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3・9 一般のケーブル
(1)ケーブル類の切断
 ケーブル類の全長の決定に当たっては、機器内部への立上がり及び端末処理の余裕を見込むこと。メーカーの工事用図書には、最小必要寸法が指定されているのが普通である。
(2)ケーブル類の布設経路
(a)ケーブルは、最短距離で布設する。ケーブル全長に対して、レーダーメーカーにより指定のある場合もあるので、注意すること。
(b)ケーブルは、できる限り人の近寄りやすいところに直線的に布設する。
(c)他の電路から間隔を空け、平行に布設しない。ただし、無線機器や水中音響機器などの敏感電路以外の一般電路では、直交の場合には間隔を空ける必要はない。
(d)無線装置からなるべく離して布設する。無線装置室を貫通して布設してはならない。
(e)ケーブルは、高温管の保護外被から200mm以上離す。
(f)ケーブルは、船体伸縮部に布設することは避ける。避けることができない場合は、伸縮に対して十分な長さのたるみをもたせること。
(g)磁気コンパスから十分な距離を離して布設する。鋼線がい装ケーブルは、それ自体が磁気コンパスに誤差を発生させるので、直線距離で2m以上離して布設すること。
(3)ケーブル類の支持及び固定
(a)ケーブルの支持及び固定については、表3・2を順守すること。
 
表3・2 電線・ケーブルの支持・固定間隔
ケーブル外径 がい装無し がい装有り
13mm以下 250mm以下 300mm以下
13〜20 300 350
20〜30 350 400
30mmを超える 400 450
 
(b)ケーブルは巻きバンド(幅は13mm以上)により、直接船体又は電線馬、ハンガなどに取付ける。巻きバンドには、耐食処理を施した軟鋼製とステンレス製のものがあるが、暴露甲板や湿気の多い場所には、ステンレス製のものを使用すること。バンドは、あらかじめ所定の長さに切断しておき、ケーブルに巻き付け、止め金具(バンドバックル)と工具により締め付け、巻止めを行い、余長を切断して、体裁を整える。
(4)ケーブル類の曲げ
 がい装鉛被ケーブルは、その外径の8倍以下、その他のケーブルは、その外径の6倍以下の半径で曲げてはならない。規定値より小さい径で曲げると、ケーブル構成材料の特性低下や、絶縁破壊の原因となる。
(5)接地工事
(a)ケーブルの接地
 ケーブルのがい装とシールドは、両端共レーダーユニット内の接地端子に接地すること。(図3・34及び図3・35参照)
(備考)
イ. レーダーユニットの内部又は外面のケーブル導入部付近には、接地端子が設けられているのが一般的である。接地端子のないものは、そのユニット自体の接地点と同一場所に接地することが望ましい。
ロ. 簡易型ケーブルクランプのみで、ケーブルの接地をとる場合は、ケーブルがい装の防食塗装をはがさないと接地効果が期待できないので注意を要する。
 できるだけ、編組線等を用いて接地することが望ましい。
ハ. ケーブル接地用材料としては、一般的に編組線、0.6〜1.0mmの錫めっき軟銅線などが使用される。
ニ. 接地は、最短距離で接地すること。
 錫めっき軟銅線1本で、不必要に長く接地したりすると、高周波雑音の除去効果は期待できないので注意を要する。
 接地線の接地抵抗は0.05〔Ω〕以下が望ましい。
 
図3・34
 
図3・35
 
ホ. 接地線に塗装してはいけない。
へ. ユニット単体の接地が船体との自然接地による場合は、接触面の塗料をはがし、さびや汚れを除去すること。
 必要により、導電性塗料を塗布するなどにより経年変化によって接地効果が低下しないように注意すること。
(b)電線貫通金物部におけるがい装ケーブルの接地
 レーダー空中線やその他のユニットで電線貫通金物を使用したものは、図3・36の要領による。
(備考)
 編組線は、ケーブルがい装にはんだ付け、又はクランプによって取り付け、電線貫通金物の下部に向かって引き出し、接地すること。
 
図3・36
 
(c)布設部でのケーブルの接地
 
表3・3
がい装ケーブル ケーブル布設部 押さえバンド部
巻きバンド部 ×
機器導入部 がい装部
鉛被ケーブル ケーブル布設部 押さえバンド部 ×
巻きバンド部 ×
機器導入部 鉛被部
(注)○印は接地工事を実施、×印は工事不要を示す。
 
 レーダー用ケーブルで、特にケーブルの両端のほかに、さらに、ケーブルの途中で接地を行って妨害雑音の除去効果を上げる場合には、ケーブルの布設部において、図3・37の方法で接地工事を行う。なお、鉛被ケーブルでは接地工事の必要はない。
 
図3・37 ケーブル布設部での接地例







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