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【船舶の脱出設備の基準を定める告示】
(非常照明装置)
第7条 規程第122条の6の告示で定める要件は、次のとおりとする。
(1)主電源、これと関連する変圧器、主配電盤又は主照明用配電盤を設けた場所の火災その他の災害によりその使用を損なわれないものであること。
(2)非常電源から給電することができるものであること。この場合において、国際航海に従事する旅客船にあっては、乗艇場所及び招集場所に設ける当該非常照明装置は、主電源からも給電することができるものでなければならない。
(3)廊下、階段、はしご及び出入口に設ける非常照明装置は、乗船者が、救命艇及び救命いかだの積付場所及び進水場所に近づくことを妨げないものであること。
(関連規則)
船舶検査心得
122-6.1(非常照明装置)
(a)第4号の制御場所のうち、非常電源の蓄電池を設置した蓄電池室には、非常照明装置を設置しなくて差し支えない。
(b)第5号の「その他の管海官庁が必要と認める場所」は、次に掲げる場所とすること。
(1)エレベーターのかご及びトランクの内部(国際航海に従事する旅客船にあっては、エレベーターのかごの内部に限る。)
(2)消防員装具の格納場所
(3)操舵装置を設置した場所
(4)消火ポンプ、スプリンクラ・ポンプ及び非常ビルジポンプを設置した場所並びにこれらに用いる電動機の始動場所
(5)引火性液体(引火点が摂民61度以下の液体をいう。)を運送するタンカー又はタンク船の貨物ポンプ室
(蓄電池一体型非常照明装置)
第122条の6の2 ロールオン・ロールオフ旅客船の次に掲げる場所には、電源等について告示で定める要件に適合する蓄電池一体型非常照明装置を設けなければならない。だだし、管海官庁が当該船舶の大きさ、構造等を考慮して差し支えないと認める場合は、この限りでない。
(1)公室
(2)廊下、階段、はしご及び出入り口
(3)その他管海官庁が必要と認める場所
2. 前項に規定する場所のうち船員のみの利用に供される場所にあっては、機能等について告示で定める要件に適合する持運び式電気灯をもって蓄電池一体型非常照明装置に代えることができる。
【船舶の脱出設備の基準を定める告示】
(蓄電池一体型非常照明装置)
第8条 規程第122条の6の2第1項の告示で定める要件は、次のとおりとする。
(1)主電源、非常電源及び臨時の非常電源のすべてがその機能を停止した場合において、装置と一体となった蓄電池から自動的に、かつ、直ちに給電が開始されるものであること。
(2)いかなる傾斜状態にあっても3時間以上照明することができるものであること。
(3)第1号の蓄電池は、常に必要な電力が充電されているものであること。
(4)電球の不良を容易に確認することができるものであること。
(5)廊下、階段、はしご及び出入口に設ける蓄電池一体型非常照明装置は、乗船者が、脱出することを妨げないものであること。
2. 規程第122条の6の2第2項の告示で定める要件は、有効に照明することができる充電可能なものであることとする。
(関連規則)
船舶検査心得
122-6-2.1(蓄電池一体型非常照明装置)
(a)「管海官庁が当該船舶の大きさ、構造等を考慮して差し支えないと認める場合」とは、当該船舶が国際航海に従事しない船舶であって、次のいずれかに掲げる場合とする。
(1)146-44.1(b)に該当するもの
(2)沿海区域又は平水区域を航行区域とする船舶であって、総トン数1,000トン未満のもの
(b)第3号の「その他管海官庁が必要と認める場所」とは、次に掲げる場所であって、非常時における脱出が容易でない場所とする。
(1)旅客室、船員室等のうち、多人数(13人以上を標準とする。)が使用する場所(例えば、大部屋の2等船室等)
(2)乗務員が通常業務に従事する場所(例えば、船橋、制御室等)
122-6-2.2
(a)持運び式電気灯は、コンセント等から常に充電されているものであって、3時間以上照明することができるものであること。
船舶の脱出設備の基準を定める告示第8条関係(心得)
8.0
(a)第3号の「常に必要な電力が充電されている」とは、主電源等により常時充電されていることを要求しているものであって、必ずしも、非常電源からの充電をも要求しているものではない。
(b)第4号の「電球の不良を容易に確認できるもの」とは、例えばスイッチ等で確認できるもの又は常時点灯式のものをいう。
(解説)
(1)非常標識について
 非常標識は、非常の際に旅客等が脱出するに必要な脱出経路及び脱出経路に設ける消防設備を格納する場所に設置するものであって、その場所に応じて脱出経路及び格納されている消防設備の種類その他の表示事項が容易に識別できるものとし、外洋航行船(旅客船のみ)、内航ロールオン・ロールオフ船及び係留船に装備する。電気式の非常標識は、非常電源から給電されなければならない。
(2)非常照明装置について
 非常の際に主電源がそう失した場合であっても、乗艇場所に至る脱出径路の照明を確保するために非常電源から給電される非常用の照明であって、外洋航行船、内航ロールオン・ロールオフ旅客船及び係留船の乗艇場所、廊下、階段、はしご、出入口、機関区域、制御場所等に装備する。
(3)蓄電池一体型非常照明装置について
 ロールオン・ロールオフ旅客船の大浸水、大傾斜、転覆等により主電源、非常電源及び臨時の非常電源のすべてがそう失したときに船外に脱出するに必要な照明を確保するため公室、廊下、はしご、出入口、多人数(13名以上が標準)が使用する旅客室、船員室等に装備される非常用の照明装置であって、当該非常灯に内蔵している蓄電池から自動的に給電される。
 また、内蔵の蓄電池は、主電源等により常時充電されるよう装備する必要がある。
 
