6・3 接続ケーブルとコネクタの国際標準
トーカとリスナを接続するときに用いる標準的なケーブルは、パソコンと周辺機器を接続するためのシリアル・インターフェースケーブルと同じで、主にRS-232C、RS-422、RS-485の3種類の規格に準拠したものが用いられる。これらの規格は各機器のポート(接続部)の信号線の内容を定めたもので、コネクタの規格ではない。
コネクタについては、トーカやリスナ毎にいろいろな形状が採用されているが、代表的な形状をいくつか示す。
6・3・1 RS-232C
EIA(米国電子工業界)規格の1つである。3種類の中では最も古くから使われている。1994年にこの規格の正式名称はTIA/EIA-232-Eとなったが、それまで使われていたRS-232Cという呼称が今も使われることが多い。
特徴を表6・7にまとめる。信号は常に0Vとの比較によって論理値を得る不平衡型であるため、入力レベルの最小感度が大きい。そのために、論理値0から1へ変化するときに時間がかかり、次項に示すRS-422などに比べて高速な通信には向かない。
コネクタはD-sub25ピンがよく用いられる。コネクタの形状とピンの配置を図6・5に、代表的な信号の割り当てを表6・8に示す。ただし、割り当ては機器特有の場合もあるので実際に接続するときは、それぞれのマニュアルを確認すること。
図6・5 d-sub25ピン(オス)のピン配列
表6・7 RS-232Cの特徴
接続可能台数 |
トーカ1 リスナ1 |
最長距離 |
19.2Kbpsで15m |
最大データ長 |
15mで19.2Kbps |
信号化 |
不平衡 |
論理値1 |
-5V 最小 -15V 最大 |
論理値0 |
5V 最小 15V 最大 |
入力レベル最小感度 |
±3V |
出力電流 |
500mA |
|
表6・8 RS-232C(EIA-232)のピンの割り当て
ピン番号 |
記号 |
方向 |
意味 |
1 |
FG |
G |
保安用のグラウンド |
2 |
TxD |
O |
送信データ |
3 |
RxD |
I |
受信データ |
4 |
RTS |
O |
送信要求 |
5 |
CTS |
I |
送信可能 |
6 |
DSR |
I |
データ・セット・レディ |
7 |
GND |
G |
信号グラウンド |
8 |
DCD |
I |
キャリア検出 |
15 |
STCE |
I |
送信信号エレメントタイミング |
17 |
SCR |
I |
受信信号エレメントタイミング |
20 |
DTR |
O |
データ端末レディ |
22 |
RI |
I |
被呼表示 |
24 |
DCTE |
O |
送信信号エレメントタイミング |
|
あまり使用されることのないピンについては省略した。「記号」欄のアルファベットは通称として用いられている表記である。「方向」はリスナ側からトーカを見たときの入力をI、出力を0とし、Gはグランドを意味する。
このときリスナをDTE(Data Terminal Equipment)という。DTEに対する機器をDCE(Data Communication Equipment)という。DCEのピン配列は、表6・8のピン配列のうち、2と3、4と5、6と20の内容が入れ替わっている。つまりDTEの2番ピンの出力「送信データ」はDCEの2番ピンでは入力「受信データ」となる。したがって、DTEとDCEを接続する場合は、同じピン番号間を接続したケーブル(ストレートケーブルという)を用いればよい。これらを図6・6にまとめる。
しかし、トーカのすべてがDCE方式であるとは限らず、DTE方式の場合もある。その場合は、接続ケーブルの2番と3番、4番と5番、6番と20番をクロスさせる。これをクロスケーブル又はリバースケーブルという。
RS-232C規格でも、複雑な制御を行なう場合を除いて、単なるデータの受信などの場合には9ピン程度で足りることが多い。そのため9ピンのコネクタがEIA-574規格あるいはD-Sub9ピンとして定められている。9ピンのRS-232Cと言われることもある。DOS/Vパソコンに装備されていることが多い。コネクタの形状を図6・7に、ピンの割り当てを表6・9に示す。
図6・6 クロスケーブルとストレートケーブル
図6・7 D-sub9ピン(オス)のピン配列
表6・9 EIA-574のピン割り当て
ピン番号 |
記号 |
方向 |
意味 |
1 |
DCD |
I |
キャリア検出 |
2 |
RxD |
I |
受信データ |
3 |
TxD |
O |
送信データ |
4 |
DTR |
- |
データ端末レディ |
5 |
GND |
G |
信号グラウンド |
6 |
DSR |
I |
データ・セット・レディ |
7 |
RTS |
O |
送信要求 |
8 |
CTS |
I |
送信可能 |
9 |
RI |
- |
被呼表示 |
|
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