行区域とすること。(以下、本心得関係条文の適用についても同じ。)
13.1(a)漁ろうをする間の航行区域が本邦の海岸から12海里を超える水域と定められている小型兼用船に小型漁船安全規則の規定を準用する場合は、小型漁船安全規則心得によること。
13.3(a)管海官庁の指示に当たっては、漁業灯及び漁業形象物に関する規定並びに当該船舶が漁ろうに従事しない間の航行区域に相当する「漁船以外の船舶に係る命令」の規定に適合させること。
第十三条の二 漁ろうをする間の航行区域が本邦の海岸から100海里以内の水域と定められている小型兼用船が漁ろうをする間法第四条第一項の規定により施設しなければならない無線電信等については、船舶設備規程第八編の規定にかかわらず、管海官庁の指示するところによることができる。
2 国際航海に従事する小型兼用船であって漁ろうをする間にのみ国際航海をするものについては、船舶設備規程第八編の規定にかかわらず、国際航海に従事する船舶に係る規定は適用しない。
(関連規則)
船舶検査心得
13-2.1(a)管海官庁の指示に当たっては、当該船舶が漁ろうしない間に航行する水域に応じて無線電信等を備えさせること。なお、当該無線電信等は、漁ろうをする間常に直接陸上との間で船舶の運航に関する連絡ができるものではないものであっても差し支えないものとする。
第十三条の三 国際航海に従事する小型兼用船であって漁ろうをする間にのみ国際航海をするものについては、第六十条の五から第六十条の八までの規定にかかわらず、国際航海に従事する船舶に係る規定は適用しない。
附則(平成14年3月28日国土交通省令第123号)
(施行日)
第1条 この省令は、平成14年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、第1条第6項第10号の改正規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第2条 この省令の施行の際現にこの省令による改正前の船舶安全施行規則第1条第5項に規定する小型遊漁兼用船に該当する船舶については、当該船舶が受有している船舶検査証書の有効期間が満了する日までの間は、この省令による改正後の船舶安全法施行規則第3条第3号、第13号、第13条の2及び第13条の3の規定の適用については、これらの規定中「小型兼用船」とあるのは「小型遊漁兼用船」とする
2 施行日に船舶検査証書を受有する船舶については、この省令による改正後の船舶安全法施行規則第12条の2第1項の規定は、平成14年6月30日まで(同日前に係る船舶安全法第5条第1項第1号から第3号までに掲げる検査を受ける場合にあっては当該検査の時期まで)は、適用しない。
第3条〜第6条略
第四章 雑則
(無線設備の保守等)
第六十条の五 船舶所有者は、次の各号に掲げる船舶(法第四条第一項ただし書及び第二項並びに第三十二条の二の規定により無線電信等を施設することを要しない船舶を除く。)に備える無線設備(無線電信等並びに救命設備(浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置、小型船舶用極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置、非浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置及びレーダー・トランスポンダーに限る。)及び航海用具(ナブテックス受信機、高機能グループ呼出受信機、VHFデジタル選択呼出装置、VHFデジタル選択呼出聴守装置、無線電話遭難周波数で送信及び受信をするための設備、無線電話遭難周波数聴守受信機、デジタル選択呼出装置、デジタル選択呼出聴守装置に限る。)に限る。以下同じ。)について、それぞれ次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 国際航海に従事する船舶(総トン数300トン未満の船舶であって、旅客船以外のもの及び総トン数300トン以上の漁船(第一条第二項第一号の船舶に限る。)を除く。以下「国際航海旅客船等」という。)であってA4水域又はA3水域を航行するもの設備の二重化(予備の無線設備を備えることをいう。以下同じ。)、陸上保守(無線設備の有効性を保持するため、当該設備の修理を行う能力を有する者(船員を除く。)が定期的に点検及び修理を行うことをいう。以下同じ。)又は船上保守(無線設備の有効性を保持するため、当該設備の修理を行うことができる資格を有する船員が保守及び修理を行うことをいう。以下同じ。)のうちいずれか二の措置
二 A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶(国際航海に従事しない船舶であって旅客船以外のものを除く。)及び国際航海旅客船等以外の船舶であってA4水域又はA3水域を航行するもの
設備の重化、陸上保守又は船上保守のいずれか一の措置
2 船舶所有者は、前項の規定により講じる措置及びその実施方法について記載した書類を作成し、かつ、管海官庁の承認を受け、これを当該船舶の船長に供与しなければならない。当該措置及びその実施方法を変更しようとするときも、同様とする。
3 船長は、前項の書類を船内に備えておかなければならない。
4 前三項の規定は、次の各号に掲げる船舶については適用しない。
一 国際航海に従事しない船舶(A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行するものに限る。)であって沿海区域を航行区域とするもの(航行区域が平水区域から当該船舶の最強速力で2時間以内に往復できる区域に限定されていない旅客船(管海官庁が差し支えないと認めるものを除く。)を除く。)又は平水区域を航行区域とするもの
二 前号に掲げる船舶以外の総トン数20トン未満の船舶(旅客船を除く。)
三 その他管海官庁が航海の態様等を考慮して差し支えないと認める船舶
(関連規則)
船舶検査心得
60-5.4
(a)第一号の「管海官庁が差し支えないと認めるもの」とは、航行区域が平水区域から最強速力で2時間以内に往復できる区域に限定されていない旅客船のうち、長距離カーフェリー以外のものとする。
(b)第三号の「管海官庁が航海の態様等を考慮して差し支えないと認める船舶」は、次に掲げる船舶とする。
(1)A3水域、A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶(A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行するもの及び国際航海旅客船等を除く。)であって、平水区域又は沿海区域内のみを航行するもの
(2)(1)以外の船舶であって、当該船舶の航行の態様等を考慮して保守等の措置を講ずることが困難又は不要であると考えられるもの。なお、保守等の措置の免除に当たっては、当該船舶に関する資料を添えて、管轄の地方運輸局又は運輸支局に相談すること。
〔解説〕
(1)無線設備の保守等には、陸上保守、船上保守、設備の2重化の3方法があるが、そのいずれかの方法によるかは、船舶の航行水域に応じ次表により選択することになる。
(2)国際航海旅客船等とは次の船舶をいう。
(1)国際航海に従事する旅客船
(2)国際航海に従事する総トン数300トン以上の非旅客船(漁ろうにのみ従事する漁船を除く。)
(凡例) |
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(1)・・・設備の二重化、陸上保守、船上保守のうち1つを選択 |
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(2)・・・設備の二重化、陸上保守、船上保守のうち2つを選択 |
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×・・・保守等の義務なし |
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