写真 蓄電池一体型非常照明装置の外観
 
 当該非常照明装置の配置については、旅客室、公室等から暴露甲板まで旅客等を誘導できるよう装備することになるが、乗艇甲板までの誘導の必要はない。本非常照明装置は灯具下端から2.5m直下の床面における照度が2ルクス以上であって、誘導標識の記号又はイラストが15m離れた地点で明瞭に確認できる性能が要求されており、これが灯具の配置を決める上での1つの目安となる。
 また、本非常照明装置は誘導標識のあるものと無いものがあり、旅客等を暴露甲板に誘導できるよう適宜方向を示す誘導標識のあるものを配置する。
 なお、沿海区域又は平水区域を航行区域とするロールオン・ロールオフ旅客船であって、総トン数1,000トン未満のもの、載貨扉(ランプウェイ等)を設けた車輌区域等に放水口を有し、大浸水がおきても十分に排水ができると判断できるもの及び船橋から直接載貨扉の開閉が確実に確認できるものには、本非常照明装置を備える必要はなく、また、船員のみに利用される場所に持運び式電気灯(充電可能なもの)を備えれば当該場所には本非常照明装置を備える必要はない。
(4)内航ロールオン・ロールオフ旅客船
 国際航海に従事しないロールオン・ロールオフ旅客船であって、沿海区域又は平水区域を航行区域とする総トン数1,000トン以上のものをいう。
(5)ロールオン・ロールオフ旅客船
 ロールオン・ロールオフ貨物区域又は車両甲板を有する旅客船をいう。
(6)ロールオン・ロールオフ貨物区域
 貨物を通常水平方向に積卸しすることができる貨物区域であって、船舶の全長又は全長の相当部分にわたって区画されることのないものをいう。
(7)公室
 ホール、食堂、休憩室、喫茶室、売店及びこれらに類似した場所をいう。
(関連規則)
船舶検査心得
第2章 操舵設備
(A)本章における用語の定義については、次に掲げるところによる。この場合において、油圧により作動する操舵装置以外の操舵装置の各用語の定義は、油圧により作動する操舵装置と同一の機能を有する部分がそれぞれ対応するものとする。
(1)「操舵装置」とは、油圧駆動系統、制御系統及び舵を有効に動かすため必要なトルクを舵頭材に与える装置(例えば、チラー又はコードラント)により構成される装置をいう。
(2)「主操舵装置」とは、通常の航行状態において使用する操舵装置をいう。
(3)「補助操舵装置」とは、主操舵装置の故障の際の操船に必要な装置であって、原則として主操舵装置のどの部分とも分離されたものをいう。
 ただし、舵を有効に動かすため必要なトルクを舵頭材に与える装置は、分離されたものでなくても差し支えない。
(4)「油圧駆動系統」とは、舵頭材を回す動力を供給するために設けられた油圧装置であって、一般に、動力装置、作動油タンク、配管及びラダー・アクチュエータにより構成されるものをいう。
(5)「動力装置」とは、油圧ポンプとその駆動電動機及びこれに附属する電気機器をいう。この場合において、附属する電気機器とは、電動機用の始動器、切換スイッチ(装備されている場合に限る)及び関係する配線を含むものとし、給電回路の遮断器や配線は含まない。
(6)「制御系統」とは、舵の動きについての指示を船橋から操舵装置の動力装置を制御する装置に伝達する装置をいい、舵輪(又は舵レバー)からフローティング・レバー(定吐出容量式の操舵装置にあっては、制御弁)までの系統をいう。制御系統は、一般に発信機、受信機、制御用油圧ポンプ並びにこれらに関連する電動機、電動機用制御器、管及び電線により構成される。
(操舵装置)
第135条 船舶には、操縦性等について告示で定める要件に適合する主操舵装置及び補助操舵装置を備えなければならない。ただし、管海官庁が当該船舶の構造、航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合には、補助操舵装置を備えることを要しない。
(代替動力源)
第136条 舵柄との接合部の舵頭材の径が告示で定める値を超える舵を備える外洋航行船(限定近海貨物船を除く。)には、操舵装置の代替動力源(その機能等について告示で定める要件に適合するものに限る。)を備えなければならない。







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