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4・7 アンテナと表示器の同期
 掃引線は、空中線の回転と同期して回転させる必要がある。その方法として
 
 
 回転同期方式は、シンクロ発信器とシンクロ受信器が用いられるのが一般的である。
 普通は、歯車装置でシンクロの回転数を空中線の10倍程度に上げ、指示器では逆にこれを1/10に落として偏向コイルを回している。これは相互の相対角度誤差を小さくするためで、いま、シンクロ発信器とシンクロ受信器との間にθ度の回転角度の差が生じたとしても、空中線と偏向コイルとの間ではθ度/10の角度差となり、角度誤差を小さくすることができる。ただこの場合、空中線の回転角度36度ごとにシンクロ発信器とシンクロ受信器は一回転するから、空中線と偏向コイルが同期する点は、空中線の一回転に対して36度おきに10箇所生ずることになるが、そのうちの一箇所だけが空中線と偏向コイルの正しい同期位置となる。このような関係において、いま、この装置のスイッチを切ると、空中線がその惰性でしばらく回って止まった位置と、偏向コイルがその惰性で回って止まった位置とでは、お互の角度が異なってくる。そのため、スイッチを入れたとき、シンクロ発信器とシンクロ受信器は同期して回転を始めるが、空中線と偏向コイルとの向きは、36度の整数倍だけ異なってしまう。このためカムスイッチを用い角度差が0度のときに限って両方が回転し、36度×nの角度差がある場合には掃引を止めて空中線だけを回し、この角度差が一致したときに初めて偏向コイルが回転を始めるようにしている。図4・44にその機構を示す。
 
 スイープレゾルバ同期方式は図4・45に示すような機構で、図の空中線と同期して回転する回転子(一次側)に掃引電流を流すと、これに対応した固定子のコイル(二次側)には、回転子の回転角度に応じて大きさの変化する電流が流れる。したがって、互いに90度の角度をもった固定子コイルを二組設けておくと、空中線の軸に直結した回転子にのこぎり波電流を流すことによって、この固定子には図4・46に示すように、空中線の角度に応じて、それぞれ90度位相のずれた正弦波状に変化するのこぎり波が誘起されることになる。このようにして、これに連結された二組の偏向コイル(X、Y)に流れるのこぎり波電流の割合も空中線の回転に同期して変わり、掃引方向が空中線と同期して回転することになる。この方式の利点はブラウン管側の偏向コイルは固定できることでコイルの回転機構や回転時の音がないことである。
 
図4・44 同期回転機構
 
図4・45 固定コイル式
 
図4・46 スイープレゾルバ方式によるスイープの回転







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