4・2・2 変調器
変調器は、電源、チャージングチョーク、サイラトロン又はサイリスタ、パルストランス、マグネトロン等により構成される。ブロックダイヤグラムを図4・8に示す。
図4.8 変調器と送信機のブロックダイヤグラム
送信パルスの幅はこの変調部で作られるパルス電圧の幅により決まるので、一般にはこの回路をパルス変調器といい、現在ではライン形変調方式が最も多く用いられている。
トリガによって、サイラトロン又はサイリスタがONになり導通するが、トリガ入力がない場合はOFFとなって、ちょうどスイッチの役目をする。このOFFのときに電源から高電圧がチャージングチョークを通ってパルス形成回路(PFN)は図4・9に示すようにコイルとコンデンサーで構成されていて、このコンデンサーに充電されるが、端子Bはパルストランスを通じて接地されているので零電位に保たれる。
図4・9 PFN(Pulse Forming Network)の回路
PFNを充電する等価回路は図4・10に示すとおりで、チャージングチョークのLとPFNのコンデンサーCの回路に直流電圧Eoが加えられると、a点の電圧は、LCの値で決まる周期の直列振動をしてからEoになる。
はじめの振動で約2Eoの電圧に上昇したときに、サイラトロン又はSCRにトリガ入力を加えて導通させると、Cに充電されていた2Eoの電荷が一挙に放電する。このときの放電に要する時間は、PFNのコイルとコンデンサーによって決まり、これがパルス幅となる。図4・11は、放電回路の等価回路であるが、この放電電流はPFNのインピーダンスとZoと、パルストランスの一次側からみたインピーダンスZpとが等しくなるように設計してあるので、規定のパルス幅で、かつ、波高値が2Eoのパルスとなってパルストランスの一次側に掛かる。この高圧パルスを更にパルストランスの巻線比により昇圧して、マグネトロンが安定して発振するようにしてある。
図4・10 充電回路 図4・11 放電回路
マグネトロンは磁電管とも呼ばれ、電子流と磁界との相互作用を利用した二極管である。周波数の安定度は悪いが30%以上の効率で発振し、大きなパルス出力を容易に得ることができるという利点があるので、レーダーのパルス送信用に広く用いられている。詳しくは第3章の3・1節を 参照されたい。
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